DOL ACC 2002 学会速報


不整脈

Arrhythmias

 
 
Medical Director
Bruce B. Dan, M.D.
日本語版監修
篠山重威(浜松労災病院院長)



Late-Breaking Clinical Trials I

  持続的心房細動の治療における心拍数のコントロールと電気的除細動の比較―死亡率と心事故発生に対する2つの治療法の無作為比較試験:RACE試験
  Rate Control versus Electrical Cardioversion for Persistent Atrial Fibrillation. A Randomized Comparison of Two Treatment Strategies Concerning Mortality and Morbidity: The RACE Study

 
この3年間の臨床試験において、死亡率と心事故発生率の改善をエンドポイントとして心拍数のコントロールとリズムのコントロールのどちらがより有効かに関して、無作為の比較が行われた。試験の結果から心拍コントロールはリズムコントロールに劣るものではないことが示された。高血圧患者のように心房細動の再発の危険が高い患者では心拍コントロール治療が有効であると考えられる。
 
  心房細動を有する患者の生存率:リズムの管理に基づく心房細動追跡研究(AFFIRM試験)
  Survival in Patients Presenting with Atrial Fibrillation: The Atrial Fibrillation Follow-Up Investigation of Rhythm Management (AFFIRM) Study
  AFFIRM試験では、約4,000例の心房細動の患者が無作為に一般的なリズムコントロール治療と心拍コントロール治療に割り付けられ、死亡のリスクへの効果が比較された。この大規模試験で得られた第1の結果は心拍コントロール群で死亡例が少なかったということである。この結果は統計的に有意ではなかったが、心拍コントロールは心房細動患者の治療に少なくともリズムコントロールと同等には有効であることを示唆するものであった。さらに、心拍コントロール治療は経費の節減とQOLの改善という点ではより有効であると考えられる。
 

Controversies in Cardiology I
 
  発作性心房細動を有するすべての患者で治療早期の段階で肺静脈アブレーションを考慮すべきか
 

Pulmonary Vein Ablation Should Be Considered Early in the Course of Therapy in All Patients with Paroxysmal Atrial Fibrillation

  Protagonist:発作性心房細動に対する抗不整脈薬治療は一般的には十分でない。ほとんどの患者で、電気生理学的にその原因部位は肺静脈内にある。原因となるフォーカスや肺静脈と心房とを電気的に連結している部位のアブレーションはより効果的で治癒率は80%に達する。

Antagonist:今の時点で発作性心房細動を有するすべての患者に肺静脈のアブレーションを行うのは適切でない。アブレーションには潜在的に脳卒中、心タンポナーデ、肺静脈狭窄などの重大な有害事象を併発するリスクがある。患者を正しく選び、抗不整脈薬の投与を間違いなく行えば、同等の効果をより安全に得ることができる。

 
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