うつ病は急性肺傷害からの回復と関連がある
  パーキンソン病に関連した認知症は脳萎縮と関係がある
  双極性障害のリスクは出産直後に増加する
  急性肺傷害後のうつは多い
  ADHDの小児においては脳の機能的パスウェイが障害されている
(RSNA Abstract # LL-PDS-SU1A)
  MRIスタディの結果、魚摂取によりアルツハイマーリスクが低下することが示された
(RSNA Abstract # SST11-04)
  暴力的なビデオゲームは脳機能を変化させる
(RSNA Abstract # SST11-06) 

 12月20日のDOL Newsはサンアントニオ乳がんシンポジウム特集のため、
 Psychiatryニュースはお休みさせていただきました。



急性肺傷害によるICU滞在後に長期うつ症状および身体障害がしばしば発現する [2011-12-27]

Long-lasting depressive symptoms and physical impairment often follow ICU stays following acute lung injury

急性肺傷害から回復した重症患者は、新たな明らかに長期にわたるうつ症状および多くの日常業務の遂行が不可能になる新たな身体障害をしばしば発現する。American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに掲載されたこのスタディの結果、うつ症状はしばしば新たな身体障害に先行し、その逆はないことも示された。研究者らは急性肺傷害後の患者186人を、罹患後3、12および24ヵ月に評価し、うつの程度および電話、買い物や食事の準備などの日常生活における重要な業務を独力で行う能力を調査した。その結果、過去にうつ症状を経験したことのない者であっても40%が退院後2年以内にうつ症状を発現し、66%が新たな身体障害を経験した。このスタディ対象者の平均年齢は49歳であった。この結果は他の疾患や外傷により病院の集中治療室で人工呼吸器に繋がれる時間を過ごした患者にも該当する可能性があると研究チームは述べている。 

パーキンソン病患者の認知機能低下はMRI上のあるパターンの脳体積減少と関連している [2011-12-27]

Cognitive decline in patients with Parkinson disease associated with certain patterns of brain volume decreases on MRI

パーキンソン病関連認知症患者は認知症のないパーキンソン病患者と比較し、海馬、側頭葉および頭頂葉の萎縮や前頭前皮質体積減少が著明であるとの報告がArchives of Neurology 12月号に掲載された。スタディにはパーキンソン病(PD)患者84人が組み入れられた:61人は認知機能が正常であり(PD-MC)、12人は軽度認知障害を有し(PD-MCI)、11人は認知症を呈していた(PDD)。健常コントロール23人も含まれた。MRI検査においては、PD-NC患者とコントロール群とでは局所脳体積に差はなかった。PD-MCI患者とPDD患者においてはPD-NC群患者と比較し海馬体積が小さかったが、PD-MCI患者とPDD患者とでは差が認められなかった。PDD患者においてはPD-NC群患者と比較し内側側頭葉が萎縮していたがPD-MCI群患者ではそうではなかった。PD-MCI群患者ではPD-NC群患者とは異なりPDD患者と類似のパターンの脳萎縮を有していた。このパターンは海馬、前頭皮質灰白質および白質、後頭葉灰白質および白質、そして頭頂葉白質の萎縮であった。

産後の精神疾患のエピソードは双極性感情障害発症リスクの上昇と関連がある [2011-12-13]

Post-partum psychiatric episodes associated with increased risk of developing bipolar affective disorder
産後30日以内に精神疾患のエピソードを経験すると双極性感情障害発症のリスクが上昇するようであるとArchives of General Psychiatryオンライン版に掲載された。研究者らは、双極性感情障害以外の何かの精神疾患による精神科初診歴を有するデンマーク生まれの女性120,378人のデータを収集した。経過観察期間中に3,062人が双極性感情障害と診断され、うち132人は初回の精神科受診が産後0〜12ヵ月であった。初診の15年後、産後早期(0〜30日)に発症した女性の13.87%が双極性障害へと変化し、後期発症(産後31〜365日)した者では4.69%、および他の時点で発症した者では4.04%が双極性障害へと変化した。さらに長期の解析では、産後早期に発症した女性のうち初診後22年以内に双極性感情障害となった女性は18.98%であったのに対し、産後後期発症女性のその割合は6.51%であり、他の時点で発症した女性のその割合は5.43%であった。入院した者は外来受診した者よりも発症率が高かった。

急性肺傷害後のうつ症状や身体機能障害は頻度が高く長期持続する [2011-12-13]

Depressive symptoms and impaired physical function are frequent and long lasting after acute lung injury
急性肺傷害(ALI)後2年間のうつ症状や身体機能障害は頻度が高く長期持続するとの新たなスタディ結果がAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine印刷版に先立ちオンライン版で公表された。人工呼吸器装着のALI患者計186人を傷害後3、6、12、および24ヵ月追跡調査した。アウトカムは、患者の不安およびうつ病に関する尺度(HADS;8点以上はうつ症状を示唆)、および手段的日常生活動作(IADL)における依存度(2つ以上の障害は身体機能障害を示唆)で評価した。ベースライン時にうつ症状のなかった患者147人における2年間の累積うつ病発症率は40%であり、ベースライン時点で身体機能障害を有していなかった患者112人における累積身体機能障害発症率は66%であった。発症率は3ヵ月後に最も高く、その後低下した。それぞれのアウトカム期間の最頻値は21ヵ月を超えていた。多変量解析では、教育期間が12年以下であるとうつ症状発症と有意に関連があり、最後のフォローアップ時にうつ症状を有していることと身体機能障害発症とは有意に関連があった。

ADHDのマーカーとなりうる検査結果が脳の異常を示したfMRIから明らかにされた [2011-12-06]

Potential biomarker for ADHD revealed though fMRI study that identified brain abnormalities
機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いた結果、注意欠陥多動性障害(ADHD)のバイオマーカーとなりうる小児の脳の異常が同定されたとのスタディ結果が、2011年Radiological Society of North America学会で発表された。研究者らは典型的な発育過程にある小児18人およびADHDと診断された小児18人(9歳〜15歳)にfMRIを施行した。fMRIを行う一方で小児らは注意力を持続する検査(1組の3つの数を見せたあとに次の数字群が元の組にマッチしているか否かを尋ねる)に参加した。各々の対象に対しfMRIにより脳活性化マップが作成され、小児が課題を行っている間にどの脳部位が活性化するかが示された。正常なコントロール群と比較し、ADHDの小児は視覚的な注意情報を処理するのに関わるいくつかの脳領域の機能的活性が異常であることが示された。ADHDの小児の視覚皮質と前頭前皮質との機能的連結性に障害が存在することが明らかにされた。このスタディは予備的ではあるが、今回の結果は、ADHDにおいて視覚刺激がないための作業記憶の欠損の基盤となっている可能性がある。

3D volumetric MRIスタディの結果、魚摂取と灰白質体積量が大きいことおよび認知機能低下リスク低下には関連があることが示された [2011-12-06]

3D volumetric MRI study reveals that fish consumption is associated with larger gray matter volumes and reduced risk for cognitive decline
焼き魚または蒸し魚を毎週摂取する人々は脳の健康が向上し軽度認知機能障害(MCI)およびアルツハイマー病発症のリスクが軽減する可能性がある、と2011年Radiological Society of North America学会で発表された。このスタディの対象として、Cardiovascular Health Studyから認知機能の正常な260人が抽出された。魚摂取に関する情報はNational Cancer Institute Food Frequency Questionnaire(米国国立がん研究所食物摂取頻度アンケート)を用いて収集した。魚を毎週摂取する者は163人であり、多くが魚を週1〜4回摂取していた。各患者は脳の3D volumetric MRIを施行された。焼き魚または蒸し魚を毎週摂取することと脳のいくつかの領域の灰白質体積とには正の相関関係が認められた。魚摂取量と関連した海馬、後帯状回および眼窩前頭皮質体積増加は5年間のMCIまたはアルツハイマー病への進行を約5倍減少させた。焼き魚または蒸し魚を良く食べる人は認知機能もまた良好であった。揚げ魚を食べても脳体積は増加せず、認知機能保護も認められなかった。

暴力的なビデオゲームで1週間遊ぶことにより認知機能および感情コントロールに関連した脳領域が変化する [2011-12-06]

One week of violent video game play alters brain regions associated with cognitive function and emotional control
暴力的なビデオゲーム遊びの長期的な脳への影響を若年男性において機能的磁気共鳴画像(fMRI)で解析した結果、認知機能および感情コントロールに関連した脳領域の変化が認められた、と2011年Radiological Society of North America学会で発表された。過去に暴力的なビデオゲームへの接触の少ない18〜29歳の健康な成人男性を2群に無作為割り付けした。1つ目の群は家で10時間のシューティングゲームを1週間行い、次の週はゲームを止めた。もう2つ目の群は暴力的なゲームを全く行わなかった。各参加者は、感情的干渉課題および認知阻害計算課題を行っている間のfMRIを、スタディ開始時に加えフォローアップの1および2週後に施行された。1週後に、ビデオゲーム群においては、彼らのベースライン時およびコントロール群と比較し、感情的な課題を行っている間の左下前頭葉の活性化が少なく、計算課題施行中の前帯状皮質の活性化が少なかった。ゲームを止めてから2週後にはこの高次領域の変化は消失していた。


 

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