DOL ACC 2002 学会速報


血行再建術

Revascularization

 
 
Medical Director
Bruce B. Dan, M.D.
日本語版監修
篠山重威(浜松労災病院院長)



Late-Breaking Clinical Trials in Interventional Cardiology
 
  ステントのデザインとストラットの厚さが冠動脈ステント留置後長期の経過に及ぼす影響―ISAR-STEREO-2試験の結果
  Effect of Stent Design and Strut Thickness on Long-Term Outcome of Coronary Stent Placement. Results from the ISAR-STEREO-2 Trial

 
この臨床試験の最終報告で、ストラットの薄いステントが留置された患者は厚いストラットのステントが挿入された患者に比して再狭窄率が有意に低いことが示された。この結果からストラットの厚さとデザインが長期の患者の経過に有意な影響を与えることが示唆される。
 
  冠動脈病変に対してMULTI-LINKTMステントを留置する際に付加的方向性冠動脈粥腫切除術を行った場合と行わなかった場合の比較(AMIGO)
  A Randomized Comparison of the MULTI-LINKTM Stent with or without Adjunctive Directional Coronary Atherectomy in Coronary Artery Lesions (AMIGO)
  この試験は複雑病変に対してステント留置と方向性冠動脈粥腫切除術を行った場合とステント留置のみを行った場合とを比較したものである。総体的にステンティングに粥腫切除を付加した治療がステントだけによる治療に比して血管造影上の再狭窄を改善するうえでより有効であるとはいえなかった。しかしながら、方向性粥腫切除術が常に最適に行われたとは限らないし、より複雑な病変に対してはステントだけよりも組み合わせ治療が有効な場合がある可能性は否定できない。
 
  細冠動脈に対するヘパリンでコートしたステントの効果:COAST試験の結果
  Heparin-Coated Stents in Small Coronary Arteries: Results of the COAST Trial
  この試験は元来の細冠動脈の狭窄に対して、ヘパリンでコートしたステントとコートしていないステントによる治療とバルーン血管形成術との効果とを比較したものである。両ステント治療群はバルーン血管形成術に対して最小血管内径という点ではより大きい有効性が示されたが、その有意差はぎりぎりのものであった。これら細血管においてヘパリンでコートしたステントはコートされていないステントに比して、血管造影上からも臨床的にも何ら優れる点はみられなかった。
 

Late-Breaking Clinical Trials III
 
  デンマークにおける急性心筋梗塞に対する血栓溶解療法と急性冠動脈血管形成術の無作為多施設協同試験
  The Danish Multicenter Randomized Trial on Thrombolytic Therapy versus Acute Coronary Angioplasty in Acute Myocardial Infarction

  この試験ではST上昇を示す心筋梗塞患者に現場でtPAを投与する治療と、侵襲治療センターに転送して血管形成術を施す治療とが行われた。その結果、インターベンション治療を受けた群で30日間に相対的リスクの40%の減少がみられた。したがって、治療のために患者を転送する距離が仮に遠くても、即座に血栓溶解療法を行うよりも、時間をおいて経皮的冠動脈インターベンションを行うべきことが示唆される。
 
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