DOL ASCO2002 学会速報





Plenary Presentation: Plenary Session
  
進行非小細胞肺癌に対する単剤化学療法と多剤併用療法の比較:有効性、QOL、および費用に関するCALGBの無作為化比較試験
Single-Agent (SA) versus Combination Chemotherapy (CC) in Advanced Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC): A CALGB Randomized Trial of Efficacy, Quality of Life (QOL) and Cost-Effectiveness
 
584例の進行非小細胞肺癌症例を対象に、多剤併用療法と単剤化学療法を比較した。Carboplatinとパクリタキセルの併用療法によりパクリタキセル単剤療法に比べて生存率が有意に改善することが示された。併用療法では毒性も増強したが対応可能であり、QOLには差を認めなかった。以上より、進行非小細胞肺癌に対する標準的治療法は多剤併用療法であると考えられる。 


Education Session: Multidisciplinary Management of Early Lung Cancer
  
I/II期の肺癌治療における外科治療の役割
Role of Surgery in the Treatment of Stage I and II Lung Cancer
 
切除療法は早期の非小細胞肺癌に対する最も有効な治療法である。しかしながら、早期であっても、楔状切除や区域切除を推奨するためには、縮小手術により病変のコントロールが十分にできることを示さなければならない。リンパ節のサンプリングと完全なリンパ節郭清の役割の違いは未解決の問題であり、現在臨床試験が進行中である。縮小手術は検診発見例や気管支肺胞の過形成の治療には有用かも知れない。  
  
I/II期の非小細胞肺癌に対して集学的治療法は有用か? 
Stage I/II Non-Small-Cell Lung Cancer: Is There a Role for Combined-Modality Therapy?
 
早期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、現在治癒の可能性が最も大きいのは切除であるが、たとえ完全に切除できても、予後は満足できるものではない。多くの研究者が放射線療法や化学療法を併用することにより生存率などの改善に努めたが、現時点では、早期のNSCLCに対する集学的治療法の役割は確立されていない。  


肺癌における標的治療
Education Session: Targeted Therapy for Lung Cancer
  
肺癌治療への新しい分子標的の薬剤
Novel Targeted Agents for the Treatment of Lung Cancer
 
多くの新規薬剤が非小細胞肺癌(NSCLC)で臨床研究中である。これらの薬剤の開発は肺癌細胞が正常細胞とどのように異なっているかの理解が進んだことを反映している。これらの薬剤にはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI)、合成レチノイド、そしてプロテインキナーゼアルファC阻害剤(PKCα阻害剤)が含まれる。  
  
上皮増殖因子受容体遮断:非小細胞肺癌への標的治療
Epidermal Growth Factor Receptor Blockade: Targeted Therapy for Non-Small Cell Lung Cancer
 
上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的とする薬剤は、標準的化学療法単独の治療成績以上に、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療成績を改善する助けとなるかも知れない。研究者らは、これらのいくつかの薬剤を単剤または化学療法と併用して評価した。将来の方向としてはEGFR阻害剤を術後治療として用いる、通常の化学療法に耐えられない患者への最初の治療として投与する、あるいは化学予防として評価することであろう。  


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