磁気共鳴画像とX線を使用したマンモグラフィの併用はマンモグラフィ単独よりも乳がん検出能が優れているが、偽陽性率も高くなる [2007-07-31]  
Magnetic resonance imaging plus X-ray mammography is superior to mammography for detection of breast cancer but also results in more false positives

磁気共鳴画像(MRI)とX線を使用したマンモグラフィの併用はマンモグラフィ単独よりも乳がんのハイリスクの患者に対する乳がん検出能が優れているが、この併用により偽陽性率も高くなるとのレビューがTARGET 2007年号に掲載された。研究者らは、6つのスタディにおける、家族歴からハイリスクと考えられる女性1,920人(平均年齢38〜46歳)のデータを解析した:生涯におけるリスクは30%以上と考えられた。計3,770人のスクリーニングが施行され、参加者は毎年、MRI、マンモグラフィ、超音波、および診察を受けた。その結果、MRIとマンモグラフィの併用によりマンモグラフィ単独よりも真の陽性検出率は2.7倍高かった。MRI検査単独はマンモグラフィー単独と比較し真の陽性検出率は2.3倍高かった。この解析の結果、併用によるスクリーニングにより、10個のがんをさらに発見するごとに16の偽陽性が生じることが示された。いくつかの施設から指摘されたこの欠点はこれらのハイリスク集団においては許容範囲内と考えられた。

男女とも肥満により多発性骨髄腫のリスクが上昇する [2007-07-31]  
Obesity increases risk for multiple myeloma in both men and women

男女とも肥満により多発性骨髄腫のリスクが上昇する、とCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 7月号に掲載された。医療従事者を対象にした米国の二つの大規模長期研究(計136,623人)の結果、215例の多発性骨髄腫が同定された。Body mass indexと疾患発症リスク上昇との関連は、肥満(BMI 30以上)において最も強く、やせた男性(BMI 22未満)と比較すると発症率が2倍高かった。この関連は過体重または肥満女性においてはやや低かったが、BMI上昇とともにリスクが上昇した。今回の結果は、過去の、より少人数のがん患者を対象としたスタディや1回の身長・体重に基づき検討したスタディの結果を支持するものである。

欧米型の食事をする閉経後のアジア人女性は野菜−大豆をベースとした食事を摂る人と比較し乳がんのリスクが高い [2007-07-24]  
Postmenopausal Asian women who eat a Western-type diet have an increased risk of breast cancer compared with peers who eat a vegetable-soy?based diet

肉類と単純な炭水化物をベースとした欧米型の食事をする閉経後アジア人女性は伝統的な野菜−大豆ベースの食事を摂る人と比較し乳がんのリスクが高い、とCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 7月号に掲載された。Shanghai Breast Cancer Studyの25〜64歳の女性計1,602人が新たに乳がんと診断された。1,459人(91.1%)に対し面接が行われた。コントロール群は上海の郊外の永住者から選ばれた:面接は対象者1,724人のうち90.3%に対し施行された。過体重で欧米食を多く摂取する女性はエストロゲン受容体陽性の乳がんリスクが2倍高かった。伝統的な食事と乳がんの総合的な関連は認められなかった。筆者らは食事によるマイナスの影響の一部は肥満との関連を通して生じている可能性があると述べている。

膀胱がん患者の尿中には出現するが健常人の尿中には出現しない5つの一群の蛋白質の計測は将来的にスクリーニング検査の基本となる可能性がある [2007-07-24]  
A set of five proteins that appears to be present in the urine of patients with bladder cancer but not in healthy peers may form the basis for a future screening test

膀胱がん患者の尿中には出現するが健常人の尿中には出現しない5つの一群の蛋白質の計測は、初期段階の疾患を検出し再発を監視する検査の基本となる可能性がある、とJournal of Proteome Research 7月6日号に掲載された。まず、研究者らは10人の成人(うち5人は膀胱がん患者)の尿検体中のグリコプロテインを計測した。新たな技術により少量(約30mL)の尿で計測が可能であった。同定された186の蛋白のうち、5つは膀胱がん患者においてのみ検出された。この結果からさらにこれまで146の蛋白しかなかったプロテオームのデータベースに新たなデータが加わった。より多くの患者および様々な病期およびグレードの患者の検体をスクリーニングするさらなる研究が予定されている。

Erlotinibに伴う発疹の重症度はがん進行までの期間の長さと正相関することを患者らは理解しておくべきである [2007-07-17]  
Patients should know that presence and severity of rash associated with erlotinib correlate positively with longer durations before progression of cancer

Erlotinib治療を受けた患者に伴う発疹の存在および重症度は、がんの無病生存期間の長さと正相関するとClinical Cancer Research 7月1日号に掲載された。研究者らは2つの大規模phase IIIトライアルのデータを解析した。進行非小細胞肺がんのスタディではerlotinib治療を受けた患者の81%に発疹が発症し、その多くがgrade 2であった。どのような発疹であってもその存在と全生存期間および無病進行期間には相関が認められ、相関は発疹のgradeが進むほど増強した:発疹のない患者の生存期間中央値は3.3ヵ月であったのに対し、grade 1の発疹を発症した患者では7.1ヵ月、grade 2の発疹を発症した患者では11.1ヵ月であった。膵がん患者においてはgrade 2以上の発疹を発症したerlotinib治療患者においてのみ生存期間の延長が認められた。発疹は通常軽度のステロイドまたは抗生剤治療が有効である。今後の研究により、一部の患者における発疹の誘発と免疫系の改善に相関があるか否かが調べられるであろう。

魚由来のオメガ3の豊富な食事は遺伝子的に前立腺がんを発症する疑いのある男性における予後を改善する可能性がある [2007-07-17]  
Diets high in omega-3 fatty acids from fish may have the potential to improve prognosis in men who are genetically susceptible to developing prostate cancer

マウスの研究から、魚由来のオメガ3の豊富な食事は遺伝子的に前立腺がんを発症する疑いのある男性における予後を改善する可能性があることがJournal of Clinical Investigation 7月2日号に掲載された。腫瘍抑制遺伝子Ptenが欠失するよう操作されたテストマウスを作成し前立腺がんを発症させた。離乳後、テストマウスおよびノーマルなマウスにオメガ3脂肪酸の豊富な食事(オメガ6とオメガ3の比率が1:1)、オメガ3脂肪酸の少ない食事(比率20:1)、またはオメガ6脂肪酸の多い食事(比率40:1)を与えた。その結果、腫瘍抑制遺伝子を有するマウスは、食事内容に関わらず腫瘍は出現しなかった。しかし、遺伝子欠失を有するマウス(この遺伝子欠失は転移を有する患者の60〜70%において認められる)においては、生存率が、高オメガ3の食事群で60%、低オメガ3の食事群で10%、および高オメガ6の食事群では0%であった。

多電極ラジオ波焼灼療法はサイズの大きい悪性肝腫瘍の治療として安全かつ有効であり現在行なわれている技術よりも短時間で済む [2007-07-10]  
Multiple-electrode radiofrequency ablation is safe and effective in treating large malignant liver tumors and can be done in less time than current techniques

多電極ラジオ波焼灼療法はサイズの大きい悪性肝腫瘍の治療として安全かつ有効であり現在行なわれている技術よりも短時間で済む、とAmerican Journal of Roentgenology 6月号に掲載された。研究者らは患者23人の38の悪性腫瘍を多電極ラジオ波焼灼療法で治療した。38個中37個の腫瘍において局所的な治療が達成され、そのうち34個は1回の治療で終了した。総焼灼時間は、単電極を使用したと仮定した場合と比較し54%縮小したものと推定された。腫瘍の再発および生存期間に関する長期データを得るため、追跡調査が継続中である。

小児がん生存者で特に放射線療法を受けた若年成人のかなりの割合が重大な健康上の問題を有している [2007-07-10]  
A significant proportion of childhood cancer survivors develop serious health problems as young adults, especially those who received radiation therapy

小児がん生存者である若年成人の多くが重大な健康上の問題を有している、とJournal of the American Medical Association 6月27日号に掲載された。研究者らは治療後5年生存した(中間追跡期間17年)1,362人を評価した。追跡期間最終時の平均年齢は24.4歳であり88%は35歳未満であった。全体で、19.8%には有害事象は認められず、74.5%が1つ以上の有害事象を有しており、24.6%は5個以上有していた。さらに、36.8%が重度の、または生命を脅かすような、あるいは障害を残す有害事象を少なくとも1つは有しており、3.2%は有害事象のために死亡した。有害事象のうち整形外科的な障害が最も多く、二次がん、肥満、生殖障害、心理社会的または認知障害、神経障害、内分泌障害と続いていた。放射線療法のみを施行された患者のうち55%が高度または重度の事象を有していたのに対し、化学療法単独ではその割合が15%、手術単独では25%であった。

健康的な食事と適度な運動をする乳がん治療後の患者は体重に関係なくがん関連死亡率が半減する [2007-07-03]  
Breast cancer survivors who eat a healthy diet and exercise moderately can reduce the risk of breast cancer-related mortality by half regardless of body weight

健康的な食事と適度な運動をする乳がん治療後の患者は体重に関係なくがん関連死亡率が半減する、とJournal of Clinical Oncology 6月10日号に掲載された。研究者らは、現在進行中のWomen’s Health Eating and Livingスタディにおいて非集中的食事治療群に無作為に割り付けられた70歳以下の早期乳がん女性1,490人(平均年齢50歳)を追跡調査した。初回の治療は試験へ登録する前に終了していた。登録時および追跡期間(5〜11年)中に食事と身体活動性を調査した。肥満患者のうち身体的に活動的で健康的な食事をしている者はわずか16%であり、肥満でない者におけるその割合は30%であった。しかし、身体的に活動的で健康的な食事をしている患者全体の死亡率は7%であり、そうでない者の約半分であった。

新たなマーカーはステージIIまたはIIIの結腸がん患者の再発予測に役立ちアジュバント化学療法が最も有益である患者を予測するのに役立つ可能性がある [2007-07-03]  
New markers may help predict recurrence in patients with stage II or III colon cancer and help predict who is most likely to benefit from adjuvant chemotherapy

血管内皮増殖因子およびその受容体の二つの遺伝子多型はステージIIまたはIIIの結腸がん患者の再発予測に役立ち術後化学療法が最も有益であるステージII患者を予測するのに役立つ可能性がある、とAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。ある主要ながんセンターの研究者らは血液検体を解析し、がんの進行に関連する33の遺伝子の多型性のある特異的な型により再発が予測できるか否かを調べた。197人の患者中72人がステージII、125人がステージIIIの結腸がんを有していた。血管新生に関連する二つの遺伝子は再発を予測することが明らかになった。予備試験の結果、ステージIIの結腸直腸がん患者は腫瘍の再発に関連する明確な分子プロファイルを有しているようであり、これによりアジュバント化学療法が最も有効な患者を発見するスクリーニングが将来開発されるのに役立つ可能性があることも示された。

 


 

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