自発的な運動は不安や抑うつを軽減しないようであるが遺伝的に気分と関係があるようである [2008-08-26]

Voluntary exercise does not appear to reduce anxiety and depression but may be genetically linked to mood

自発的な身体活動は不安や抑うつを軽減しないようであるが、運動と気分は共通の遺伝因子を介して関連しているようである、とArchives of General Psychiatry 8月号に掲載された。オランダの研究者らは5,952人の双生児および同胞1,357人と親1,249人を調査した。参加者は18〜50歳であり、余暇の運動についてのアンケートに解答し、不安およびうつ症状を測定する4つの尺度での評価を受けた。遺伝的に一卵性双生児においては、運動をする方が運動をしない者よりも不安やうつ症状が少ないということはなかった。一卵性双生児の一方に運動行動があると、もう一方の双生児の不安や抑うつ症状の予測因子となった。つまり、一方が運動をすればもう一方は症状が軽減する傾向にあった。しかし、遺伝子の一部のみを共有している二卵性双生児や兄弟においては同様のことが当てはまらなかった。さらに、経時的に解析した結果、運動レベルを増加しても不安症やうつ症状が軽減しないことが示された。

 

情動記憶に関する新たな知見によると、我々が何を記憶し何を忘れるかに睡眠が重要な役割を果たしていることが示唆された [2008-08-26]

New insights into emotional memories suggest that sleep plays a key role in determining what we remember - and what we forget

睡眠は、非常に強い感情移入の記憶の局面を選択的に維持強調する一方、記憶のはっきりしない背景の詳細を減少させるのに役立っているとのスタディ結果が、Psychological Science 8月号に掲載された。88人の大学生に、はっきりしない背景にはっきりしない対象が描かれている場面(車が1台店の前の通りに駐車している)、または、はっきりしない背景に刺激的で嫌な対象が描かれている場面(衝突してひどく破壊された車が店の前の同じ通りに駐車している)を見せた。1つ目のグループは覚醒して12時間過ごした後に、2つ目のグループは夜間に12時間過ごした後に(通常の夜間睡眠時間を含む)記憶力テストを受けた。3番目のベースラインのグループは、場面を30分見た後にテストを受けた。覚醒し続けていたグループは、嫌な場面全体を中央の対象物および背景を同じ割合で忘れていた。一方、睡眠をとったあとにテストを受けた者は、中央の嫌な対象物の詳細な記憶を維持していた。

 

軽度の認知障害が糖尿病の発症時期、期間および重症度と関連がある [2008-08-19]

Mild cognitive impairment associated with onset, duration and severity of diabetes

軽度の認知障害患者はより発症時期が早期で長期にわたる重症の糖尿病を有する傾向にある、とArchives of Neurology 8月号に掲載された。メイヨークリニックの研究者らは、2004年10月1日に70〜89歳であった人々を調査した。参加者らは神経学的診察、神経心理学的評価および血中グルコース濃度の検査を受け、糖尿病歴や治療および合併症についての質問に回答した。糖尿病歴の確認には医療記録リンケージシステムが使用された。軽度の認知障害患者329人における糖尿病有病率は認知症を有さない人々1,640人におけるそれと同程度であった(それぞれ20.1%と17.7%)。しかし、軽度認知障害患者は65歳以前に糖尿病を発症し10年以上にわたり患い、インスリン治療を受け糖尿病合併症を有する割合が高かった。これらの結果から、治療の種類や糖尿病合併症の有無により判断した糖尿病の期間および重症度は認知障害の病因において重要である可能性が示唆された。

 

エストラジオールと抗精神病薬の併用により統合失調症女性の精神病症状が軽減する [2008-08-19]

Estradiol plus antipsychotic medications relieves psychotic symptoms in women with schizophrenia

抗精神病薬と併用するとエストロゲンエストラジオールは統合失調症女性の有用な治療薬となるようである、とArchives of General Psychiatry 8月号に掲載された。オーストラリアの研究者らは、出産年齢の統合失調症女性102人を対象とした無作為化二重盲検スタディを施行した。常用薬に加え、56人の女性は貼布剤のエストラジオール1日100μgを、46人の女性はプラセボの貼布剤を28日間にわたり使用する群に無作為に割り付けられた。妄想および幻覚行動などの精神症状が毎週評価された。エストラジオール群は、抗精神病薬のみを内服した群と比較し、時間とともに精神症状がより改善した。さらに彼女らは陽性症状(正常機能のひずみを象徴する症状)の軽減も認めた。正常機能が失われた、あるいは衰えた際に発現する陰性症状については両群間で差を認めなかった。

 

礼儀正しい大人相手のコミュニケーションをとることにより、ナーシングホームのアルツハイマー患者のケアの質が向上する  [2008-08-05]

Respectful adult communication improves quality of care for Alzheimer's patients in nursing homes

小児めいた言葉で話しかけられているナーシングホームのアルツハイマー患者は治療に抵抗しがちであるとの新たな研究結果が、シカゴで開催された2008年Alzheimer's Association International Conference on Alzheimer's Diseaseで報告された。研究者らは、ナーシングホームスタッフの認知症患者とのコミュニケーションのとり方とそれに対する患者のケアへの抵抗(RTC)との相関関係を報告した。認知症を有するナーシングホーム居住者20人の入浴、着衣、口腔内ケア、および他のケアの最中その後の様子を録画し、ナーシングスタッフのコミュニケーションの仕方(普通の話し方、"elderspeak"[過度の介護、抑制、小児めいた対応によるコミュニケーションと定義]、または無言)および患者の行動(協力的、ケアに抵抗、または普通)を解析した。ケアに対する抵抗度尺度で測定した抵抗度は、"elderspeak"なコミュニケーション法をとると.55(CrI = .44 - .66)であり、普通の話し方で接すると.26 (CrI = .12 - .44)、無言の場合.36 (CrI = .21-.55)であった。ナーシングスタッフのelderspeakを減らすことにより認知症患者が介護者に対しより協力的になるかどうかを調査する研究が、今後必要である。

 

アルツハイマー病に対する実験的治療により軽度認知障害を有する患者の記憶力が改善した [2008-08-05]

Experimental Alzheimer's therapy shows improvement in memory for patients with mild cognitive impairment

軽度認知障害を有する患者の脳内タウ蛋白の初期変化を標的としたスタディにより良好な結果が得られ、アルツハイマー病におけるタウパスウェイの重要性が確認されたと2008年 Alzheimer's Association International Conference on Alzheimer's Disease で報告された。米国の16の医療機関の患者144人が低用量または高用量 AL-108(低用量=1日5mg、高用量=15mgを1日2回)またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。認知機能検査を薬剤投与開始4週間前、ベースライン、薬剤投与開始後4、8、12および16週に施行した。薬剤開始4週後に、高用量群において遅延見本合わせテストの有意な改善が認められた(ベースラインから34.2%の変化、p=0.067対プラセボ)。16週までにベースラインから62.4%の改善が認められ(p=0.038対プラセボ)、治療終了4週後にも治療効果が持続していることが示された。高用量群においてはdigit span forwardテストの有意な改善が 8週後に認められ、その効果は16週後にも依然として持続しておりベースラインから11.7%変化していた(p=0.052、対プラセボ)。AL-108低用量群はプラセボ群と差がなかった。

 


 

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