DOL AHA2002 学会速報






 
 


Plenary Session XII:
災害、ストレス、およびうつ病−新しい世紀の危険因子
Disaster, Stress, and Depression - Risk Factors for the New Millennium

うつ病と冠動脈疾患:原因か結果か?

Depression and Coronary Artery Disease: Cause or Effect?
うつ病は、冠動脈疾患と診断された患者の予後不良と強く相関する。この事実にもかかわらず、冠動脈疾患患者に対するうつ病治療の研究は2つしか行われていない。医師は、うつ病は冠動脈疾患患者の危険因子として考慮し、適切に治療する必要がある。また、より多くの治療研究が行われるべきだと考える。


カルシウムシグナリングと収縮タンパク
Calcium Signaling and Cardial Contractile Proteins

カルベジロールはラット心筋細胞においてβ遮断作用とは独立した機序によって、酸化ストレスによって引き起こされる心筋小胞体Ca2+-ATPase遺伝子の発現低下を抑制する

Carvedilol Effectively Blocks the Oxidative Stress-Mediated Downregulation of Sarcomeric Reticulum Ca2+-ATPase Gene Expression Independent of Its Beta Blocking Activity in Neonatal Rat Cardiac Myocytes
虚血、圧負荷、あるいは容量負荷は心筋に対して酸化ストレスを与え、心臓のポンプ機能を低下させる。小板橋博士らは、カルベジロールが酸化ストレスによるCa2+-ATPase(SERCA2)遺伝子の転写活性の低下を抑制することを見出した。この効果はカルベジロールの代謝産物で、β遮断作用をもたないものでも認められることから、β遮断作用とは独立した、カルベジロールの抗酸化作用によるものであろうと結論した。


左室機能と血行動態
Ventricular Function and Hemodynamics

急性心筋梗塞後のカルベジロール治療とリモデリング:時間経過とともにみられる種々の効果と想定される機序。CAPRICORNエコーサブスタディ

Carvedilol and Left Ventricular Remodeling Following Acute Myocardial Infarction: Variable Effects Over Time and Possible Mechanisms. The CAPRICORN Echo Substudy
カルベジロールは、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)に加えることにより、急性心筋梗塞後の左室機能の低下した患者において、リモデリングに関して有利な効果がある。研究者らが報告したところによると、左室収縮末期容量(LVESV)、左室拡張末期容量(LVEDV)、左室駆出率(LVEF)および壁運動スコアインデックス(WMSI)において改善がみられたという。早期の治療効果は、カルベジロールのβ遮断作用と血管拡張作用から生じているようだ。治療の後半では、血管拡張作用は弱まり、効果は主にβ遮断作用から生じている。

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