AHA2001


DOL AHA 2001 学会速報


冠動脈疾患

Coronary Artery Disease

Plenary Session VIII:
Late Breaking Clinical Trials
 
  心臓保護試験−シンバスタチンと抗酸化薬
  Heart Protection Study - Simvastatin and Antioxidants
  心血管系のリスクの高い症例約20,000人を対象にし、5年間の追跡を行った大規模無作為臨床試験の成績が報告された。脂質低下作用を持つシンバスタチン40mg/dayによる治療によって主要な血管性イベントが3分の1減少した。驚いたことに、コレステロール値が高くない例においても治療によって同程度の有効性が認められた。抗酸化薬であるビタミンの追加は主要血管性イベントの減少に利するところはなかった。
 

Special Session VI:
Joint AHA/APSC Symposium:
The Rising Tide of Diabetic Cardiovascular Disease
 
  糖尿病における心血管疾患合併症
  Cardiovascular Complications of Diabetes Mellitus:
East vs. West
  東洋:山田博士は日本におけるライフスタイルの変化や糖尿病の発症頻度について先ず語った。その後、日本における糖尿病患者でのはじめての大規模臨床調査の中間解析について発表し、日本人糖尿病における循環器疾患の現状やその管理について報告した。


西洋:Nesto博士は最近の論文を引用しながら、何故、糖尿病では冠動脈疾患が問題となるかについて、解説した。そして糖尿病患者における治療に関する薬理学的な分子ターゲットやその他の治療法に関しての期待を述べた。
 

Plenary Session XII:
Inflammation and Atherosclerosis
 
  動脈硬化における炎症反応
  The Inflammatory Response in Atherosclerosis
 
  Schwartz博士は、これまで動脈硬化に関する文献のなかでほとんど注目されてこなかった、マクロファージの重要な役割について講演を行った。博士は、マクロファージの細胞死がプラークの破綻やプラーク内の出血を促進させるうえで重要な役割を担っていることの理解に必要な基本的な概念を述べたあと、最新の未発表データを提示し、マクロファージの細胞死の過程に関する現在の知見について解説した。
 
 
  動脈硬化における炎症反応の生物学的マーカー
  Biomarkers of Inflammation in Atherosclerosis
  炎症性マーカーと心血管疾患に対する危険度との相関を論じるにあたり、Tracy博士は住民母集団をベースとした研究手法をとった。博士は、C反応性蛋白(CRP)やフィブリノーゲンなどの全身性の炎症性マーカー、全身および局所の炎症反応媒介物質、細胞接着分子という3種類のマーカーに関して述べた。講演の大部分はCRPに関する話題を中心に行われた。博士は、数多くの生物学的マーカーが有効な危険予測因子であり、臨床医にとって、その選択は、各マーカーと心血管疾患の危険度との相関性より、むしろ、検査の標準化や感度・特異度といった技術的な要素が基準となっていると、結論づけた。
 
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