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グローバルトライアルのメタ解析によると早期の乳がん患者にはアロマターゼ阻害薬の方に良好な結果が得られた [2008-12-22]
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Meta-analyses of global trials finds in favor of aromatase inhibitors in women with early stage breast cancer |
閉経後の早期乳がん女性に対するタモキシフェンとアロマターゼ阻害薬の効果を調査した2つの異なる臨床試験のメタ解析の結果、それぞれが同じ結論−アロマターゼ阻害薬の方が乳がん再発予防には有効である−に達した、とSan
Antonio Breast Cancer Symposiumで報告された。この合同解析は第31回Cancer Therapy & Research
Center-American Association for Cancer Research (CTRC-AACR) San Antonio Breast
Cancer Symposiumで発表された。研究者らは2つの主要なスタディを2つのコホートに分けた。コホート1は、患者をタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬を5年間投与する群に無作為に割り付ける2つの臨床試験(ATAC
および BIG 1-98、9,856人)から成っていた。コホート2にはタモキシフェンを2−3年間投与した後に5年間のアジュバントホルモン療法タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬を5年間行う群に無作為に割り付けるスタディ(ABCSG
8、ARNO 95、IES/BIG 2-97、ITA、9,015人)が含まれた。アロマターゼ阻害薬によりタモキシフェン単独投与と比較し診断後6〜8年のがん再発が3%以上低かった。1つのスタディではまたアロマターゼ阻害薬使用患者において生存率に関する有意な有益性が認められた(1.6%)が、研究者らは、ひとつの薬剤が生命を救うという点で優れているかを確信を持って判断できるほど十分な時間がまだ経過していない、と述べている。
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6ヵ月ごとにスクリーニング検査を交互に行うことにより乳がんの検出が改善する、というスタディ結果が示された [2008-12-22] |
Study finds improved breast cancer detection by alternating screening tests every six months |
核磁気共鳴画像(MRI)とマンモグラフィを6ヵ月の間隔で交互に施行することにより、マンモグラフィ単独では検出されなかった乳がんの検出が可能になる、と第31回San
Antonio Breast Cancer Symposiumで発表された。ハイリスク女性における標準的なスクリーニング法は、マンモグラフィとMRIを毎年交互に施行する方法である。M.
D. Anderson Cancer Centerの研究者らはマンモグラフィとMRIを6ヵ月ごとに交互に施行し、画像検査によるスクリーニングを年に2回受けられるようにした。このパイロットスタディで研究者らは、2007年の1月から12月にかけて乳がんのハイリスク患者のスクリーニングプログラムに参加した女性334人のチャートを、レトロスペクティブにレビューした。スタディの参加者らは全員、6ヵ月ごとに診察を受けた。フォローアップ期間中央値は2年であった。MRIとマンモグラフィを交互に施行するスクリーニングプログラムにより、86人中9人にがんが発見された(5人は浸潤乳管がん、3人は浸潤小葉がん、2人は非浸潤性乳管がん)。これらのがんのうち5つ(55%)はMRIにて検出されたがマンモグラフィでは検出されず、3つ(33%)はMRIおよびマンモグラフィで検出され、1mmの大きさの腫瘍であった1つ(11%)は両方のスクリーニング法で見逃された。マンモグラフィ単独で発見されたがんはなかった。
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乳房に特異的なガンマ線画像によりマンモグラフィやルーチンの触診では検出できない悪性腫瘍を発見できる [2008-12-16] |
Breast-specific gamma imaging uncovers malignancies not found on mammography or routine physical exam |
乳房に特異的なガンマ線画像(BSGI)は、マンモグラフィや触診で発見されなかった、新たに乳がんと診断された女性の浸潤性小葉がんおよび他の悪性腫瘍を検出するのに有効であるとRadiological
Society of North America (RSNA)学会で発表された。BSGIはsestamibi (technicium 99m)の取り込みを計測することにより細胞の活性を評価し、がん細胞の代謝活性を評価する新型技術である。ワシントンDCにあるジョージワシントン大学の研究者らは、マンモグラフィまたは触診にて1つ以上の疑わしいあるいはがん病変が認められ、他病変の有無を確認するためBSGIを施行された女性159人の記録をレビューした。BSGIにより新たに疑わしい病変が46人(29%)に認められた。新たに発見された病変は生検を施行された女性39人中14人(36%)において悪性であった。不顕性病変の平均サイズは1.16mmであり、最小のものはわずか1mmであった。73%の女性がdense
breasts(高濃度乳房)であった。筆者らは、BSGIはマンモグラフィに取って代わるものではなく、検出困難ながんの発見およびハイリスク女性のスクリーニングに用いる補助的な検査として用いるべきであると強調している。
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新たな高分解能陽電子乳房撮影によりMRIよりも少ない偽陽性率で腫瘍が有効に検出できる [2008-12-16] |
New high-resolution breast PET effectively detects tumors with fewer false-positive results than MRI |
新たな画像診断法である陽電子乳房撮影(PEM)は、乳がん既往歴のある女性の2mmほどの小さながんを有効に検出するとRadiological Society
of North America (RSNA)学会で発表された。PEMは乳がん細胞のフルオロデオキシグルコースの取り込みを計測することにより細胞の活性を評価する。この方法は、標準的なマンモグラフィやMRIではその有効性を制限する2つの因子である乳房濃度や女性のホルモン状況に影響されない。米国の研究者らは高分解能乳房陽電子断層撮影(PET)を適用したPEMを施行された乳がん患者208人の結果を発表した。撮影を行った189の悪性病変のうちPEMは176病変を検出し、全体の感度は93%(15%は非浸潤性乳管がん、85%は浸潤がん)であった。PEMはfatty
breastsの100%、dense breasts(高濃度乳房)の93%、極端な高濃度乳房の85%、ホルモン補充療法歴のあるまたはない女性の93%、閉経前女性の90%および閉経後女性の94%のがんの検出に成功した。筆者らは、この検査法はグルコースベースの放射性トレーサーを使用し空腹時に行うため、糖尿病患者には適さないと警告している。
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乳房小線源療法は乳房インプラント術後の女性の早期乳がんを治療し乳房の外観も維持する [2008-12-09]
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Brachytherapy can successfully treat early-stage breast cancer in women with implants and preserve the breast's appearance |
小線源療法で治療を受けた豊胸術後の早期乳がん女性は、乳房全体の放射線療法を受けた患者と比較し、美容上の予後が良好でありインプラント硬化のリスクを回避できるとのスタディ結果が、Radiological
Society of North America学会で発表された。腫瘤摘出術後の乳房全体の放射線照射は選択肢ではあるが、痛みを伴い外見も損なう被膜拘縮の実質的なリスクがある。米国の研究者らはサイズの小さな早期乳がんと診断され、腫瘤摘出術後に小線源療法で治療された女性65人を組み入れた。患者らは高線量率イリジウム192小線源療法を1日2回(34Gyの照射を6時間以上空けて)5日間受けた。経過観察期間(平均16ヵ月)中に再発した者はいなかった。美容上の評価は全ての患者において、good(良)からexcellent(優秀)まで100%の患者に対して行った(95%が優秀、9%が良と評価され、fair(普通)または良と評価されたのは0%)。被膜拘縮が認められた患者および乳房内またはリンパ節内再発の認められた患者はいなかった。
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新たな統計学的モデルは乳房生検の減少に役立つ [2008-12-09] |
New statistical model could help reduce breast-lesion biopsies |
MRI検査により発見された乳房病変を特徴付ける新たな方法は良性腫瘍の生検を減少させる可能性がある、とRadiological Society of North
America学会で発表された。研究者らは、乳房病変の診断に生検が必要か否かを決定する際に考慮した患者および病変の特徴を調査した。528人の患者の857病変(悪性155病変、良性702病変)が対象となった。悪性病変と最も関連のあった特徴は、washout
kinetics対persistent kinetics、および臨床上の新たながん病変の徴候対ハイリスクスクリーニングであった。また、年齢(50歳以上対50歳未満)、サイズ(10mm以上対10mm未満)および病変のタイプ(mass対focus)も有意に関連があった。MRI上、悪性の可能性(PM)が最も高いのはwashoutの認められる10mm以上の病変であった(PM
41.1%)。一方、がん発症のリスクが高いためスクリーニングをされた女性に発見された病変のうち、小さく(10mm未満)時間とともに造影が増強するものは良性の可能性が非常に高かった。この統計学的モデルが一般臨床で使用できることが実証されるまでにはさらなる研究が必要である。
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乳房撮影により発見されたがんの一部は発見されなければ退縮していた可能性がある [2008-12-02] |
Mammograms may detect some cancers that would have otherwise regressed |
女性が乳房撮影を2年ごとに受けるようになり乳がん発症率は有意に増加したが、乳房撮影で検出された乳がんの一部は発見治療されなければ自然に退縮していた可能性があるとの報告がArchives
of Internal Medicineに掲載された。研究者らは1996〜2001年にノルウェー乳がんスクリーニングプログラムの一環として50〜64歳の女性119,472人の乳がん発症率を調査した。彼らはこの乳がん発症率とコントロールとして1992年の女性109,784人のデータを比較した。この女性たちは、今回の乳がんスクリーニングプログラムがこの時代にもあればスクリーニングの対象となった人々である。コントロール群は6年後に有病率スクリーニングを受けた。予測されたように乳がん率はスクリーニングを受けた女性の方がスクリーニング前のコントロール群よりも高かった。有病率スクリーニング後のコントロール群における浸潤乳がん累積罹患率もスクリーニング群において22%高かった。コントロール群の累積罹患率はスクリーニング群のそれに決して到達しなかったことから、筆者らは、繰り返し行った乳房撮影によるスクリーニングで検出されたがんの一部は6年間の最後に施行した乳房撮影では検出できなかった可能性があり、このことから、スクリーニングで検出された浸潤乳がんの一部は自然に退縮した可能性があると述べている。
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心理的介入プログラムは乳がん患者の生存率を上昇させる [2008-12-02] |
Psychological intervention program boosts survival in breast cancer patients |
乳がん患者のためにデザインされた心理的介入プログラムは患者の健康状態を改善するのみでなく実際に生存の可能性を高めるとの新たなスタディの結果が、Cancer
12月15日号に掲載された。介入プログラムに参加した患者は、平均11年後の乳がんによる死亡リスクが56%低下し再発リスクは45%低下した。参加者は外科的に治療されたstage
IIまたはstage IIIの乳がん患者227人で、半分はストレス介入プログラムに組み入れられ、他の半分は単に通常通りに評価された。乳がんで死亡した患者のうち、介入プログラムに参加した患者の方が生存期間は長かった(6.1対4.8年)。死亡原因にかかわらず死亡した患者全てに関して、介入群は平均6年生存したのに対し非介入群の平均生存期間は5年であった。介入プログラムへの参加が20%未満の患者を除いたフォローアップ解析において、残った患者の乳がん死のリスクは68%低下したのに対し、全ての参加者におけるリスク低下率は56%であった。
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