DOL IPA 2003 学会速報
Symposia




Use of Technology in Psychogeriatrics: Brain Imaging, Brain Stimulation, and Beyond
アルツハイマー病などの老年期疾患診断のために無症候性の脳画像はどの時点で使用可能か?
When Will We Be Able to Use Presymptomatic Brain Imaging Diagnoses of Geriatric Diseases such as Alzheimer’s Disease?
 
脳画像の進歩は驚異的である。fMRIにおいてhemoglobin/deoxyhemoglobin比は脳活動の変化をとらえるが、個人レベルのデータベースの蓄積にて一般化できれば、無症候性アルツハイマー病の診断は可能性がある。



Clinical Advances in Mild Cognitive Impairment and Alzheimer’s Disease
加齢による記憶欠損(Age-Related Memory Loss)の初期発見と予防
Early Detection and Prevention of Age-Related Memory Loss
 
脳の加齢は壮年期から始まる。最近の研究は、認知障害の予防というよりも脳の加齢を遅らせる、あるいは痴呆の出現を遅らせることに重きを置くようになっている。脳の健康を保つために、ストレスを減らす、適切な食事をとる、身体的な運動なども確かに有効である。また、一定の知的訓練も記憶検査の成績をよくする効果がある。
痴呆の評価のための神経画像診断の実際的応用
Practical Applications of Neuroimaging in the Assessment of Dementia
 
最近の画像診断によって、アルツハイマー病における脳の構造の正確な量的計測を行うことができるようになっている。したがって、このような計測方法を神経保護薬(neuroprotective drug)の臨床試験における予後の予測に用いる可能性についての関心が深まっている。発表者のDoraiswamy博士は、アルツハイマー病の治療薬の二重盲検試験における変化をMRIを用いて検討した。その結果は、ドネペジルが脳の画像に変化を来しうるというものであった。
老年期うつ病における脳構造の性差について
Sex Differences in Brain Structure in Patients with Geriatric Depression
 
この研究の結果は、男女の違い、つまり性差が老年期うつ病における脳の構造や臨床症状に影響を与える可能性を示唆するものである。一般に男性は女性に比べて、前頭葉の灰白質の萎縮を来しやすいが、このことは男性が女性に比べてうつ病になりやすい要因となっているかもしれない。また、老年期の女性において、ホルモン補充療法は、アパチー(apathy)やうつ気分は改善せしめるが、一方では脳のある部位の体積を減少せしめる。



Late-Life Depression and Co-existing Conditions
薬物の副作用としてのうつ病
Depression as a Drug Side Effect
 
薬物のためにうつ病となった老年期の患者において、原因となった薬物を中断することが適切な対応とは限らない。身体疾患のために薬物治療が欠かせないときには、薬物投与を続けながら、一方で、うつ病の治療をするほうがよい。うつ病は、老年期における薬物に関連した副作用のひとつにすぎない。最近の研究では、はっきりしたうつ病とした形をとらなくとも、気分の変化が生ずることもわかってきた。例えば、抗ドーパミン性消化器系薬物であるメトクロプラミドの服用中に、日常生活の中でよくない事柄があると、気分の落ち込みも激しい、といったことがある。
老年性黄斑変性症(AMD)におけるうつ病と無能力症(disability)の予防
Preventing Depression and Disability in Age-Related Macular Degeneration (AMD)
 
老年性黄斑変性症においてうつ病の出現頻度は極めて高い。これまでの予備的な研究において、問題解決能力開発のための教育によって、この疾患の視力障害をもつ患者におけるうつ病や無能力症を減らすことができることが示唆されている。


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