ストレスに対する反応に関連する遺伝子の違いにより、小児期に虐待を受けた成人の外傷後ストレス障害のリスクを予測できるようである、とJournal of
the American Medical Association 3月19日号に掲載された。研究者らは小児期に明らかな虐待または他の外傷を受けた患者900人を評価し遺伝子を解析した。小児期の虐待レベルおよび他の外傷からそれぞれ成人期の症状のレベルが予測できた。FKBP5遺伝子の変異は症状の直接的な予測因子ではなく、非虐待性の外傷から成人期の症状を予測するのに関与していなかったが、4つの特異的な変異は小児期の虐待から成人期の症状を予測するのに有意に影響していた。この遺伝子と環境の相互作用は、うつ病重症度スコア、年齢、性別、小児虐待以外の外傷のレベル、および家族の遺伝子で補正した後も依然として認められた。
乳がんの治療薬として使用されている抗エストロゲン薬タモキシフェンは双極性障害患者の躁病症状を軽減する可能性がある、とArchives of General
Psychiatry 3月号に掲載された。タモキシフェンは、思考の混乱や判断障害などの躁病症状に関連するプロテインキナーゼCを阻害する。21日間のトライアルにおいて、研究者らは18〜60歳の患者66人(全ての患者が躁病または躁病を含む混合性エピソードを有していた)を1日40〜80mgのタモキシフェンまたはプラセボ群に無作為に割り付けた。計50人(タモキシフェン群29人、プラセボ群21人)がトライアルを完了した。その結果、タモキシフェン群の患者は、トライアル終了時の躁病重症度検査のスコアが有意に低下しており、一方プラセボ群の患者においてはやや上昇していた。タモキシフェン群患者の計48%において躁病スコアが半分以下になっていたのに対し、プラセボ群におけるその割合は5%であった。寛解に匹敵するスコアを達成したのはタモキシフェン群患者の28%であったのに対し、プラセボ群ではその割合はゼロであった。
選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)による初回治療に反応しなかった中等度で慢性うつ病のティーンエイジャーには新たな薬剤への変更と心理療法の追加が有効な可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 2月27日号に掲載された。研究者らはSSRIによる2ヵ月間の初回治療に反応しなかった12〜18歳のうつ病患者334人を、パロキセチン、citalopram
またはfluoxetineのうちの1剤と認知行動療法の併用、またはvenlafaxineと認知行動療法の併用、のいずれかの治療を受ける群に無作為に割り分けた。反応率は薬物療法では40.5%であったのに対し、併用療法に切り替えることにより54.8%になった。Venlafaxineに変更するのと他のSSRIに変更するのとでは、有効率に差はなかった(それぞれ48.2%と47.0%)。自己申告によるうつ病の症状や自殺念慮などの有害事象は群間で差がなかった。