低血糖は認知症のリスクと関連がある
  ICU滞在後うつ病の重症度予測
  自殺の予知
  治療により全般性不安障害の症状が改善する

 4月7日、14日のDOL NewsはACC特集のため、Psychiatryニュースは
  お休みさせていただきました。



高齢糖尿病患者において重症の低血糖は認知症のリスク上昇と関連がある [2009-04-28]

Severe hypoglycemia linked with higher risk of dementia for older adults with diabetes

入院するほど重症の低血糖発作経験のある高齢2型糖尿病患者は認知症のリスクが高い、とJAMA 4月15日号に掲載された。このスタディには2型糖尿病患者16,667人(平均年齢65歳)が組み入れられた。1,822人(11%)が認知症と診断され、1,465人(8.8%)は低血糖発作を一度は経験していた;250人(16.95%)が認知症および一回以上の低血糖発作を有していた。低血糖発作頻度別の年齢で補正した認知症発症率は、少なくとも一回は低血糖発作を経験した患者において低血糖発作を経験したことのない患者と比較し、有意に高かった(低血糖発作を経験した患者は経験したことのない患者と比較し、経過観察1年ごとの認知症絶対リスクが2.39%高かった)。この1年ごとの絶対リスクの差はあまり大きくないが、蓄積すると影響はかなりのものになると筆者らは述べている。低血糖発作のない患者と比較し、発作を一回経験した患者は認知症リスクが26%高く、2回の者は80%高く、3回以上の者は認知症リスクが2倍近かった。

 

ICUにおけるベンゾジアゼピンの使用および他の因子によりICU滞在後うつ病の重症度が予測できる可能性がある [2009-04-28]

In the ICU, use of benzodiazepines and other factors may predict severity of post-stay depression

Critical Care Medicineオンライン版4月10日号に掲載されたスタディにおいて、重度の臓器障害があり比較的高用量のベンゾジアゼピンによる鎮静を行われた非常に重症の集中治療室(ICU)の患者のうち入院6ヵ月後にうつ症状を有する者を予測するいくつかの因子が報告された。研究者らは、急性肺傷害(ALI)をICUで治療された後6ヵ月以上生存した患者160人のうつ症状を測定するアンケートを行った。これらの患者のうち26%がうつ病の可能性を示唆する閾値を超えていた。他のALI後の患者と比較し、うつ病患者は臓器障害の程度が重くベンゾジアゼピンを75mg以上使用して鎮静されている率が高かった。筆者らは、臓器障害がより重症であればICU退室後の身体的回復期間が長くなるため、これらの患者のうつ病の原因の一部は回復が遅いことで説明できる可能性があると述べている。しかし、うつ病とICUで使用されたベンゾジアゼピンの用量との関連の説明が明らかでなく、さらなるスタディを行うことを勧めている。

 

男性において小児期の精神医学的な問題は将来の自殺企図を予知する [2009-04-21]

Childhood psychiatric problems may predict future suicide attempts in males

10歳代または若年成人期に自殺をした男性または自殺を試みたために病院でのケアが必要となった男性は、8歳の時点で高度の精神医学的な問題を有しているようであるとArchives of General Psychiatry 4月号に掲載された。フィンランドの研究者らは1981年に生まれた5,302人を調査した。8年後に、精神状態、学校での成績および家族背景に関する情報を収集し、その後彼らを2005年まで追跡した。計54人(1%)の男女が自殺をしたかあるいは入院するほど深刻な自殺を試みた。深刻な自殺企図があったかまたは自殺した男性27人中78%が、8歳の時点で行ったスクリーニングで精神症状を有し、それと比較し女性におけるその割合は11%であった。さらに、将来的に生命を脅かすような自殺を試みるまたは自殺をする男性は、8歳の時点で両親が実父母でない家庭で育っていたり、教師から心理学的な問題があると指摘されたり、多動症や感情的な問題をもっている率が高かった。女性においては8歳の時点におけるこれらの因子が、将来の自殺を予知することはなかった。男女ともに8歳の時点でのうつ病は将来の自殺を予知しなかった。

 

認知行動療法は高齢者のうつ、不安障害および心配の軽減に有効である [2009-04-21]

Cognitive behavior therapy helps older adults with depression, anxiety and reducing worry

全般性不安障害を有する高齢者は認知行動療法(CBT)を受けることにより心配、うつ、および精神衛生上の計測値が、強化療法(enhanced usual care:EUC)よりも改善したとJAMA 4月8日号に掲載された。このトライアルには134人の高齢者(平均年齢67歳)が組み入れられ、二つのプライマリケアの環境下に置かれ、治療を3ヵ月間受けた。評価はトライアルの開始時点、治療後(3ヵ月)、および12ヵ月間の経過観察後、さらに6、9、12、および15ヵ月後に行った。患者は、教育および自覚、リラクゼーショントレーニング、認知療法、問題解決スキルトレーニングおよび行動睡眠管理などを行うCBT群(70人)、またはスタディの最初の3ヵ月間同じセラピストが2週間に一度電話をすることによりサポートし患者の安全を保証するEUC群(64人)に無作為に割り付けられた。その結果、CBT群の患者はEUC群の患者と比較し心配の重症度、うつ症状、および全般的な精神衛生状態が有意に改善した。ITT解析では、心配の重症度で定義した奏効率は3ヵ月後の時点でCBTの方がEUCよりも高かった(40.0%対21.9%)。

 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.