小さなビデオカプセルを飲み込む大腸内視鏡により、一部の大腸がんの高リスク患者が従来の大腸内視鏡検査を避けられる可能性がある [2006-10-31]
Colonoscopy via a small swallowed video capsule may allow some patients at high risk for colon cancer to avoid traditional colonoscopy examinations

小さなビデオカプセルを飲み込む大腸内視鏡により、一部の大腸がんの高リスク患者が従来の大腸内視鏡検査を避けられる可能性がある、と第71回American College of Gastroenterology学会で発表された。研究者らは51人の患者(平均年齢54歳)にカプセル内視鏡、virtual内視鏡、および従来の内視鏡検査を施行した。そのうち31人は通常のスクリーニングを受け、16人は家族歴陽性、3人は便潜血陽性、1人は過去にポリープを有していた。全ての検査と読影は異なる医師により盲検法で行われた。その結果15人の患者に17個のがん性ポリープが発見された。16個は従来の大腸鏡により発見され12個はカプセル内視鏡、5個はvirtual内視鏡により発見された。今後のトライアルや技術的な改善により、従来の大腸鏡の補足や従来の大腸鏡を受けられない患者の代替検査法としてカプセル大腸鏡がどの位置を占めるかが示されるであろう。

 
卵巣がんに対する腹腔内および静脈内投与化学療法を組み合わせることで、無病期間および生存率の両者を改善する [2006-10-31]
Combined intraperitoneal and intravenous chemotherapy for ovarian cancer improves both disease-free interval and survival

卵巣がんに対する腹腔内および静脈内投与化学療法を組み合わせることで無病期間および生存率の両者を改善する、とInternational Gynecologic Cancer Society学会にて発表された。研究者らは両方の投与法による化学療法に関する8つのトライアルを評価し、その結果、腹腔内および静脈内投与化学療法の併用療法を受けた患者は静脈内投与化学療法のみを受けた患者と比較し、がんによる死亡率が20%低く平均9ヵ月長く生存することが示された。学会の副会長は、この新たな発見は、腫瘍による負担を最大限に軽減するために腫瘍摘出術後に最良の可能な化学療法を行うことを強調する、2006年のUS National Cancer Instituteの声明を支持するものである、と述べている。

 
遺伝的に決定付けられたエストロゲンレベルの差により人種および民族間の乳がん発症率の差が説明できる可能性がある [2006-10-24]
Genetically determined differences in estrogen levels may explain differences in breast cancer incidence among different races and ethnic groups

遺伝的に決定付けられた閉経後の自然な状態のエストロゲンレベルの差により人種および民族間の乳がん発症率の差が説明できる可能性がある、とCancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention 10月号に掲載された。米国の研究者らはホルモン補充療法を受けていない閉経後女性739人(ハワイ人、日系米国人、白人、ヒスパニック、またはアフリカ系米国人)を評価した。年齢、body mass index、および他の因子で補正した後に、乳がん発症率に対するホルモンレベルを解析した。先住ハワイ人が最も乳がんのリスクが高く、エストロゲンレベルが最も高い民族の一つであった。日系米国人はハワイ人よりもエストロゲンレベルがやや低く5つの民族の中で2番目に乳がんのリスクが高かった。乳がん発症率は日本および米国において上昇しており、筆者らは、初潮年齢の低いことなどの生活習慣因子がエストロゲンレベルとがんのリスクに影響するかどうかに疑問をもっている。

 
卵巣がんの肝転移を有する一部の患者にとって経皮的ラジオ波焼灼術は有益である可能性がある [2006-10-24]
Percutaneous radiofrequency ablation may benefit selected patients with liver metastases from ovarian cancer

経皮的ラジオ波焼灼術により卵巣がんの肝転移を有する一部の患者は開腹腫瘍摘出術を免れる可能性がある、とAmerican Journal of Roentgenology 2006年9月号に掲載された。米国の研究者らは孤発性の肝転移巣に対し腫瘍摘出術を行わずにラジオ波焼灼術を施行された患者6人を評価した。1クールのラジオ波焼灼術後に6人中5人において腫瘍の完全な壊死が確認された。8ヵ月〜3.3年間の追跡期間中に、5人中4人においてはラジオ波焼灼術で治療された部位の再発は認められなかった。

 
骨転移を有する患者の病的骨折予防のためのビスホスホネート静脈内投与は顎の骨壊死のリスクを増加させる可能性がある [2006-10-17]
Intravenous use of bisphosphonates to avoid pathological fracture in patients with bone metastases may increase risk for osteonecrosis of the jaw

骨転移を有する患者の病的骨折や他の骨合併症予防のためのビスホスホネート静脈内投与は顎の骨壊死のリスクを増加させる可能性がある、とCurrent Opinions in Orthopaedics 10月号に掲載された。任意の報告に基づくと、ビスホスホネートの静脈内投与を開始されたがん患者の約1〜10%にその症状(露出した治癒しない骨が特徴)が出現した。疼痛や炎症が一般的であるが、一部の患者は無症状である。この病態は通常、ビスホスホネートの静脈内投与開始後数ヵ月または数年後に出現する。骨壊死は一般的には抜歯などの侵襲的な歯科処置後に起こる。さらなる研究が行われるまでは、患者には口腔内の健康状態を最大にし、侵襲的な歯科処置はビスホスホネート療法開始前に行うことが勧められる。

 
前立腺がんに対し高線量の強度変調放射線治療を行われた患者の多くはその後8年間無疾患で生存している [2006-10-17]
The majority of men treated with high-dose intensity-modulated radiation therapy for prostate cancer are alive without disease eight years afterward

臨床上局所的な前立腺がんに対し、高線量の強度変調放射線治療を受けた男性患者を対象にした最大のスタディの長期結果から、患者の大部分が治療後平均8年間疾患の徴候なく生存していることが示された、とJournal of Urology 10月号に掲載された。計561人の患者(平均68歳、46〜86歳)が米国のあるがんセンターで治療を受けた。患者は、年齢、T分類のステージ、Gleasonスコア、前立腺特異抗原レベル、および放射線治療前のネオアジュバントアンドロゲン除去療法に基づき層別化された。尿禁制能力は全ての患者において維持され、直腸から出血したのは9人(1.6%)だけであった。放射線療法によりリスクの低い患者の89%、リスクが中等度の患者の78%、およびリスクの高い患者の67%が治癒した。治療前に性的能力のあった男性のうち49%に勃起不全が生じた。

 
日本のスタディの結果、糖尿病の成人は全体的にいくつかの特定臓器のがんのリスクが高いことが示された [2006-10-10]
Japanese study indicates that adults with diabetes have an overall higher risk of cancer as well as higher risk for several specific organs

糖尿病の成人は全体的に、肝臓、膵臓、腎臓などのいくつかの特定臓器のがんのリスクが高いことが示された、とArchives of Internal Medicine 9月25日号に掲載された。日本の研究者らは、1990〜1994年にかけて成人97,771人(男性46,548人、女性51,223人)をスタディに登録した。ベースラインの質問で生活習慣因子と糖尿病(男性の6.7%、女性の3.1%が罹患)に関して調査した。2003年のフォローアップ終了時までに男性3,907人(うち366人が糖尿病)、女性2,555人(うち104人が糖尿病)の計6,462人にがんが発症した。糖尿病を有する男性は有さない男性と比較し、がんのリスクが27%高く、特に肝臓、腎臓、および膵臓がんのリスクが高かった。一方糖尿病を有する女性は有さない女性よりもがんのリスクが21%高かったが、その差は統計学的に有意ではなかった。しかし、胃がんおよび肝臓がんのリスクは有意に高く、また卵巣がんのリスクの高さはボーダーラインであった。

 
前立腺がんに対するゴナドトロピン放出ホルモン作動薬は糖尿病や冠疾患のリスクを上昇させるようである [2006-10-10]
Gonadotropin-releasing hormone agonist therapy for prostate cancer appears to increase risk for diabetes and coronary heart disease

前立腺がんに対するゴナドトロピン放出ホルモン作動薬は糖尿病や冠疾患のリスクを上昇させるようである、とJournal of Clinical Oncology 9月20日号に掲載された。この観察研究では、局所に限局し転移のない前立腺がんと診断された66歳以上の米国人男性約73,000人のデータを調査し、ホルモン療法が糖尿病、冠疾患、心筋梗塞、または突然死の発生率を上昇させるか否かについて評価した。その結果、ホルモン療法で治療された患者はホルモン療法を受けなかった患者と比較し、糖尿病や冠疾患の発生率がそれぞれ44%および16%高かった。筆者らは医師と患者に対して、特に生存に関する有益性が明らかでない患者に対しては、治療方針を決定する際にがん以外のリスクを考慮に入れるよう強調している。

 
ある酵素の血中レベルが早期前立腺がんに対する感度、特異度に優れた診断検査となる可能性がある [2006-10-03]
Blood level of a certain enzyme may be the basis for a more sensitive and specific diagnostic test for early prostate cancer

Aspartyl beta-hydroxylaseの血中レベル測定は、前立腺特異抗原(PSA)や直腸診と比較して早期の前立腺がんの診断に対してより感度、特異度に優れたバイオマーカーである可能性がある、とthe first meeting on Molecular Diagnostics in Cancer Therapeutic Developmentにて発表された。以前の研究にて研究者らは20種類以上の異なったがん組織を検査し、1,000以上の正常組織と比較した。免疫組織化学染色の結果、癌組織の99%以上でその酵素が陽性であったが、正常組織で陽性のものは認められなかった。今回の研究では研究者らは16人の前立腺がん患者と23人の健常人の血中aspartyl beta-hydroxylaseレベルを比較した。その結果、16人の前立腺がん患者全てで血中aspartyl beta-hydroxylaseレベルは高値を呈していたが、健常人23人のうち高値を呈しているものは認められなかった。現在、多数の正常および前立腺がん組織を用いた臨床試験が計画されている。発表者らは、血中のPSAおよび直腸診によっても診断がつかない場合に、この新しい検査が前立腺生検をなすべき患者を同定する優れた指標となることを期待している。

 
ラロキシフェンは、乳がんの発症リスクが高い女性および低い女性に関わらず閉経後の浸潤性乳がんの発症リスクを軽減する [2006-10-03]
Raloxifene protects postmenopausal women from developing invasive breast cancer whether they are at high or low risk of developing the disease

ラロキシフェンは、乳がんの発症のリスクが高い女性および低い女性に関わらず閉経後の浸潤性乳がんの発症リスクを軽減する、とClinical Cancer Research 9月1日号に掲載された。これは、ラロキシフェンを用い骨粗鬆症女性の骨折のリスク軽減を評価した初めての臨床試験(MORE)およびその継続試験(CORE)のデータを用いた新たな解析の結果である。この2つのトライアルは4,011人に対し実薬またはプラセボを8年間使用した結果を集積し評価した。プラセボと比較し、ラロキシフェンは乳がんの家族歴のない女性において発症を58%、家族歴を有する女性において89%軽減した。研究者らは家族歴を有する女性において不釣り合いに効果が高かった理由は説明できなかったが、このリスク軽減により家族歴を有する女性の乳がん発症リスクを家族歴のない女性と同程度に低下させることができた、と述べている。

 
 


 

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