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PROTECT
スタディ:心不全患者のNT-proBNPレベルを低下させることにより心血管系合併症が有意に低下する [2011-10-25] |
PROTECT Study: Reducing NT-proBNP levels in heart failure
patients significantly reduces cardiovascular complications |
最も一般的な型の心不全の標準治療に心負荷バイオマーカーの定期的な血中レベル検査を追加することにより、心血管系合併症発現が有意に減少する可能性があるとJournal
of the American College of Cardiology 10月25日号に掲載された。PROTECTスタディは、左室機能低下を有する患者のみに限定し、NT-proBNPレベルを未治療時の
2,000pg/mLから1,000pg/mLまで低下させるという意欲的な目標を設定した。スタディ参加者全員が、血圧や心拍数などの臨床標的を用いて薬物用量を導く標準的な心不全治療を受けた。しかし、患者のうち半分は血中NT-proBNPレベル計測が通常の評価に含まれており、薬物はNT-
proBNP目標に到達するように調整された。4年間のこのトライアルに参加した患者151人における心不全増悪率や心不全入院率は、NT-proBNP
計測値を指標に治療された者において半分に低下した。NT-proBNPにおいては標準治療群と比較し、生活の質もより良好であり、心エコー検査上の心筋構造や機能の改善がより大であることが示された。 |
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MRIは血管造影や超音波よりもプラーク内のコレステロール量を詳細に計測できる [2011-10-25]
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MRIs more precisely measure amount of cholesterol in plaque
than angiograms or ultrasound |
コレステロール薬の内服を最近開始した患者の磁気共鳴画像(MRI)検査の結果、抗コレステロール薬を用いた強化療法によりプラーク内コレステロール量が有意に減少することが示されたとのスタディ結果がJournal
of the American College of Cardiology: Cardiovascular
Imagingに掲載された。心血管疾患を監視するのに従来用いられていた血管造影や超音波などの画像技術は蓄積プラークの全体の大きさを示す。今回の新たなスタディにおいて、MRIスキャンはより詳細にプラーク内のコレステロール量を示した。スタディには120人の患者を組み入れ、3つのコレステロール治療(アトロバスタチン、アトロバスタチンと徐放性ナイアシン、またはアトルバスタチンと徐放性ナイアシンおよびcolesevelam)のいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。頚動脈プラークが認められた患者の33%において3年後にプラーク内コレステロールが有意に減少していた。コレステロールは60.4mm3から37.4mm3に低下し、コレステロールから成るプラークの割合は14.2%から7.4%に低下した。筆者らは、MRIは抗コレステロール薬がどのように作用するかを評価するための強力で新たな手段となり得る、と結論付けている。 |
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むずむず脚症候群を有する中年女性は高血圧リスクが高い [2011-10-18]
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Middle-aged women with Restless Legs Syndrome have an
increased risk of hypertension |
むずむず脚症候群(RLS)を有する中年女性は高血圧を発症するリスクが高い可能性があるとの新たな研究結果がHypertensionに掲載された。研究者らはNurses
Health Study IIに参加した女性97,642人に対しRLS症状および高血圧の状態について質問した。80%を超える参加者が回答した。平均年齢は50.4歳であった。具体的には、異常な蟻走感、または運動制止不能や動かしたい衝動を伴った疼痛などについて質問した。質問は国際レストレスレッグススタディグループの基準に基づき作成された。その結果、RLS重症度と血圧に有意な相関が認められ、RLS頻度が高いと同時期の収縮期および拡張期血圧が高かった。特に、RLSが1ヵ月に5〜14回発現する女性は高血圧有病率が26%、RLSが1ヵ月に16回以上発現する場合には高血圧有病率が33%、RLS症状のない者における高血圧有病率は21.4%であった。この関連性は年齢、ボディマスインデックス、喫煙の有無、および脳卒中や心筋梗塞の既往などの共変因子とは無関係であった。 |
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あるガイドラインに従えば植込み型除細動器患者に対するMRI検査は安全である [2011-10-18]
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MRI tests safe for people with implanted cardiac devices
when certain guidelines are followed |
デバイス選択、プログラミングおよび注意深い患者監視などに基づく安全性プロトコールに従えば、植込み型心臓デバイス患者に対する磁気共鳴画像(MRI)診断検査は安全であることが示された。この前向きスタディは植込み型心臓デバイス患者438人に対し555回のMRI検査を行い観察した。その結果、適切な予防措置を行えば、ペースメーカーや除細動器患者に対するMRI検査は、検査により発生した磁場や高周波エネルギーによる誤作動、移動、過熱または異常心調律の発生などのリスクは低く施行できることが示された。今回参加した患者のデバイスのうち3つ(1.5%)はMRI検査中にパワーオンリセットイベントを発現した;つまり、スキャナーから発生したエネルギーによりデバイスが規定値の設定に戻ってしまった。これは検査中の専門家による監視の必要性の根拠を示した稀な事象であったが、検査終了後に簡単に修正された。これらの3人のうち15〜66週間の長期経過観察期間にデバイス異常を来した者はいなかった。3人のうち1人はスタディ期間中に4回のMRI検査を繰り返し受けたが問題は生じなかった。このスタディ結果はAnnals
of Internal Medicine 10月4日号に掲載された。 |
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待機的冠動脈形成術またはステント留置術後の同日退院は死亡および再入院リスクを上昇させない [2011-10-11]
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Same-day discharge after elective coronary angioplasty
or stent placement not associated with increased risk
of death or rehospitalization |
待機的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行される一部の選択された低リスク高齢者においては、同日退院は滅多に行われないが、一泊入院する患者と比較し、2日後および30日後の再入院または死亡リスクは高くなかったとのスタディ結果がJAMA
10月5日号に掲載された。このスタディには米国の903施設で待機的PCIを施行された患者(65歳以上)107,018人が組み入れられた。患者はPCI後の滞在期間に基づき同日退院または一泊入院の2群に分類された。その結果、死亡または再入院率は2日後(同日退院0.37%
対一泊入院0.50%)および30日後(同日退院9.63%対一泊入院9.70%)において有意差がなかった。これらの有害事象が発現した患者の死亡または再入院までの期間中央値は両群間で差がなかった(同日退院13日対一泊入院14日)。今回のスタディで同日退院したのはわずか1.25%(1,339人)であったと筆者らは注釈を付けている。 |
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交代制勤務によりストレスホルモンコルチゾールの上昇により心血管リスクが上昇する可能性がある [2011-10-11]
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Elevated levels of stress hormone cortisol may increase
cardiovascular risks for shift workers |
Journal of Clinical
Endocrinology & Metabolism 2011年11月号に掲載予定のある最近のスタディの結果、若年期の交代制勤務はコルチゾールの長期間の上昇につながりボディマスインデクスが上昇することが示された。過去のスタディの結果、長期間のコルチゾールレベル上昇により内臓肥満、高血圧、糖尿病および心血管リスクが上昇することが示されている。今回のスタディにおいて研究者らは交代制勤務の者33人および日中の勤務者89人の毛髪検体を採取した。これらの毛髪からメタノールを用いてコルチゾールを抽出した。コルチゾールレベルは、唾液内のコルチゾール濃度を測定する診断用ELISAコルチゾールキットを使用して計測した。その結果、交代制勤務の者、特に40歳未満の者においてコルチゾールレベルが長時間に
わたって有意に上昇していることが示された。これは、交代制勤務により長期間のコルチゾールレベルの変化がもたらされ、このストレスホルモンコルチゾールが交代制勤務者の心血管リスク上昇の原因となる1つの因子である可能性があることを示した初めてのスタディである。 |
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心臓リハビリテーションは運動後の心拍数の正常拍数への回復能を改善し生存率を上昇させる [2011-10-04]
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Cardiac rehabilitation improves the heart's ability to
return to a normal rate after exercise and boosts survival |
心臓リハビリテーションにより心臓が運動後に正常心拍数にすばやく復するように鍛えることができることが初めて明らかにされた。Circulationにおいて報告されたあるスタディにおいて研究者らは、心拍数の回復が正常な心疾患患者は心拍回復が遅延している患者と比較し生存期間が長いと述べている。彼らは心臓リハビリテーションを行うよう指示された様々な心疾患患者1,070人を観察した。彼らは、12週間の心臓リハビリテーション前後の運動負荷試験時の心拍数の回復を計測した。12拍以下は異常と考えられた。心拍数の回復が異常であり心臓リハビリテーションを開始した患者544人中41%が12週後には心拍数の回復が正常となった。心拍数の回復が正常で心臓リハビリテーションを開始した526人中89%が心臓リハビリテーション後も正常を維持した。8年以内の死亡リスクは、喫煙歴、体重および内服薬変更などの因子で補正した後も、心臓リハビリテーション後も心拍数回復が異常であった患者において2倍以上であった。心拍数回復速度が改善しなかった患者は高齢で糖尿病、末梢動脈疾患およびうっ血性心不全歴を有する傾向にあった。 |
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閉経後5年以内の女性において大豆蛋白が頸動脈内膜中膜肥厚の進行を遅延させる [2011-10-04]
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Soy protein reduced progression of carotid artery intima-media
thickness in women within 5 years of menopause |
Stroke 2011年11月号に掲載予定の新たなスタディの結果、閉経後5年以内の女性における動脈血栓の進行を大豆蛋白が軽減するとの有望なデータが示された。このスタディは、糖尿病や心疾患と診断されたことのない45〜92歳の閉経後女性350人を対象とした、二重盲検プラセボコントロールパラレルスタディであった。頸動脈内膜中膜肥厚(CIMT)進行率はイソフラボンを含む大豆蛋白群においてプラセボ群と比較し、平均16%低い傾向にあった。しかし、5年以内に閉経した女性においては分離大豆蛋白摂取によりプラセボ摂取と比較しCIMT進行が68%低下と有意に軽減した。血漿および尿中イソフラボン検査よりこのスタディにおけるコンプライアンスは非常に良好であったことが確認された。このスタディは分離大豆蛋白摂取の動脈硬化進行に対する効果を直接調査したこれまでで最も大規模で長期のスタディである。 |
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