PSA試験のスクリーニング検査間隔の短縮:前立腺癌、肺癌、大腸直腸癌、卵巣癌スクリーニング試験 (PLCO Screening Trial)の結果
PSA Testing Interval Reduction in Screening Intervals: Data from the Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian Cancer (PLCO) Screening Trial

E. David Crawford, MD
University of Colorado Health Sciences Center
Denver, CO, USA


前立腺癌は米国男性においてもっとも一般的な病気であり、癌の死因の第2番目に位置する。この統計的現実を改善させるために、予防、スクリーニング、そして局所進行または転移性癌に対する新しい治療法がある。

1993年、米国のNational Cancer Instituteは前立腺癌、肺癌、大腸直腸癌、卵巣癌スクリーニング試験(PLCO Screening Trial)を開始した。1993年から2001年の間に、研究者らは55歳から74歳までの男女154,000人を登録した。その人たちはスクリーニング群と通常の治療群に無作為に割り付けられた。

PLCO trialの目的のひとつは前立腺癌スクリーニングの有用性を評価することである。男性はPSA検査を年に1回6年間受けた。そして直腸指診を最初の4年間、毎年受けた。

Crawford博士はPLCO studyの前立腺癌スクリーニング結果の早期解析について発表した。研究者らは、PSAレベル4ng/mL以下で少なくとも1回以上の追跡スクリーニング検査を受けた男性について、5年間におけるPSAの変化を評価した。この群には28,000人近くの男性が含まれた。

その結果は次の如くであった。初回のPSA値が1ng/mL以下の男性は、その後4回の年1回PSA検査で1.4%しか陽性(PSA>4ng/mL)に転換しなかった。さらに、初回PSA値が1〜2ng/mLの男性の1.2%しか、その次の年からのスクリーニングで陽性にならなかった。


PLCO Study:1年以内のPSA陰性から
陽性(>4ng/mL)への転換率



PSA値 (ng/mL)
転換率
0〜1
0.25%
1〜1.9
1.2%
2〜2.9
34%
3〜3.9
83%


ルーチンスクリーニングで発見されたPSA値の上昇は、それが偽陽性であるかもしれないという不安や悪性を除外するために針生検が必要であるという心配を引き起こすことがある。この研究の結果はルーチンの前立腺癌スクリーニングを受けるべきであるか、受けなくても良いかを選択することの助けになる、と研究者らは信じている。

Crawford博士はこう述べた。もしPSA値1ng/mL以下の人が5年毎にスクリーニングを受け、PSA値が1と2の間の人が2年毎に検査を受けるならば、55%のPSA検査を省略できるであろう。この方法を採用すれば1,570万回のスクリーニング検査を減少させ、米国において年間10億ドルの費用を節約できるであろう。

レポーター: Andrew Bowser
日本語翻訳・監修: 癌研究会附属病院化学療法科副部長 伊藤良則