TROPIC:Cabazitaxelは転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の生存期間を延長する [2010-03-16]
TROPIC: Cabazitaxel prolongs survival in men with metastatic castration-resistant prostate cancer

2010年Genitourinary Cancers Symposiumで発表された第3相臨床試験において、治験薬cabazitaxelが標準的な治療法と比較し、ホルモン療法およびドセタキセルベースの化学療法にもかかわらず進行した転移性前立腺がん男性の生存期間を30%延長することが報告された。現在のところこのような患者に対する有効な治療法はない。TROPIC(Treatment of Hormone-Refractory Metastatic Prostate Cancer Previously Treated with a Taxotere-Containing Regimen:タキソテールを含むプロトコール治療歴のあるホルモン抵抗性転移性前立腺がんの治療)スタディは26ヵ国132施設で実施され、去勢抵抗性前立腺がん患者755人を対象とした。患者らはcabazitaxelとプレドニゾン投与群、またはミトキサントロンとプレドニゾン投与群に無作為に割り付けられた。経過観察期間中央値12.8ヵ月後、cabazitaxel群は中央値で15.1ヵ月生存したのに対し、ミトキサントロン群では12.7ヵ月であり、この差は明らかに統計学的に有意であった。無増悪進行期間、腫瘍奏効率、PSA奏効率、およびPSA進行率の全てに関してcabazitaxelにおいて好ましい結果が得られた。Cabazitaxel群はミトキサントロン群に比べ好中球減少を伴う発熱(発熱性好中球減少症:それぞれ7.5%と1.3%)の確率が高かった。

ホルモン療法と放射線療法の併用は中等度リスクの早期前立腺がん患者の生存率を改善し再発を減少させる [2010-03-16]  
Hormone therapy plus radiation improves survival and reduces recurrence in men with intermediate-risk early-stage prostate cancer

中線量の放射線療法前および治療中に短期ホルモン療法を併用された中等度リスクの早期前立腺がん患者は、同様の放射線療法のみを施行された患者と比較し、生存期間が長く再発しにくい。2010年Genitourinary Cancers Symposiumで発表されたこのスタディにおいて、研究者らは限局性前立腺がんに対し放射線療法の2ヵ月前より4ヵ月間のホルモン療法(HRT)を併用する患者987人(PSA20以下)および放射線療法単独を施行された患者992人の生存期間および再発率を比較した。経過観察期間中央値8.4年(HRT群)および8.1年(放射線単独群)の後にスタディは一次エンドポイントに達し、HRT群で12年後に生存していたのは51%であったのに対し放射線単独群では46%であった。ホルモン療法の生存期間に対する利益は中等度リスク患者で最も大であると思われた。低リスクの患者においてはホルモン療法追加の利益は認められなかった。治療2年後に843人の患者に対し前立腺再生検を施行した結果、HRT群においては生検組織の78%においてがんが認められなかったのに対し放射線単独群におけるその割合は60%であった。

Lasofoxifeneは乳がん、骨折、心疾患および脳卒中のリスク軽減に役立つ [2010-03-09]  
Lasofoxifene helps reduce risk of breast cancer, bone fractures, heart disease and stroke

低用量のlasofoxifeneは、骨粗鬆症を有する閉経後女性のER陽性乳がん、脊椎および脊椎以外の骨折、冠動脈疾患および脳卒中のリスクを軽減しうるとのスタディ結果がNew England Journal of Medicineに掲載された。59〜80歳の患者8,556人が5年間にわたり追跡された。3分の2の患者が1日0.25mgまたは0.5mgのlasofoxifeneを投与され、3分の1はプラセボを投与された。Lasofoxifeneを内服した患者においてはプラセボと比較し5年後の脊椎骨折(1日0.5mg内服群では58%、0.25mg内服群では31%)および脊椎以外の骨折(それぞれ24%および10%)が減少した。Lasofoxifeneを内服群においてはまた、プラセボ群と比較し骨密度が上昇した。Iasofoxifene内服患者ではエストロゲン受容体(ER)陽性乳がんリスクが低下し(それぞれ81%と48%)、LDLコレステロールは約16%低下した。研究者らは、全てが好ましい結果ばかりではなくlasofoxifene内服により静脈血栓塞栓症リスクは上昇する、と述べている。

喉頭温存治療により重度の発声障害や摂食機能障害発現率が低下する [2010-03-09]
Larynx preservation treatments result in low instance of severe voice disability or nutritional dysfunction

導入化学療法後に放射線照射を受け喉頭を温存された頭頸部がんの患者は重度の発声障害のリスクが低く摂食不可または嚥下障害を有する患者は約半数であるとのスタディ結果が、AHNS、ASCO、ASTRO およびSNM後援のMultidisciplinary Head and Neck Cancer Symposium(総合的頭頸部がんシンポジウム)で発表された。化学療法後に放射線照射を行う喉頭温存は有効な治療ではあるが、機能に関する結果はあまり報告されずこれらの患者のQOLに関しては不明である。フランスの研究者らはシスプラチンと5FUのみ(PF)またはドセタキセル併用(TPF)による化学療法後に放射線照射を施行された患者213人を観察し、発声の質、摂食機能およびQOLに関して評価した。61ヵ月間の追跡ののち、喉頭−食道機能障害のない生存率はPF群およびTPF群を平均すると28%であった。発声障害の程度は57%の患者において低く、わずか15%で重度であった。40%の患者が摂食不可または嚥下障害を全く認めず、8%が栄養チューブを必要とした。

スタディ結果からハイリスク女性における年1回のマンモグラフィー/MRIによるスクリーニングの勧告が支持された [2010-03-02]  
Study findings support current screening recommendations for annual mammography/MRI in high risk women

マンモグラフィーと磁気共鳴画像(MRI)検査の両方によるスクリーニングは乳がんリスクの高い女性においては平均余命を改善するのに費用対効果に優れた方法であり得る、との新たなスタディ結果がRadiology 3月号に掲載された。研究者らは、BRCA1変異を有する25歳の女性の仮想群におけるフィルムマンモグラフィー、MRI、およびマンモグラフィーとMRI併用の費用対効果を比較した。統計モデルを用いてスクリーニングにより増加する質調整生存年(QALY)および生涯コストを推定した。QALYとはQOLと生存年数の両方を計測する指標である。マンモグラフィーとMRI併用で毎年スクリーニングを施行された女性は$110,973のコストで得られたQALYは49.62であった。年1回のMRIコストは$108,641で得られたQALYは49.50、マンモグラフィー単独コストは$100,336で得られたQALYsは44.46であった。年1回のMRIを年1回のマンモグラフィーに追加することで、それぞれのQALYが得られる必要コストは$69,125であった。何が費用対効果に優れた介入であるかに関するコンセンサスは得られていないが、一般的に用いられる閾値はQALYあたり$50,000 から $100,000である。この併用スクリーニングは乳がんリスクが上昇するほど費用対効果に優れ、リスクが低下するほど費用対効果は劣っていた。

大腸内視鏡検査を消化器専門医に施行された者は大腸がん発症リスクが低い [2010-03-02]  
Those who have colonoscopy performed by gastroenterologists are less likely to develop colorectal cancer

全大腸内視鏡検査の結果が陰性であっても、消化器専門医以外に病院で施行された場合、その後の大腸がん(CRC)発症リスクが有意に高いとClinical Gastroenterology and Hepatologyに掲載された。1992〜1997年に全大腸内視鏡検査を施行され問題のなかった50〜80歳のオンタリオの住民110,402人が抽出された。対象者には、CRC、炎症性腸疾患または最近の大腸切除施行の既往歴はなかった。15年間の追跡期間中に1,596人(14.5%)が大腸がんを発症した。大腸内視鏡検査の平均施行回数とCRCの診断に相関はなかった。大腸内視鏡検査を病院で施行された患者が大多数(86%)であったが、彼らのうち消化器専門医以外(例えば一般外科医、内科医または家庭医など)に施行された者で、その後のCRC発症リスクが有意に上昇した。大腸内視鏡を個人の診療所やクリニックで受けた者においては、内視鏡の専門性はCRC発症率とは相関がなかった。これらのスタディ結果から、日常診療において内視鏡の専門性は大腸内視鏡検査の有効性を決定付けるのに重要な因子であることが示唆された。



 

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