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小児期の血中鉛レベルが低いとストレスに対する心血管反応に影響を与える可能性がある [2009-04-28] |
Low lead levels in children can affect cardiovascular responses to stress |
小児期早期の血中鉛レベルの低下でも小児の心血管系ストレスへの反応に悪影響を及ぼし、後の高血圧発症を引き起こしうるとのスタディ結果が第122回American Physiological Societyで発表された。研究者らは9〜11歳の小児140人に心理的にストレスの多いコンピュータの課題を行わせた。そして、休憩中および課題施行中の総末梢抵抗を計測した。その結果、血中鉛レベルとストレスの多い課題に対する総末梢抵抗反応に相関があることが示された。対象者全員の血中鉛レベルは非常に低く、CDCが問題のあるレベルと定義する10mg/dLよりはるかに低かった。鉛がどのように総末梢抵抗に影響するかの説明として研究者らは、休憩中に交感神経活性が上昇し、逆にストレスフルなコンピュータの課題を行っている間は交感神経反応が低下していることを見出した。彼らはまた、鉛レベルが高いと血清アルドステロンレベルが低下し、その結果必要な時に交感神経系が活性化しにくくなることも明らかにした。筆者らは、アルドステロンと交感神経活性に関するデータはプレリミナリーなものであり、今後の研究の焦点となる可能性があることに注意すべきであると述べている。 |
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医師の専門性と植込み型除細動器の合併症には関連がある [2009-04-28] |
Type of physician certification associated with risk of complications from implantation of cardioverter-defibrillators |
植込み型除細動器(ICD)を電気生理専門医以外の医師に植え込まれた患者は合併症のリスクが高く、臨床上適応であっても的確なICDを植え込まれにくい、とJAMA 4月22/29日号に掲載された。エール大学の研究者らは、米国のICD植え込みの施術に関する登録簿であるICDレジストリのデータを解析し、医師の専門とICD植え込みの際の合併症およびCRT-D植込み(心再同期療法も同時に行えるICD)に関連があるか否かを評価した。解析されたICD植込み症例111,293例のうち、多く(70.9%)が電気生理専門医によって植え込まれ、約29%は電気生理専門医以外(電気生理専門でない循環器医21.9%、胸部外科医1.7%、他の専門医5.5%)に植え込まれた。全体のおよび主要な合併症は電気生理専門医でそれぞれ3.5%と1.3%であり、胸部外科医ではそれぞれ5.8%と2.5%であった。CRT-Dのクライテリアに当てはまる患者35,841人(32.2%)中、ICDを電気生理専門医以外の医師に植え込まれた患者は電気生理専門医に植え込まれた患者と比較し、CRT-Dデバイスを植え込まれる確率が有意に低かった。 |
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二つの非薬物治療により心臓手術後のうつ病が軽減できるようである [2009-04-21] |
Two non-drug treatments appear to reduce depression after cardiac surgery |
二つの非薬物療法−認知行動療法および補助的ストレス管理療法−は冠動脈バイパス術後のうつ病に対し通常のケアよりも有効なようである、とArchives of General Psychiatry 4月号に掲載された。研究者らはCABG術後1年以内にうつ病を有した患者123人を、通常のケア、12週間の認知行動療法、または12週間の補助的ストレス管理療法(ストレスの多い出来事を処理する能力を改善することに関するカウンセリング)のいずれかの群に割り付けた。3ヵ月後、認知行動療法(71%)および補助的ストレス管理療法(57%)群の患者の方が通常のケアを受けた患者(33%)よりもうつ病が寛解した患者が多かった。この差は6ヵ月後の経過観察時には狭まっていたが、9ヵ月後には再び認められた(認知療法群で73%、補助的ストレス管理療法群で57%、通常ケア群で35%)。認知行動療法はまた、不安、絶望、ストレスの自覚、および健康関連のQOLの精神的要素(身体的要素は含まれない)において通常のケアよりも優れていた。 |
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新たな画像技術により医師は心房細動患者の治療効果を予知できる可能性がある [2009-04-21] |
Novel medical imaging technique may enable physicians to predict treatment outcomes in patients with atrial fibrillation |
遅延造影磁気共鳴画像(DE-MRI)は、心房細動(AF)患者の治療効果を予測し疾患の進行度合いを計測する左房心筋組織の非侵襲的評価手段として有望であることが明らかにされた、とCirculation 4月7日号に掲載された。このスタディで研究者らは、RFアブレーション前にDE-CMRIを用いて左房の3-D画像を作成し、左房壁の傷害の拡がりを計算した。患者は施術後6ヵ月の時点で評価を受けた。その結果、線維化が微小であると分類された患者でAFを再発した者はわずか14%であったのに対し、広範囲の瘢痕化組織損傷を有する患者における再発率は75%であった。この結果は疾患の進行モデルを表しており、早期治療の重要性を支持している。これまで左房の瘢痕形成を正確かつ非侵襲的に評価する手段はなかった。この結果が実証されれば、DE-MRI視覚化技術および解析は、焼灼すべき心筋を同定したりAFカテーテルアブレーションの適切な候補者を決定したりする際の手引きとなるであろう。 |
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ACTIVE-A:大血管イベントの予防に関してクロピドグレル/アスピリンの併用はワルファリンよりも安全な代替療法のようである [2009-04-14] |
ACTIVE-A:Clopidogrel/aspirin combination therapy appears to be a safer alternative to warfarin for prevention of major vascular events |
クロピドグレルとアスピリンの併用により大血管イベントが11%減少したとのレイトブレイキングクリニカルトライアルACTIVE-Aの結果が、2009年第58回American College of Cardiology学会で発表された。2006年には、クロピドグレルをアスピリンに追加してもワルファリンよりも有効性が低いとのACTIVE-Wの結果が報告されたが、このスタディに参加した患者の多くはスタディに組み入れられた時点でワルファリンをすでに内服していたため、ワルファリンに好ましいバイアスがかかっていた可能性があり、この結果は解釈が難しかった。ACTIVE-Aでは、心房細動の認められた患者7,554人に対してアスピリンにクロピドグレルを併用投与した効果を、二重盲検プラセボコントロール試験で直接評価した。このトライアルでは全ての患者がアスピリン(推奨用量:一日75〜100mg)を内服しており、クロピドグレル(一日75mg)またはプラセボを内服する群に無作為に割り付けられた。主要な血管イベント全体(脳卒中、心筋梗塞、中枢神経系以外の全身性塞栓症または血管死の合計)の発現が11%低下したのに加え、併用療法の結果、脳卒中発現率が28%低下し心筋梗塞発現率が23%低下した。クロピドグレルにより年1.27〜2%であった重大な出血のリスクが58%増加した。 |
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REVERSE:両心室ペーシングを最大限の薬物療法に組み合わせることで軽度心不全患者に有益性がもたらされる [2009-04-14] |
REVERSE: Biventricular pacing combined with optimal medical therapy is beneficial in patients with mild heart failure |
心臓再同期療法(CRT)を評価した24ヵ月間のヨーロッパのスタディの結果、心臓の同期不全を有する軽度心不全患者に対し最大限の薬物療法に両心室ペースメーカーを組み合わせることにより、最大限の薬物療法のみを受けたコントロール群と比較し悪化の程度が有意に低下したことが示されたとの研究結果が2009年第58回American College of Cardiology学会で発表された。このスタディは、薬物療法で良好に治療されているが軽度の症状のある患者または過去に心不全を有したwide QRSの無症状の患者に対してCRTの有効性を評価した、左室収縮不全患者における再同期リバースリモデリング(REVERSE)の多国籍コホートスタディである。CRTと最大限の薬物療法の併用(CRT ON)と最大限の薬物療法のみ(CRT OFF)の群における悪化のパーセンテージを比較した一次エンドポイントは経過とともに増加し、疾患の進行は停止しないことが示された。しかし、悪化の程度はCRT OFF群と比較するとCRT ON群において有意に低かった。CRT ON群において、左室機能の改善は著明でありその程度は18ヵ月の間に向上し効果はスタディの最後の6ヵ月間持続した。一方、CRT OFF群では観察期間終了に向かい悪化した。 |
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ADMIRE-HF:新たな核医学検査は心不全患者のリスクを定義付けるのに役立つ [2009-04-14] |
ADMIRE-HF: New nuclear imaging test helps define risk in patients with heart failure |
心臓の交感神経の整合性を評価する簡単な核医学検査である心筋シンチグラフィにより予後が不良と考えられる患者を見極めることができるとのADMIRE-HFの結果が2009年第58回American College of Cardiology学会で発表された。この検査は交感神経に取り込まれるノルエピネフリンの生理的アナログである123Iメタヨードベンジルグアニジン(123ImIBG)を 放射性トレーサーとして用いる。日本およびヨーロッパのスタディの結果、123ImIBGの取り込みが少ないと予後不良であることが示された。このトライアルではクラスIIおよびIIIの心不全患者964人に123ImIBGを静脈内注射し核画像検査を施行した。約4分の1の患者(238人)が平均18ヵ月の経過観察期間中に主要な心イベントを来たした。2年間の無病生存率はH/M(心臓/縦隔比:健康人のH/M比は約2)≥1.60の患者で85%であり、H/M比<1.60の患者では63%であった。H/M比が低い群では心臓死が51人に認められたのに対し、H/M比が高い群では2人であり、2年にわたる心臓死に関してH/M比が高いことによる陰性的中率は98.8%であった。 |
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NAPLES II:高用量アトルバスタチンは多面的効果によりPCI後の非Q波心筋梗塞発現率を低下させる [2009-04-14] |
NAPLES II: High dose atorvastatin reduces non Q-wave myocardial infarction following PCI through pleiotropic effects |
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後24時間以内に80mgのアトルバスタチンを投与することによりPCI後の非Q波心筋梗塞(MI)発現率が低下するとの研究結果が第58回American College of Cardiology学会i2サミットで発表された。過去に施行されたNovel Approaches for Preventing or Limiting Events :NAPLES(イベントを抑制および減少させる新たなアプローチ)Iトライアルの結果、PCIの7日以上前にアトルバスタチン40mgを投与することにより周術期の非Q波MI発現率が低下することが示された。NAPLES IIではインターベンションの24時間以内に高用量のアトルバスタチン投与もまた予防効果があるか否かを調査することが目的であった。このトライアルでは、選択的PCIを予定されているスタチンを内服していない患者668人をアトルバスタチン80mg投与群(338人)またはアトルバスタチン非投与群(330人)に無作為に割り付けた。周術期のMI発現率はアトルバスタチン群で9.5%でありコントロール群で15.8%であった(P=0.014;オッズ比0.56)。トロポニンの正常上限値の3倍以上の上昇発現率はアトルバスタチン群で26.6%でありコントロール群で39.1%であった(P<0.001;オッズ比0.56)。筆者らは、今回の結果からスタチンが周術期の心筋壊死を予防するという概念が支持されると述べている。 |
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部分的循環補助により薬物療法の無効な心不全患者の心機能が改善する [2009-04-14] |
Partial circulatory support improves heart function in medically refractory heart failure patients |
AAバッテリサイズで重さ25gのポンプにより薬物療法の無効な心不全患者の部分的な循環が補助され血行動態および心機能が改善した、と第58回American College of Cardiology学会で発表された。このスタディでは、たった2.5〜3.0L/分の血液を拍出するだけで心機能を補助する循環補助装置を16人の患者(男性13人、平均年齢52歳、ベースラインの平均駆出率20%)に植え込んだ。植え込み前の平均動脈圧は71mmHg、平均肺毛細管楔入圧は29mmHg、心拍出係数は1.9 L/min/m2であった。16人中13人の患者(81%)が3ヵ月後も生存していた。そのうち7人に10.6±6週の時点で右心カテーテルを施行した。平均動脈圧 (70±6mmHg対80±10mmHg、P=0.04)および心拍出係数(2.1±0.4対2.9±0.6、P=0.02)の増加と肺毛細管楔入圧の大幅な低下(30±5対16±4、P=0.002)が認められた。peak VO2は3.0±0.5ml/kg/min増加した(10.7±2.2対13.7±2.2、P=0.008)。 |
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小児期の中性脂肪増加は成人期の心血管イベントのリスクを上昇させる [2009-04-14] |
Elevated triglycerides in childhood increase risk for cardiovascular events in adulthood |
血中中性脂肪レベルの上昇している小児は成人期早期の心血管疾患(CVD)イベントのリスクが高い可能性があるとの研究結果が2009年第58回American
College of Cardiology学会で発表された。CVDのないコントロール789人と比較し、CVDを発症した者は小児期中性脂肪の平均値(127対76mg/dl、P<0.0001)およびボディマスインデックス(BMI
24.3対20.0kg/m2、P=0.012)が上昇していた。中性脂肪およびBMIの差は小児期の年齢、性別および人種でコントロールと症例をマッチングさせた後も依然として有意であった。多変量解析の結果、CVD歴のある者はまた、CVDのない者と比較し、たばこ乱用、過剰体重または肥満があり(BMI
33.2対28.6、P=0.0078)、糖尿病を有し(血糖122対90mg/dl、P=0.0001)、中性脂肪が上昇(251対135mg/dl、P=0.0016)している率が有意に高かった。このリスクファクターの差は成人期の年齢、性別および人種で補正してもなお認められた。この若年者を対象としたスタディではCVD症例数は少なかったが、今回のデータから小児期の中性脂肪上昇および肥満は若年期のCVD発症の原因となっていることが示唆された。 |
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JUPITER:一次予防としてスタチンを用いてLDLコレステロールおよびC反応性蛋白レベルを低下させることにより心血管リスクが改善する [2009-04-07] |
JUPITER: Lowering LDL and C-reactive protein levels with statins improves cardiovascular risk in primary prevention |
スタチン療法開始後に低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールおよび高感度C反応性蛋白(hsCRP)が低下した健康な男女は心血管リスクが劇的に低下したとのデータが2009年第58回American College of Cardiology学会で発表され、同時にLancet誌に掲載された。このJUPITERスタディ(一次予防におけるスタチン使用の正当性の証明:ロスバスタチンを評価する介入試験)の解析において研究者らは、LDLおよびhsCRPレベルに関連した心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院、動脈血行再建術、または心血管死発生率に対するロスバスタチン(20mg)とプラセボの効果を評価した。ロスバスタチンを内服しLDLコレステロールレベル70mg/L (1.8mmol/L)未満およびhsCRP2mg/L未満に達した者は心血管リスクが65%低下したのに対し、これらのレベルのいずれか一つを達成した者またはどちらも達成できなかったものにおける低下率は36%に過ぎなかった。無病生存率はLDLコレステロールおよびhsCRPレベルがより強力に低下(LDL<70mg/dLおよびhsCRP<1mg/L)した者においてより高かった;これらの患者は心血管リスクが80%低下した。JUPITERの他の報告によると、ロスバスタチンは静脈血栓塞栓症のリスクを40%以上低下させるとのことである。 |
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PROTECT AF:新たなデバイスは心房細動患者の脳卒中リスクを軽減する [2009-04-07] |
PROTECT AF: Novel device cuts stroke risk in patients with atrial fibrillation |
低侵襲技術を用いた心内植込み型デバイスは非弁膜症性心房細動患者の脳卒中予防に最も広く処方されている薬剤に取って代わる可能性があるとの、心房細動患者の塞栓予防(PROTECT AF)トライアルの結果が2009年第58回American College of Cardiology学会i2サミットで発表された。研究者らは現在の標準治療であるワルファリンによる抗凝固療法と、WATCHMANとして知られる、一般的に左心耳(LAA)内に形成される血栓を捕捉する生地で覆われた膨張型ニチノールケージを比較した。707人の非弁膜症性心房細動患者を、WATCHMANデバイスでLAAを閉鎖しその後ワルファリンを中止する群(463人)またはワルファリン長期治療群(244人)に無作為に割り付けた。900超患者/年の経過観察期間中における両脳卒中(虚血および出血)発症率および心血管死−有効性の一次評価項目−はデバイス群で100患者/年当り3.4例であったのに対し、ワルファリン群では100患者/年当り5.0例であり、32%低下した(相対リスク、0.68)。 |
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Eptifibatide使用のタイミングに関する疑問への回答がスタディにより得られた [2009-04-07] |
EARLY-ACS: Insignificant advantage to early Eptifibatide use during PCI in high-risk patients |
心筋梗塞の高リスク患者に対する抗凝固薬使用の最良のタイミングに関する10年間に渡る論争が解決した:結論は「どのタイミングで投与しても構わない」である。EARLY ACSスタディ(非ST上昇急性冠症候群に対する早期の糖蛋白IIb/IIIa阻害)の結果が2009年第58回American College of Cardiology学会レイトブレイキングクリニカルトライアルのセッションで発表され、同時に New England Journal of Medicineに掲載された。EARLY ACSは、標準的な抗血栓療法に加え、早期eptifibatide投与とPCI中のeptifibatide臨時投与を比較した、無作為化二重盲検コントロールスタディであった。計9,492人の患者が組み入れられ、全員が試験薬開始から12〜96時間後に侵襲的治療を施行された。有効性の一次エンドポイントは、あらゆる原因による死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術を必要とする虚血の再発、または96時間以内のベイルアウトステント施行の総合であった。二次エンドポイントは30日以内の死亡または心筋梗塞であった。その結果、早期のeptifibatide使用は一次エンドポイントも二次エンドポイントも有意に低下させないことが示された。しかし、早期にeptifibatideを使用することにより生命を脅かさない出血は増加することが明らかにされた。 |
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STITCH:心不全患者に対しCABGに加え外科的心室再建を施行してもCABG単独と効果は同等である [2009-04-07] |
STITCH: Surgical ventricular reconstruction plus CABG no better than CABG alone in heart failure patients |
虚血性心不全に対する外科治療(STICH)トライアルの結果、冠動脈バイパス術(CABG)に加えて外科的心室再建術(SVR)を施行された患者はCABGのみを施行された患者と比較し状態が良好なわけではない、と2009年American College of Cardiology学会で発表されNew England Journal of Medicineに掲載された。研究者らは左室駆出率≤35%で外科医がCABGを行うことにより管理できると判断した冠動脈疾患を有し、瘢痕化した機能不全組織が前壁−心尖部にある患者(年齢中央値62歳、男性85%)をCABGのみ(499人)またはCABGに加えSVR(501人)を施行する群に無作為に割り付けた。どちらの手術も症状および運動耐容能を改善した。SVRは左室収縮末期容積指数を20%減少させたのに対し、CABGでは3%の減少であった。しかし、経過観察期間(中央値4年間)の死亡率または心原性の入院率は二群間で差がなかった(CABG群で56%、CABG/SVR群で57%)。またACCで発表されAmerican Heart Journalオンライン版に掲載されたSTICHトライアルサブ解析においては、SVRはQOLの改善もしくは他の臨床上の有益性を生み出すことなく医療費を増やす、と結論付けられた。 |
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FIX-HF-5:新たなデバイスは心臓のポンプ機能を強化し運動耐容能およびQOLを改善する [2009-04-07] |
FIX-HF-5: Novel device helps heart to pump more forcefully improving exercise capability and quality of life |
電気刺激を心臓に送り毎回の収縮力を強化する治験デバイスは心不全患者の治療に有望であることが示された、と2009年第58回American College of Cardiology学会で発表された。FIX-HF-5スタディでは、駆出率35%以下で心電図上QRSの狭いNYHAクラスIIIまたはIVの心不全患者を、最大限の薬物療法単独(213人)または心収縮力調整(CCM)と最大限の薬物療法を組み合わせた群(215人)に無作為に割り付けた。6ヵ月後の時点で安全性は両群ともに等しく良好であったが、Peak VO2およびQOL(スコアが低いほどQOLが高い)はCCM群の方が良好であった(pVO2は0.65mL/kg/min改善し[p=0.024], QOLスコアは9.7ポイント低下した[p<0.0001])。無酸素性代謝閾値に有意差はなかった。しかし、中等度の心不全(NYHAクラスIII)で駆出率が25%以上の患者185人のみを解析したところ、三つの指標は全てCCM群において有意に改善していた(無酸素性代謝閾値は0.64mL/kg/min多く[p=0.03], pVO2は1.31mL/kg/min多く[p=0.001], QOLスコアは10.8ポイント低かった[p=0.003])。 |
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Heinz Nixdorf Recall Study:冠動脈石灰化は伝統的なリスクファクターよりも心血管疾患の予知因子して優れている [2009-04-07] |
Heinz Nixdorf Recall Study: Coronary artery calcium better predictor of cardiovascular disease than classic risk factors |
冠動脈石灰化(CAC)スコアは標準的な心血管リスクファクター(米国コレステロール教育プログラム[NCEP]の定めた)よりも、中等度リスクの患者のうち誰が心筋梗塞(MI)を起こしやすいかまたは心疾患にて死亡しやすいかの予知因子として優れている、と2009年第58回American College of Cardiology学会で発表された。CACスコアが最も高い4分の1に入る者と最も低い4分の1に入る者を比較すると、心疾患イベントの相対リスクは女性で3.16(p=0.009)であり、男性で11.09(p<0.0001)であった。受信者動作特性曲線(ROCカーブ)を作成し、この曲線の下部領域(AUC)により検査の臨床イベント予知能が計測できた(スコア1.0が最も望ましい)。NECPリスク分類およびCACスコアのAUCはそれぞれ0.667および0.740であり、NECPリスク分類とCACスコアを組み合わせるとAUCは0.754であった。NECPリスク分類とCACスコアの両者を含めた他の解析では、NECPリスクの最も高い者を最も低い者と比較するとMIまたは心臓死のオッズは3.19であった(p<0.0001)。CACスコアのリスク層別能はそれよりも優れ、冠動脈石灰化スコアが最も高い4分の1の者は最も低い4分の1の者と比較しオッズ比が4.26であった。 |
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