DOL ASCO2002 学会速報





Plenary Presentation: Plenary Session
  
進行非小細胞肺癌に対する単剤化学療法と多剤併用療法の比較:有効性、QOL、および費用に関するCALGBの無作為化比較試験
Single-Agent (SA) versus Combination Chemotherapy (CC) in Advanced Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC): A CALGB Randomized Trial of Efficacy, Quality of Life (QOL) and Cost-Effectiveness
 
584例の進行非小細胞肺癌症例を対象に、多剤併用療法と単剤化学療法を比較した。Carboplatinとパクリタキセルの併用療法によりパクリタキセル単剤療法に比べて生存率が有意に改善することが示された。併用療法では毒性も増強したが対応可能であり、QOLには差を認めなかった。以上より、進行非小細胞肺癌に対する標準的治療法は多剤併用療法であると考えられる。 
  
BRCA1 BRCA2 変異に対する卵管卵巣摘除術による危険減少効果
Efficacy of Risk-Reducing Salpingo-Oophorectomy in Women with BRCA1 and BRCA2 Mutations
 
BRCA 遺伝子変異を有する女性に対する卵巣卵管の外科的摘除は、乳癌、卵巣癌の発生の危険を有意に低下させた。この手法は治癒可能な早期癌を発見することもできる。しかし、乳癌、腹膜癌は手術後も発生することがある。  
  
PSA試験のスクリーニング検査間隔の短縮:前立腺癌、肺癌、大腸直腸癌、卵巣癌スクリーニング試験 (PLCO Screening Trial)の結果
PSA Testing Interval Reduction in Screening Intervals: Data from the Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian Cancer (PLCO) Screening Trial
 
大規模なスクリーニング研究において、前立腺特異抗原(PSA)が2ng/mL以下の基準値の成人男性は、その次のスクリーニング検査でPSAが陽性(>4ng/mL)に転換する危険は大変少なかった。Crawford博士は、前立腺癌のスクリーニング検査を希望する成人男性においてPSA値が低いレベルの場合は、スクリーニング検査の頻度をもっと少なくすべきであると推奨した。米国でこの方法を採用すれば、数億ドルの費用を節約できるであろう。  
  
化学療法を受けていない悪性胸膜中皮腫患者に対するpemetrexed+シスプラチン併用療法とシスプラチン単独療法との単盲検比較試験
Phase III Single-Blinded Study of Pemetrexed + Cisplatin vs. Cisplatin Alone in Chemonaive Patients with Malignant Pleural Mesothelioma
 
この研究は、悪性胸膜中皮腫に対してこれまでに実施されたものの中で最も大規模な第III相試験であり、新規葉酸拮抗剤であるpemetrexedとシスプラチンの併用療法により、生存期間が延長し、症状が改善することが示された。この結果よりpemetrexedとシスプラチンの併用療法が、現時点では悪性胸膜中皮腫に対する標準的初回治療法と考えられる。

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