DASH食餌療法、運動、カロリー制限は過剰体重で高血圧を有する成人の精神機能を改善する [2010-03-16]

DASH diet, exercise, calorie restriction may help improve mental function in overweight, hypertensive adults

DASH食餌療法と運動およびカロリー制限の併用により、食餌療法も運動もしなかった者と比較し、過剰体重で高血圧を有する成人の精神機能が30%改善したとHypertensionに掲載された。DASH食餌療法では低脂肪食品、低コレステロール高炭水化物食、および果物や野菜の摂取を推奨する。この無作為化トライアルにおいて、高血圧により神経認知機能低下のリスクの高い成人における食事および運動の神経認知機能(記憶力、注意力、および新たな事柄を学ぶ能力)に及ぼす影響を調査した。研究者らは平均年齢52歳の男女124人を、DASH食餌療法と有酸素運動やカロリー制限を含む体重管理プログラム、DASH食餌療法単独、および食餌療法や運動を含まない通常のケアの3群に割り付けた。食餌療法と体重管理群においては他の2群と比較し、スタディ期間4ヵ月の間に収縮期血圧16mmHgおよび拡張期血圧10mmHgと著明な低下を認め、心血管の状態が改善し血圧が低下したのに加え体重も減少した。研究者らは、今後は認知症のリスクの高い成人における食事および運動の効果を調査するスタディを行うことを提案している。

 

術中覚醒は外傷後ストレス障害を含む精神的な問題に関連する [2010-03-16]

Episodes of consciousness during surgery linked to psychological problems including posttraumatic stress disorder

術中に覚醒したことが確認されている患者は、その後数年が経過しても外傷後ストレス障害(PTSD)を含む精神的な問題の発現率が高いとAnesthesia & Analgesia 3月号に掲載された。2,500人近い患者を対象とした画期的な"B-Aware"スタディにおいては、バイスペクトラルインデクス(BIS)モニターにより、確認された術中覚醒のリスクが有意に減少した。BISモニターを用いた患者群における術中覚醒は2例であったのに対し、モニターなしの群では11例であった。術中覚醒のエピソードから5年後では、"B-Aware"患者13人中7人が生存していた。彼らに対し一連の心理テストを施行し、これらの患者に対する術中覚醒の長期的な影響を評価した。PTSD率は71%であり憂慮すべき結果であった(厳密にマッチさせたコントロール群におけるその割合は12%)。編集者らは、術中覚醒が確認された患者らは心理的リハビリテーションプログラムに参加しこれらの長期的な影響を軽減すべきである、と述べている。

 

植込み型除細動器を検査するために心室細動を誘発することは有意な認知機能の問題と関連がある [2010-03-09]

Inducing ventricular fibrillation to test implantable cardioverter defibrillator linked to significant cognitive problems
植込み型除細動器の標準的な検査である心室細動の誘発は有意な認知機能の問題と関連するが、ほとんどの患者においてデバイス植え込み後1年以内に改善するとCirculation: Arrhythmia and Electrophysiologyに掲載された。この長期スタディにおいて研究者らは52人の患者(平均年齢61歳、男性86%)に対し、ICD植込みの数日前に一連の認知機能検査を行い、その6週後と6および12ヵ月後に再検査を行った。4分の3近くが過去に心臓発作の既往を有し、半数以上が心拍異常を有すると診断された。研究者らは、術後検査点数の20%が術前よりも20%低下した時点で認知機能の問題があると考えた。術前の思考処理点数と比較すると、参加者の3分の1を上回る患者がICD植込み術後6週と6および12ヵ月後に有意な認知機能の問題を有していた。注意力、見た単語や物および聞いた単語の短期記憶が最も多く障害されていた。多くの患者が正常な能力を術後12ヵ月以内に回復したが、認知機能の問題の出現時期は患者により異なった。少数の患者群(10%)ではICD植込み術から12ヵ月後に初めて障害を発症した。
 

人生における目的が大きいほどアルツハイマー病のリスクが低い [2010-03-09]

Having greater purpose in life associated with a reduced risk of Alzheimer's disease

人生における大きな目的(人生における経験から意味を導き出し意識的に目標に向かって行動する心理的傾向)を有している人ほどアルツハイマー病または軽度認知障害を発症しにくいようであるとArchives of General Psychiatry 3月号に掲載された。対象者の人生における目的は、「過去に行ったことや将来行いたいことを考えると気分がよい」および「人生において方向性や目的を有している」などの記述に同感するレベルによって測定した。年1回の臨床的追跡評価を行った平均4年後に951人中155人(16.3%)がアルツハイマー病を発症した。他の関連する因子で補正したところ、人生における目的が大きいとアルツハイマー病発症のリスクを実質的に低下させ、同様に軽度認知障害のリスクを低下させ、認知機能障害の発症を遅らせた。特に、人生における目的の計測値が5点中4.2(90パーセンタイル)の者は3.0(10パーセンタイル)の者と比較し、アルツハイマー病非発症率が2.4倍高かった。

 

TIAや軽微な虚血性脳卒中において実行機能の障害は高率に認められる [2010-03-02]

High prevalence of executive dysfunction in patients following TIA or minor ischemic stroke

一過性脳虚血発作(TIA)や軽微な脳卒中患者の10人に4人近くが認知機能障害を有すると2010年American Stroke Association's International Stroke Conference学会で発表された。症状出現から1週間以内に連続140人の患者(平均年齢67歳)が、思考プロセスのスピード、抽象化、および推論能力などのいわゆる“実行機能”の低下を検出できる一連の検査を受けた。その結果、これらの機能−他の精神能力および行動を調節し協調させる高レベルの認知技能−がTIAや軽微な脳卒中患者の約40%において障害されていた。また、アルツハイマー型認知症患者を検出するためにデザインされたMini Mental Status Examを行った結果、この検査は軽微な脳卒中やTIA患者の認知機能障害は検出しないことが示された。TIAや軽微な脳卒中を経験した患者において認知機能障害は多く認められるが、アルツハイマー型認知症の検査のためにデザインされた方法のみに頼ると見逃す可能性があると筆者らは述べている。このスタディ対象者の61%は女性であったが、機能障害の発現率が男女で違うかどうかは明らかにされていない。

 

高齢者は急性期の治療目的または重篤な疾患で入院することによりその後認知機能が低下する確率が高い [2010-03-02]

Hospitalization for acute care or critical illness associated with greater likelihood of subsequent cognitive decline for older adults

急性期の治療目的または重篤な疾患で入院した高齢者は入院していない高齢者と比較し認知機能が低下しやすいとJAMA 2月24日号に掲載された。このスタディは、スタディ開始時に認知症を有さなかった65歳以上の高齢者2,929人を対象とした。平均6.1年間の追跡期間中に1,601人は入院しなかった;1,287人は非重篤疾患で入院、41人は重篤疾患で入院した。スタディ期間中に入院しなかった者においては146例の認知症が出現した。非重篤疾患で1回以上入院したが重篤疾患による入院のなかった者においては228例の認知症が出現した。また、重篤疾患で1回以上入院した者においては5例の認知症が出現した。急性期の治療または重篤疾患により入院した者の追跡期間中の認知機能スクリーニング法(Cognitive Abilities Screening Instrument)スコアは、入院しなかった者よりも低かった。また、様々な因子で補正後の非重篤疾患で入院した患者の認知症リスクは40%高かった。重篤疾患で入院した患者のリスクもやはり高かったが、有意ではなかった。

 


 

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