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fMRIにおいて前頭葉に認められる感情に関連した反応により反復性うつ病患者における再発が予測された
[2011-08-30]
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Mood-linked responses seen in the frontal lobes on brain
fMRI predict relapse in patients with recurrent depression |
Biological Psychiatryに掲載された論文によると、過去にうつ病を患った患者において悲しみの状態が軽度の時の脳反応の特徴により再びうつ状態になるか否かが予測できることが示唆された。機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて研究者らは、過去にうつ病を患った患者16人に悲しい映画を見せ、その間に彼らの脳活性画像を撮影した。その後1.5年間に16人中半数がうつ病を再発した。研究者らは再発した患者の脳活性を、再発していない患者および過去にうつ病歴のない者のそれと比較した。悲しみに直面した時に、再発した患者の内側前頭回として知られる前頭葉領域の活性がより高く認められた。この領域の反応はまた反芻スコアが高いこと(良くない出来事を強迫的に考える傾向)とも関連があった。再発のなかった患者においては視覚情報を処理する役割を果たす後頭領域の活性が上昇していた。視覚領域の反応はまた、容認の感情が大であることおよび経験について偏った判断をしないことと関連があった。悲しみに対する前頭葉および視覚領域の反応はいずれも非典型的であり、これらの変化はうつ病歴のない者においては認められなかった。 |
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中等度の社会的飲酒はアルツハイマー病および認知機能障害を予防する [2011-08-30]
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Moderate social drinking protects against Alzheimer’s
disease and cognitive impairment |
中等度の付き合い酒は認知症および認知機能障害リスクを有意に低下させるとの143のスタディの結果がNeuropsychiatric
Disease and Treatment誌に掲載された。中等度の飲酒とは男性で最大1日2杯、女性で最大1日1杯の飲酒で定義した。研究者らは、合計365,000人強を対象としたスタディを1977年まで遡りレビューした。その結果、中等度の飲酒者は認知機能障害やアルツハイマー病およびその他の型の認知症発症率が23%
低かった。ワインは、ビールや蒸留酒よりもより効果が高かった。しかし、多くの論文はアルコールの種類で区別していないため、この結果は比較的少数のスタディの結果を基にしたものである。アルコールの効果に男女差はなかった。中等度飲酒の有益性は19ヵ国中14ヵ国において認められた。他の5ヵ国のうち
3ヵ国においても有益性は認められたが、統計学的に有意ではなかった。この結果は異なるタイプ(長期コホート、ケースコントロールおよびクロスセクショナル)のスタディいずれにおいても
同様であった。この中等度飲酒による認知症予防効果は年齢、教育、性別および喫煙で補正してもなお認められた。
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女性においてうつ病歴は脳卒中リスクを増加させる
[2011-08-23] |
History of depression in women associated with increased
risk of stroke |
うつ病の女性は脳卒中高リスクに直面している可能性があるとの新たな研究結果がStroke誌に掲載された。研究者らは2000〜2006年の
Nurses' Health Study対象者である54〜79歳の脳卒中既往歴のない女性80,574人を追跡した。メンタルヘルスインデクスを用いて彼女らのうつ症状に関して複数回評価した。ベースライン時のうつ病有病率は22%と報告され、追跡期間の6年間に確認された脳卒中は1,033件であった。うつ病歴により総脳卒中リスクは−他の脳卒中リスクファクターを考慮に入れても−29%上昇することが明らかにされた。抗うつ薬−特に選択的セロトニン再取込み阻害薬−を使用している女性は脳卒中リスクが39%高かった。うつ病歴を有さない女性と比較し、うつ病を有する女性は独身で喫煙者であり身体活動性が低い傾向にあった。彼女らはまたやや若くボディマスインデックスは高く、高血圧、心疾患および糖尿病などの合併症を有する傾向にあった。うつ病は、他の疾患または基礎にある脳内血管疾患のみならず炎症などの様々なメカニズムを通して脳卒中リスクを上昇させる可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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アルツハイマー病に関連した症状は80歳以上の高齢者においてはより捉えがたい [2011-08-23] |
Symptoms associated with Alzheimer's disease are more
subtle in people
over 80 years old |
Neurology®オンライン版2011年8月10日号に掲載された新たなスタディにより、脳萎縮とアルツハイマー病による記憶障害との関連性は年齢とともに変化することが示唆された。研究者らはアルツハイマー病患者105人と認知症のない125人を調査した。全体的な認知機能障害は同レベルであったが、アルツハイマー病に関連した変化のパターンは、80歳以上(非常に高齢)の人々において69〜75歳(前期高齢者)と比較し目立たないようであった。健康な対照群と比較した際の実行機能、直後の記憶および注意/構成の異常へのスピードは、非常に高齢の人々において前期高齢者よりも軽度であった。非常に高齢の人々はまた前期高齢者と比較し、健康な対照者と比べた脳皮質や大脳全体の菲薄化が軽度であった。これはひとつには、彼らの脳領域は加齢により既に減少しており、従って健康な非常に高齢者の脳と非常に高齢のアルツハイマー病患者の脳との差が軽度であったのであろうと筆者らは述べている。
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大量喫煙からの離脱により気分調節に関連した領域の画像が変化する
[2011-08-09]
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Withdrawal from heavy cigarette smoking associated with
brain imaging changes in regions related to mood regulation |
脳画像検査所見から、大量喫煙者が禁煙する際にうつ状態を経験する者が存在する理由の糸口が得られる可能性があるとArchives
of General Psychiatry 8月号に掲載された。研究者らは非喫煙者24人と健常喫煙者24人(中等量喫煙者[1日15〜24本]12人、大量喫煙者[1日25本以上]12人)を調査した。ポジトロン断層撮影を非喫煙者に1回、喫煙者に2回(喫煙後に1回と急に禁煙した後に1回)施行した。大量喫煙者においては禁煙時にMAO-A濃度上昇(変化度は前頭前野および前帯状皮質においてそれぞれ23.7%と33.3%)が認められたが、中等度喫煙者においてはみられなかった。大量喫煙者においては喫煙の多さと状態(喫煙中と離脱後のMAO-A密度計測値)に非常に有意な相互作用が認められた。前頭前野および前帯状皮質のMAO-A密度計測値も大量喫煙者の離脱期間中に高かった。大量喫煙者においては、喫煙期間中と禁煙中とのうつ気分の変化も指摘された。
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小児期の逆境や早期発症精神疾患は成人期の慢性身体疾患が高率であることと関連がある
[2011-08-09]
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Childhood adversities and early-onset mental disorders
associated with higher rates of chronic physical problems
in adulthood |
心理社会的な逆境や早期発症の精神疾患を経験した小児は将来、慢性身体疾患を発症するリスクが高いとArchives
of General Psychiatry 8月号に報告された。研究者らは、世界保健機関世界精神衛生調査(World
Health Organization World Mental Health Surveys initiative)に参加した10ヵ国のデータを調査した。この研究に含まれた精神疾患は不安障害およびうつ病であった。小児期の逆境には虐待、ネグレクト、死亡または他の理由による親の喪失、離婚、親の薬物乱用、親の犯罪行動、家庭内暴力および家庭の経済的逆境が含まれた。早期発症のそれぞれの精神疾患は成人期発症の3つの慢性疼痛疾患(変形性関節症、慢性脊椎痛および頻回または重症の頭痛)と関連があった。小児期身体的虐待は研究者らが含めた慢性疾患(心疾患、喘息、糖尿病、変形性関節症、慢性脊椎痛および頭痛)それぞれの予後と関連があった。小児期逆境で補正しても早期発症精神疾患は依然として成人期発症慢性身体疾患と関連があった。小児期逆境の数が多いほど成人期発症慢性身体疾患を発症する確率が高く、この結果から
用量反応関係も認められた。 |
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ADHDを有する小児はこれを有さない小児と比較し、道路を横断し始める際に間違った判断をしがちである
[2011-08-02]
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Children with ADHD make more incorrect decisions on when
to begin crossing a street than children without ADHD |
注意欠陥/多動性障害(ADHD)を有する小児は道路横断時に車に轢かれるリスクが高いとの研究結果がPediatrics誌7月25日号に掲載された。この結果から、ADHDの小児は、ADHDでない小児と同様に情報を処理せず、いつ道路を横断し始めるかの判断の間違いがADHDでない小児よりもより大きい傾向にある。このスタディには7〜10歳の小児78人が組み入れられ、うち39人はADHDであり残りの39人はADHDを有していなかった。子供たちは仮想の道路環境で10回のシミュレーション横断を行った。子供たちは仮想道路を安全に横切るために適切な間を計り、縁石から車道に出て横切り始めるよう指導された。ADHDの子供は、道路に近づいた時―横断する前に左右を確認する―ADHDを有さない子どもと同様、正しい方法を行った。しかし、ADHDの子供は向かってくる車との間隔を短くとり、車との”接近信号”がより多く、横断歩道を渡り切るまでに残された時間が短かった。ADHDの小児の親は、子供に自分で道路を渡らせる時期を遅めにする必要がある可能性があると研究者らは述べている。
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軽度アルツハイマー病患者の多くは無気力およびうつ病も患っている
[2011-08-02]
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Many patients with mild Alzheimer's disease also suffer
from apathy and depression |
軽度アルツハイマー病と新たに診断された患者の半数近くが無気力やうつ病も患っているとのスタディ結果が2011年Alzheimer's
AssociationR International Conferenceで発表された。このスタディではまた、これらの患者群のうち有意により多くの社会的補助を受けている者はより自主性がなく日常活動性機能スコアが低いことも示された。規定の診断クライテリアを用いたこの疫学スタディは、新たにアルツハイマー病と診断された患者におけるうつ病および無気力の頻度を予測し、これらの疾患を有する患者のタイプを分類することを試みた。このクロスセクションフランス国内スタディでは115人の医師らの組み入れた患者734人を対象とした。その結果、無気力およびうつ病の頻度はそれぞれ41.6%と47.9%であった。組み入れられた患者のうち32.4%が無気力とうつ病の両者を、9.4%は無気力のみを、15.4%はうつ病のみを有しており、42.9%は無気力もうつ病も有していなかった。この比較スタディの結果、無気力を有する軽度アルツハイマー病患者は無気力を有さない患者と比較し、より多くの社会的補助を受けていた(それぞれ22.4%対10.6%、p<0.0001)。同様に、うつ病を有する軽度アルツハイマー病患者はうつ病を有さない患者と比較し、有意により多くの社会的補助を受けていた(それぞれ20.2%
および11.1%、p<0.01)。
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