新たな血液検査は救急治療室での心不全を見極める
(AHA Late Breaking Clinical Trial [LBCT] , Abstract # 3324)
  心不全患者において運動は安全であり予後を改善する
AHA LBCT, abstract # 3318)
  運動療法は心不全患者のQOLを向上するAHA LBCT, abstract # 5219)
  心筋梗塞後の一部の患者においてはタイミングが重要である
AHA LBCT, abstract # 1313)
  糖尿病患者におけるアテロームの成長AHA LBCT, abstract # 5221)
  家庭でのINRモニターはクリニックでのケアと同等に有効である
AHA LBCT, abstract # 5217)
  CRP、スタチン、および冠動脈リスク
(AHA LBCT, Abstract # 161)
  2型糖尿病患者に対する低用量アスピリンに関するトライアル
AHA LBCT, abstract # 163)
  葉酸は安全ではあるが心保護作用はないことが示された
AHA LBCT, abstract # 165)
  糖尿病患者において薬剤溶出ステントはベアメタルステントに勝る
AHA LBCT, abstract # 5219)
  個別に調整した薬物投与によりPCI後の有害事象が軽減する
AHA LBCT, abstract # 1313)
  Cell-coated ステントは薬剤溶出ステントと同様に有効である
AHA Abstract # 6000)
  ヘッドホンは植込み型心臓デバイスと干渉を起こす
AHA Abstract # 662/Poster C67[663/Poster C68, 651/Poster C56])
  インフルエンザ予防接種は血栓を予防するAHA Abstract # 524)
  情動は心房細動に影響するAHA Abstract # 1036)
  心不全は骨折のリスクを上昇させる
  腎不全と心筋梗塞


BACH多国籍トライアル:MR-proADMはBNPまたはNTproBNPよりも良い予後指標である [2008-11-25]

BACH Multinational Trial: MR-proADM better prognostic tool than BNP or NTproBNP
新たな血液検査は、現在救急治療室で使用されている検査よりも、最も重度の心不全患者を見極めたり90日死亡率を予測するのに優れている、と2008年American Heart Association学会で発表された。うっ血性心不全の評価におけるバイオマーカー(Biomarkers in the Assessment of Congestive Heart Failure: the BACH)多国籍トライアルの結果がLate-Breaking Clinical Trialとして発表された。BACHの研究者らは世界中の15の研究医療機関に呼吸困難で救急受診した患者1,641人(うち568人は急性心不全)を追跡調査した。90日後の時点でMR-proADM検査の予後予測能は73.1%において正確であり、Bナトリウム利尿ペプチド(BNP)検査(60.8%、p<0.001)およびBNPに関連した生物学的フラグメントであるNTproBNP検査(63.6%、p<0.001)よりも優れていた。これらの結果は登録された患者1,641人全て(130人が死亡)および急性心不全で入院した患者477人(全てp<0.001)において同じ結果であった。MR-proADMを四分位で解析したところ、最も高値の患者群(MR-proADM 計測値>2.07pmol/L)は最も低値の患者群と比較し、90日以内に死亡する確率が3倍高かった(p<0.001)。

HF-ACTIONの結果は心不全患者に対する運動療法を支持する [2008-11-25]

Results from HF-ACTION support intensive exercise for patients with heart failure
心不全患者における運動療法は安全であり、入院または死亡を有意には減少させないが、既に至適薬物治療を受けている患者においてもいくつかの臨床指標を改善する、との心不全と運動療法の効果を検討したコントロールトライアル(Heart Failure and A Controlled Trial Investigating Outcomes of Exercise Training:HF-ACTION)の結果が2008年American Heart Association学会で発表された。このphase IIIトライアルでは心不全患者2,331人(平均年齢59歳、平均LVEF 25%)を、運動強度および運動時間を増加させるプログラムの運動療法群または運動を推奨するが特にプログラムは組まない通常治療群に無作為に割り付けた。運動療法により通常治療と比較し、全ての原因による入院および死亡の複合である一次エンドポイントは有意には減少しなかったが、あらかじめ規定されていた主要な予後因子で補正した二次解析では一次エンドポイントが11%減少し(p=0.03)、二次エンドポイントである心血管死亡率および心不全による入院が15%減少した(p=0.03)。研究者らは、これらの結果から心不全患者に対する運動療法は支持されると述べている。

HF-ACTION QOLサブ解析:体系化した運動療法によりQOLが早期に改善し維持される [2008-11-25]

HF-ACTION QOL Substudy: Early and sustained quality of life improvements seen with structured exercise program
運動療法に参加した心不全患者はQOLが速やかに向上し、この効果が少なくとも1年間持続すると2008年American Heart Association学会で発表された。運動または通常の治療に無作為に割り付けられた患者2,331人においていくつかの臨床エンドポイントにおける運動の効果が認められた、心不全と運動療法の効果を検討したコントロールトライアル(Heart Failure and A Controlled Trial Investigating Outcomes of Exercise Training:HF-ACTION)を掘り下げて観察するために、研究者らはサブスタディを行った。運動に割り付けられた患者が監視下運動療法を36セッション終了した3ヵ月後に、カンザスシティ心筋症アンケート(KCCQ−心不全により日常生活がどのように制限を受けるかに関する23の質問による調査)の全体のスコアは、統計学的および臨床的に有意な100点中平均5点の改善が認められた。運動療法群で5ポイントおよび通常治療群で3ポイントの早期の健康状態の改善がみられ(p=0.0005)、これは長期にわたり持続した。さらに運動療法群において通常治療群と比較し臨床的に意味のある改善が3ヵ月後(54%対28%、p≤0.0001)および1年後(53%対33%、p≤0.0001)にも認められた。

TIMACS:非ST上昇心筋梗塞患者においては早期の侵襲的治療は安全でありハイリスクの症例では予後が改善する可能性がある [2008-11-25]

TIMACS: Early invasive management is safe in patients presenting with non-ST-elevation myocardial infarction and may improve outcomes in high-risk cases
不安定狭心症または非ST上昇急性冠症候群(ACS)の患者に対する早期の侵襲的治療は安全であるが、死亡、新たな心筋梗塞、または脳卒中の全体的なリスクは遅れて施行した侵襲的治療と同等であると2008年American Heart Association学会で発表された。急性冠症候群におけるインターベンションのタイミング(TIMing of Intervention in Acute Coronary Syndrome :TIMACS)スタディは、17ヵ国100の医療機関で治療を受けた患者3,031人を対象とした、不安定狭心症または非ST上昇ACS発症後できる限り早期(24時間以内)のインターベンションと36時間を超えた後のインターベンションを比較した前向き試験である。一次エンドポイント(6ヵ月以内の死亡、心筋梗塞再発、または脳卒中の複合)に関しては、早期インターベンションの方が好ましい傾向は認められたが有意なリスク軽減は見られなかった(p=0.15)。しかし、予後の最も不良な(GRACE score>140)非ST上昇心筋梗塞患者群においては、一次エンドポイントは遅延インターベンション群で21.6%に認められたのに対し早期インターベンション群では14.1%と相対リスクの35%の低下(p=0.05)が認められ、早期の冠動脈造影および治療による明らかな有益性がみられた。

APPROACH Trial:心血管疾患を有する糖尿病患者においてrosiglitazoneは動脈硬化の進行に影響しないようである [2008-11-25]

APPROACH Trial: Rosiglitazone does not appear to affect progression of atherosclerosis in diabetics with cardiovascular disease
Rosiglitazone(RSG)―チアゾリジンディオンクラスの糖尿病治療薬の一種―は、glipizideとの比較試験において冠動脈のアテロームの成長を軽減するとの一次エンドポイントに合致しなかったと2008年American Heart Association学会で発表された。APPROACHトライアル―心血管疾患の既往を有する2型糖尿病患者におけるrosiglitazoneによる動脈硬化の進行予防に対する評価―の結果がLate-Breaking Clinical Trialとして発表された。計672人の患者が19ヵ国92の医療機関での、冠動脈疾患を有する糖尿病患者を対象とした世界で最も大規模な血管内超音波(IVUS)二重盲検試験に組み入れられ無作為化された。治療18ヵ月後のアテローム容積変化率はRSGを投与された患者においてglipizideを投与された患者と比較し、統計学的な有意差はなかった(p=0.12)。二次アウトカムにおいてRSG群では標準化総アテローム容積の有意な減少(p=0.04)および最もアテロームの多い10mmのアテローム容積の有意ではない減少(p=0.13)を認めた。あらかじめ規定したサブグループ解析から、rosiglitazoneはより進行した糖尿病患者において抗動脈硬化効果がより認められるとの仮説がかかげられた。

THINRS Trial:ワルファリン内服中の患者に関して家庭で血液凝固速度を毎週モニターする方法は毎月クリニックで検査するのと同等に安全である [2008-11-25]

THINRS Trial: Weekly home monitoring of blood clotting speed found to be as safe as monthly clinic testing for patients on warfarin.
ワルファリン内服中の患者のINRを家庭でモニターするのはクリニックでモニターするのと同等に安全であるとの、家庭でのINRモニターの臨床成績への影響に関する前向き無作為化コントロール試験(Prospective Randomized Controlled Trial of the Impact of Home INR testing on Clinical Outcomes: The Home INR Study [THINRS])の結果が2008年American Heart Association学会で発表された。しかし、家庭での毎週の凝固速度検査がクリニックでの毎月の検査よりも優れているか否かを調べた最初のスタディでは、家庭での検査が優れているとの結果が何ら得られなかった。機械弁または心房細動を有しワルファリンを内服中の2,922人の患者を家での毎週の検査またはクリニックでの毎月の検査のいずれかに無作為に割り付け平均3年間追跡調査した。週1回の家庭での検査の方が月1回のクリニックでの検査よりも優れている傾向が認められたが、統計学的または臨床的な有意差には到達しなかった。しかし、週1回のモニターは標的範囲の頻度(65.9%対62.2%、p<0.001)および抗凝固療法への満足度(47.7対49.1、p<0.02;点数が低いほど満足度が高い)を改善するようであった。研究者らは、家庭でのモニターは、障害や医療機関から自宅への距離のために受診が困難な患者において代替案として受け入れ可能であろうと考えている。

JUPITERトライアル:スタチンはコレステロールが正常だがC反応性蛋白が上昇している患者において心筋梗塞と脳卒中の発症率を低下させる [2008-11-18]

JUPITER trial: Statin reduces myocardial infarction, stroke rates in patients with normal cholesterol but elevated C-reactive protein
脂質低下薬ロスバスタチンはコレステロールが正常だが高感度C反応性蛋白(hsCRP)レベルが上昇している患者において心筋梗塞と脳卒中の発症率を低下させる、と2008年American Heart Association学会で発表された。JUPITERトライアルは、冠動脈関連の死亡および障害に関して「ロスバスタチンの明確な有益性」がスタディデータから示されたため、スケジュールより2年早く2008年3月に終了した。このLate-Breaking Clinical Trialの結果は、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。プラセボ治療群の患者と比較し、ロスバスタチンを投与された患者は、一次エンドポイントである初回の主要な心血管イベント−心筋梗塞、脳卒中、血行再建術、不安定狭心症による入院および心血管死の合計−が44%少なかった。ロスバスタチン群はまた、心筋梗塞が54%、脳卒中が48%、血行再建術の必要が46%少なく、総死亡率は20%低かった。特に注目すべき点は、hsCRP上昇以外にリスクファクターを有さないスタチン群の男女において、初回イベントが37%軽減できたことである。サブグループ解析の結果、性別、人種、民族およびフラミンガムリスクスコアに関わらず同じ結果が認められた。

JPADトライアル:低用量アスピリンは2型糖尿病患者の動脈硬化性イベントを有意に減少させなかった [2008-11-18]

JPAD Trial: Low-dose aspirin did not significantly lower atherosclerotic events in type 2 diabetics
糖尿病患者に対する低用量アスピリン投与の有効性を評価した大規模一次予防トライアルにおいて日本の研究者らは、毎日のアスピリン内服は、致死性心筋梗塞および脳卒中は予防するが、一次エンドポイントとしての全ての動脈硬化性イベントに関しては有意な有益性が認められなかったとのLate-Breaking Clinical Trialの結果を、2008年American Heart Associationで報告した。しかし、サブグループ解析の結果、65歳を超えた人々においては、アスピリンによる致死性および非致死性動脈硬化性イベントの有意な減少、および脳心血管死の減少が認められた。この無作為化トライアルには日本の163の病院の2型糖尿病患者2,539人が組み入れられた。患者全体においてアスピリン群で動脈硬化性イベントが少ない傾向が認められた(相対リスクが20%低下)が、統計学的な有意差には達しなかった。研究者らは、致死性冠動脈および脳血管イベントのリスクがアスピリン群においてアスピリン無投与群よりも大きく有意に低下したことを明らかにした(ハザード比0.10)。しかし、この結果の信頼区間は広く(CI=0.01-0.8)、さらなる検討が必要であることが示唆された。Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes (JPAD)の結果は、同時にJournal of the American Medical Associationに掲載された。

SEARCHトライアル:高用量の葉酸は安全ではあるが心血管保護作用は有さない [2008-11-18]

SEARCH Trial: Large doses of folic acid are safe but lack preventive cardiovascular benefits
葉酸は安全である−しかし心血管系に対する効果はない−との結果が、2008年American Heart Association学会で発表された。12,064人を対象とした無作為化トライアルである、コレステロールとホモシステインをより低下させることによる有益性に関するスタディ(Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and Homocysteine :SEARCH)の結果が、Late-Breaking Clinical Trialとして発表された。スタディの参加者は、1日に葉酸(2mg)とビタミンB12(1mg)を内服する群またはプラセボ群に割り付けられた。葉酸群はホモシステインレベルが1年後に3.9μmol/L低下し、トライアル全体の期間(平均6.7年)に3.6μmol/L低下した。研究者らは、葉酸群においてプラセボと比較し、一次エンドポイントである主要な血管イベント(MVEs:非致死性心臓発作、冠動脈死、脳卒中または動脈の血行再建術と定義)の減少は認められなかったと報告した。MVEsは葉酸群患者のうち1,537人(25.5%)に、プラセボ群患者のうち1,492人(24.7%)において認められ、そのリスク比は1.04(95%CI 0.97-1.12)であった。これらのビタミンはまた、心筋梗塞の既往のある患者におけるスタディ期間中の非血管性死亡率またはがん発症率を上昇させることはなかった。同じスタディの別の比較において、より強力なコレステロール低下による有益性が支持された。

糖尿病患者において薬剤溶出ステントはベアメタルステントと比較し予後を改善することが示された [2008-11-18]

Drug-eluting stents showed improved outcomes as compared with bare metal stents in diabetics
糖尿病患者において薬剤溶出ステントはベアメタルステントと比較し、血行再建術施行、心筋梗塞および死亡のリスクを低下させるとのLate-Breaking Clinical Trialの結果が、2008年American Heart Association学会で発表された。研究者らは国家の義務的な登録簿データを用いて、2003年4月から2004年9月にかけて米国の非連邦急性期病院で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された患者5,051人を探し出した。これらの病院の糖尿病患者は薬剤溶出ステント(DES)を留置される割合がベアメタルステントを留置される割合よりも2倍多かった(66.1%vs33.9%)。3年間の経過観察後、補正前のエンドポイントである死亡の累積はDES患者で14.4%であるのに対しBMS患者で22.2%であった。研究者らはその後、合併症や投与されている薬物などの63の可能性のある交絡因子を調整するため、患者の部分集団をマッチさせた。その結果、3年後のリスクで補正した死亡率はDES患者で17.5%、ベアメタルステントで20.7%であり、有害事象の増加を伴わない、小さいが有意な実質3.2%の死亡率の低下がDES患者において認められた。糖尿病患者における薬剤溶出ステント留置対ベアメタルステント留置(Drug-eluting and Bare Metal Stenting in Patients with Diabetes Mellitus)の結果:Mass-DAC Registryの結果は同時にAmerican Heart Association学会誌であるCirculationに掲載された。

個別に合わせた用量のクロピドグレルをPCI後に投与することによりステント血栓発現率が有意に減少する [2008-11-18]

Individually tailored doses of clopidogrel following PCI significantly reduced rate of stent thrombosis
個別に合わせた用量のクロピドグレル投与は非緊急のステント留置を伴う経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の有害事象発現率を低下させる、と2008年American Heart Association学会で発表された。ステント血栓予防のための血小板機能モニタリングに基づくクロピドグレル導入用量の調整(Tailored Clopidogrel Loading Dose According to Platelet Reactivity Monitoring to Prevent Stent Thrombosis)のスタディの結果である。研究者らは429人の「低反応者」(薬物に対する反応の低下した患者)を調査した。うち214人はコントロール群で通常の600mgのクロピドグレルを投与された。テスト群はVASPリン酸化解析におけるスコアをカットオフレベルに低下させることを目標として、最大3倍多い用量のクロピドグレルを24時間ごとに投与された。クロピドグレルを増量し最大計2,400mgのクロピドグレルを内服したにもかかわらず、低反応者のうち8%は依然として低反応であった。しかし、用量を個別に合わせることにより、出血イベントを有意に増やすことなく一次および二次エンドポイントイベントが有意に減少した。早期の明らかなステント血栓は個別調整用量患者で0.5%に対しコントロール群では4.2%であった(p<0.01)。MACE率は個別治療群で実質的に低かった(0.5%対コントロール群8.9%)。出血発現率は両群間で差がなかった。

新たに開発された細胞内皮前駆細胞捕捉ステントは薬剤溶出ステントと同様に再狭窄を予防する [2008-11-18]

New endothelial progenitor cell-capturing stent is as effective as a drug-coated stent in preventing restenosis
血管内皮細胞をおびき寄せて覆うステントは薬剤溶出ステントと同様にあるいはそれ以上に冠動脈疾患患者の冠動脈開存を維持するとの研究結果が、2008年American Heart Association学会で発表された。新たに開発されたこの血管内皮前駆細胞捕捉(EPC)ステントは血液内を循環する血管内皮前駆細胞に結合する抗体で覆われている。研究者らは世界中の144の施設でこのステントを用いて治療された患者1,640人の1年間の結果を報告した。平均年齢は62.8歳、78.7%が男性であり、25%が糖尿病を有し、36.7%に心筋梗塞の既往があった。過去のスタディに基づき、医師らは73.8%の患者にあらかじめスタチン(血液内の血管内皮前駆細胞数を増加させる)を投与した。その結果、ステント血栓を生じたのはわずか1.0%であった。5.4%が血行再建術を必要とし、9.3%に主要な心有害事象(MACE)−心筋梗塞、予定外のバイパス手術、治療関連カテーテル血行再建術、および心臓死−が発現した。糖尿病患者においては4.7%が血行再建術を施行され、MACE率は10.3%であり、ステント血栓は1.1%に認められた。

MP3のヘッドホンは植込み型除細動器やペースメーカーと干渉を起こす [2008-11-11]

MP3 headphones interfere with implantable defibrillators, pacemakers
ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)の1インチ以内に置かれたMP3プレーヤーのヘッドホンはこれらのデバイスと干渉を起こす可能性がある、と2008年American Heart Association学会で発表された。研究者らはiPod®に接続した8つの異なるモデルのMP3プレイヤーヘッドホン(クリップオンタイプとイアバドタイプの両方)を、除細動器およびペースメーカーを装着した患者60人に試した。その結果、ヘッドホンのデバイスとの検出可能な干渉が14人(23%)に認められた。具体的には、ペースメーカーを植え込まれた患者の15%および除細動器を植え込まれた患者の30%にマグネットレスポンスが認められた。ほとんどのMP3音楽プレーヤーには磁性体ネオジムが使用されている。ほとんどのケースでヘッドホンを外すことによりデバイス機能は回復した。研究者らはまた、各々のヘッドホンモデルの磁場強度をガウスメーターで計測した。10ガウスあると植込み型デバイスと干渉を起こす可能性がある。いくつかのヘッドホンは200ガウス以上もの磁場強度を有していた。そのような高いレベルのヘッドホンでも、体表から3cmまたは約1.2インチ離れていれば干渉は認められなかった。2つの未公表スタディでは、iPod®またはBluetooth®のヘッドセットによるペースメーカーおよび除細動器への有害反応は認めなかった。

インフルエンザ予防接種は静脈血栓塞栓症のリスクを軽減する可能性がある [2008-11-11]

Flu shots may cut risk of venous thrombotic embolism
インフルエンザ予防接種は静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを26%軽減する可能性がある、と2008年American Heart Association学会で発表された。研究者らはフランスの11の施設の年齢と性別をマッチさせた患者1,454人(平均年齢52歳)のケースコントロールスタディ(FARIVE study)を行った。5年以内にがんの既往がなく初回のVTEを経験した患者727人と、年齢と性別をマッチさせた静脈および動脈の血栓症を有さないコントロール群を比較した。全体で、VTE発症の補正後オッズリスクはインフルエンザ予防接種後に26%低下した。インフルエンザ予防接種の血栓症予防効果は52歳以降よりも52歳未満においてより明らかに認められ、52歳未満の者においてはVTEの発症率が48%低かった。51歳未満の女性においてはインフルエンザ予防接種によりVTE発症のオッズ比が50%、経口避妊薬を内服している女性においては59%低下した。このワクチンによる予防効果は深部静脈血栓症と肺塞栓症とで同等であった。インフルエンザウイルスとVTEのリスクを関連付けるメカニズムは今のところ不明である。

心房細動の発作はよくない感情によって増加し幸福感によって減少する [2008-11-11]

Likelihood of atrial fibrillation episode is increased by negative emotions and decreased by happiness
心房細動は情動の喚起によって引き起こされうる、と2008年American Heart Association学会で発表された。米国の研究者らは心房細動に先行する感情に関する前向きコントロール、電子日記に基づくスタディを、発作性または持続性心房細動の既往のある患者75人(平均年齢58歳、男性60%、ベータ遮断薬使用率60%)を対象に行った。患者の心調律は心房細動の症状のあるときに記録し、心房細動の30分前の感情に関する質問に回答し、日記に書き込んだ。患者にはまた24時間ホルター心電図モニターも施行され、1時間に2回日記に書き込んだ。洞調律の時に記録された日記をコントロールとして使用した。1年間に23人において119の心房細動のエピソードが認められた。心房細動の発作は発作直前または前夜のよくない感情の時に起こり易く、幸福な時には減少した。男性は怒りによって引き続き心房細動の発現するオッズが増加し、女性では心配によって増加した。感情によって心房細動が引き起こされるのはβ遮断薬を内服していない者においてのみ認められた。

心不全患者は骨折のリスクが高く、従ってこれらの患者の骨粗鬆症の検査および治療を行うべきである [2008-11-04]

Heart failure patients have higher risk of fractures and should be screened and treated for osteoporosis
心不全患者は他の心疾患患者と比較し衰弱性大腿骨頸部骨折を含む骨折のリスクが高く、従ってこれらの患者においては骨粗鬆症の検査および治療を行うべきである、とカナダの研究者らがCirculation誌に報告した。このスタディは、1998〜2001年にカナダのAlberta州にある救急治療室に来院した心疾患患者16,294人を対象とした。平均年齢78歳の2,000人余りが新たな心不全で来院した。一次エンドポイントは1年間の経過観察期間中に発現した入院を要する外傷または他の疾患に伴わない骨折であった。救急外来受診後1年間に心不全患者の4.6%が骨折したのに対し、他の心疾患患者におけるその割合はわずか1%であった。1年間の大体骨頸部骨折発現率は心不全患者の1.3%であったのに対し、他の心疾患患者におけるその割合はわずか0.1%であった。他のリスクファクターで補正した後の骨折および大腿骨頸部骨折のリスクは、心不全患者において、心筋梗塞、狭心症および不整脈患者のそれぞれ4倍および6.3倍であった。

心臓突然死は透析患者の第一の死亡原因である [2008-11-04]

Sudden cardiac death number one risk for patients on dialysis
心臓突然死は透析患者の第一の死亡原因であるとのスタディ結果がKidney International 11月2日号に掲載された。このスタディでは全身の炎症反応および栄養不良が致死性心筋梗塞の重要なリスクファクターであることを明らかにした。Choices for Healthy Outcomes In Caring for ESRD (CHOICE)スタディにおいて、透析中の末期腎疾患患者1,041人中658人が9.5年間の間に死亡した。最も多かった死亡原因が院外で発現した心臓突然死(SCD)であり、146人であった。これらの146人のSCD患者のうち122人における過去に行った血液検査の結果、高感度C反応性蛋白(hsCRP) またはインターロイキン−6(IL-6)が高い患者はこれらの蛋白レベルが低い人々よりもSCDで死亡する確率が2倍高いことが示された。低アルブミンレベルによりSCDで死亡する確率は、血中アルブミンレベルが高い場合と比較し1.35倍上昇した。さらに、血中アルブミンレベルが低くhsCRPが高い者はアルブミンレベルが高くhsCRPレベルの低い者と比較し、SCDで死亡する確率が4倍高かった。
 
 
 

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