DOL AHA2002 学会速報






 
 




Special Session VIII:
AHA/APSCジョイントシンポジウム−虚血性脳卒中:最近のチャレンジ
Joint AHA/APSC Symposium - Ischemic Stroke: The Current Challenge

虚血性脳卒中の危険因子:東洋の立場

Risk Factors for Ischemic Stroke: East
日本における脳卒中死亡率は全体として減少した。しかしラクナ梗塞および脳出血の発症率に関しては依然として欧米諸国より高い、と尾前博士は述べた。彼はまた脳梗塞に対する生活習慣上および医学的危険因子についても言及した。

虚血性脳卒中の危険因子:西洋の立場

Risk Factors for Ischemic Stroke: West
西側諸国における脳卒中発症の重要な危険因子には高血圧症、糖尿病、喫煙および心房細動が含まれている。西側の研究者は、最近患者の脳卒中発生の危険度を評価するのに臨床所見下の疾病マーカーを多く使用するようになってきている。脳卒中の疫学において東洋と西洋の間には多くの重要な違いがあるが、それ以上に多くの類似点がある。西側でも東洋の国々でも、喫煙の中止など危険度を低下させる手段を十分に活用できていない。

再灌流術の適応

Revascularization Options
頸動脈狭窄症に対して多くの患者において頸動脈血栓内膜切除術(CEA)が行われているが、この手技には一定のリスクが伴う。頸動脈の血管形成術やステント留置術はこれに替わる治療手技である。ステント留置術のリスク低減のためには、ステント留置術に適した症例を選択することが重要となる。また遠位塞栓症の予防のためにはprotective deviceの使用が大変有用である。また脳虚血に対する頭蓋内外バイパス術が有効な症例が存在するのも事実であり、日本では現在その効果を明らかにするための無作為比較試験が行われている。

頸動脈内ステント植え込み術

Carotid Stenting
末梢塞栓防止装置の登場により、頸動脈内ステント植え込み術の成績は劇的に改善されてきた。経験を積んだ術者なら、外科的な頸動脈内膜切除術と同等かあるいはより良い成績で頸動脈内ステント植え込み術を行いうることが今回のデータから示唆される。塞栓防止装置を併用しながらの頸動脈内ステント植え込み術は、手術による危険性が高いと考えられる種々の患者にとっては理想的な治療法となるかもしれない。

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