DOL AHA2002 学会速報






 
 



Plenary Session III:
最新の臨床試験
Late-Breaking Clinical Trials

リスクの高い高齢者に対するプラバスタチン治療に関する前向き臨床試験:PROSPER試験の結果

The Prospective Study of Pravastatin in the Elderly at Risk: The Results of PROSPER
高齢者における3年間のプラバスタチン治療で冠動脈疾患のリスクの減少がみられた。この所見から、中年層だけでなく高齢患者においても積極的なプラバスタチン治療の有効性が示唆される。

Clopidogrel治療による追跡期間中のイベントの軽減(CREDO試験)

Clopidogrel for the Reduction of Events During Observation (CREDO)
Steinhubl博士はこの試験の1年目の成績を発表した。この試験は、経皮的冠動脈インターベンション対象患者でclopidogrelの長期投与の効果を検討した最初の無作為試験である。Clopidogrel治療を1年間継続することによって、死亡、心臓発作、脳卒中が相対的減少率で27%低下した。

補体と血管形成術あるいは血栓溶解療法による梗塞サイズの縮小(CARDINALプログラム)

Complement and Reduction of Infarct Size After Angioplasty or Lytics (CARDINAL Program)
Granger博士は補体阻害薬(pexelizumab)を再灌流療法に際して付加治療として使用した場合に、梗塞サイズの縮小と臨床的経過の改善がもたらされるかどうかを検討した、Complement and Reduction of Infarct Size After Angioplasty or Lytics(補体と血管形成術あるいは血栓溶解療法による梗塞サイズの縮小[CARDINAL])プログラムの中の2つの臨床試験を発表した。Pexelizumabは血栓溶解療法が根本的治療として行われた場合には臨床経過に全く影響をもたらさなかったが(COMPLY試験)、血管形成術が行われた患者ではpexelizumabのボーラスと点滴投与によって患者の死亡率に有意な減少が認められた(COMMA試験)。


Plenary Session IV:
再灌流療法の最前線
Frontiers in Revascularization

付加的薬物併用療法:何が有効で、何が必要?

Adjunctive Pharmacotherapy: What's Nice, What's Necessary?
Armstrong博士は、アスピリンやβ遮断薬などの確立された薬剤よりむしろ新しい治療法に注目した。すなわち抗トロンビン/抗血小板治療戦略と抗炎症戦略について議論した。また同様に再灌流手技に伴う細胞障害と炎症をともに減少させる多剤併用療法についても議論した。さらにアデノシンや補体阻害薬など新しい薬剤付きのステントでST上昇を認める患者を治療する際に将来役立つかもしれない薬剤についても言及した。要約すると、博士は「薬剤侵襲性」療法の観点を主張した。その中では、侵襲的な再灌流手技の成功率を改善するため異なる種類の薬剤が必須の役割を担う。


Plenary Session V:
AHA/ESCジョイントシンポジウム−脈管医学における最前線
Joint AHA/ESC Symposium - Frontiers in Vascular Medicine

Paul Dudley Whiteインターナショナルレクチャー

The Paul Dudley White International Lecture
Rabinovitch博士は血管病におけるエラスターゼ阻害薬の役割に関する一連の研究に対し、彼女の研究室がどれほど貢献したかを述べた。動物モデルを用いた研究によると、エラスターゼ阻害薬を用いれば、炎症の結果生じる血管病を予防し、さらには改善することさえ可能であるという。

脈管生物学における炎症

Inflammation in Vascular Biology
今日、アテローム性動脈硬化症は炎症性疾患と認識されている。Libby博士らは動物研究で脂質低下療法により炎症が低下することを示した。このことはプラークを安定化させ、心事故の発生率を減少させるかもしれない。

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