新世代の薬剤溶出ステントに関するデータ
  腎疾患と心血管死
  頸動脈狭窄に対する施術法の比較
  シロリムス溶出ステントとステント内狭窄に対する近接照射療法 (ACC 2008)
  高血圧のより良い治療 (ACC 2008)
  Prasugrelとクロピドグレル (ACC 2008)
  動脈プラークの進行を停止する (ACC 2008)
  抗血小板療法の改善 (ACC 2008)
  Rimonabantと冠動脈疾患の進行 (ACC 2008)
  血管内僧帽弁修復術の評価 (ACC 2008)
  ステント血栓症再発の予測 (ACC 2008)
  Aliskirenと左室肥大 (ACC 2008)
  薬剤溶出ステントと心筋梗塞 (ACC 2008)
  ピオグリタゾンとグリメピリドの比較 (ACC 2008)
  Abciximabと心筋梗塞 (ACC 2008)
  高齢者の高血圧治療 (ACC 2008)
  血管形成術施行の際の抗凝固薬の比較 (ACC 2008)
  心房細動の新たな治療選択肢
  高齢者の心電図を再考する


SPIRIT IIIトライアルの結果、everolimus溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントと比較し、再狭窄率や主要な心イベントリスクを軽減することが示された [2008-04-28]

SPIRIT III trial shows that Everolimus-eluting stents reduce rate of coronary restenosis and risk for major cardiac events compared with paclitaxel-eluting stents
Everolimus溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントと比較し、再狭窄率および主要な心イベントリスクの両者を軽減することが示された、とJournal of the American Medical Association 4月23日号に掲載された。SPIRIT IIIトライアルでは1,002人の患者をeverolimusステント(669人)またはパクリタキセルステント(333人)を留置する群に無作為に割り付けた。待機的確認造影は436人に施行した。臨床的なフォローアップは1、6、9、および12ヵ月後に施行した。冠動脈造影上の対象病変部内遠隔期内径損失はeverolimusステント群において有意に少なかった。9ヵ月後の標的血管不全に関してはeverolimusステントの非劣性が認められた。また、9ヵ月後の主要心有害事象もeverolimusステントにおいて44%低かった(4.6%対8.1%)1年後のこの低下率は42%であった(6.0%対10.3%)。ステントタイプによる差は心筋梗塞および標的部位の血行再建術施行率がeverolimusステント群において少ないことに起因した。

慢性腎疾患患者は高リン血症が原因の血管損傷による心血管疾患死のリスクが高い [2008-04-28]

Patients with chronic kidney disease are at higher risk for death from cardiovascular disease because of vascular damage due to high blood phosphate levels
慢性腎疾患患者は心血管疾患死のリスクが高く、その主要な原因は高リン血症による血管石灰化の直接的な刺激によるとJournal of the American Society of Nephrologyオンライン版4月17日号に掲載された。腎疾患および動脈硬化を有するマウスの研究からリン酸が血管石灰化の契機となることが証明されている。さらに、リン酸結合薬により動脈石灰化が軽減し血管壁細胞の骨形成細胞への分化が抑制された。他の実験では、細胞増殖ホルモンBMP-7(骨形成因子-7)により同様のマウスにおいて血中リン酸レベルが低下し、血管の石灰化も減少した。米国では高リン酸血症の慢性腎疾患患者に対するリン酸結合薬の使用が承認されており、研究者らは現在、これらの患者に対するリン酸結合薬およびBMP-7のトライアルを懸案中である。

SAPPHIRE解析の結果、頸動脈ステント留置と頸動脈血栓内膜摘除術のハイリスク患者における3年間の成績は同等であることが示された [2008-04-22]

SAPPHIRE analysis shows that carotid stenting and carotid endarterectomy produce similar three-year outcomes for high-risk patients
Phase IIIトライアルデータの新たな解析結果から、頸動脈ステント留置と頸動脈血栓内膜摘除術のハイリスク患者における長期予後は同等であることが示された、とNew England Journal of Medicine 4月10日号に掲載された。新たなSAPPHIRE解析は260人の患者の3年間にわたるフォローアップデータに基づくものであった。全体で、ステントを留置された143人中41人(29%)、および血栓内膜摘除術を施行された117人中45人(38%)が3年以内に心筋梗塞または脳卒中を発現するか死亡した。両群の発現率は統計学的に同等であった。約3分の1の有害事象は脳卒中であり、そのほとんどは軽症であった。ステント留置術には塞栓防御装置の使用も含まれた。患者らは、心不全や肺疾患のあること、頸部の手術や放射線療法の既往、80歳を超えていること、または頸動脈再狭窄に対する頸動脈治療歴などのクライテリアを元にハイリスクと考えられた。手術リスクが平均的な患者に対するトライアルが現在進行中である。

SISRトライアルの結果、シロリムス溶出ステントはベアメタルステント内血栓の患者に対し近接照射療法よりも優れていることが示唆された [2008-04-22]

SISR trial suggests sirolimus-eluting stents are superior to brachytherapy as treatment for patients with thrombosis in a bare metal stent
長期トライアルのデータから、シロリムス溶出ステントはベアメタルステント内血栓の患者に対し近接照射療法よりも優れていることが示唆された、とAmerican College of Cardiology学会で発表された。SISRトライアルにおいて384人の患者がベアメタルステント内血栓に対する血行再建術に対しステントまたは近接照射療法を施行される群に無作為に割り付けられた。3年後に、薬剤溶出ステントを留置された患者は近接照射療法を受けた患者と比較し、さらなる血行再建術を必要とする確率が有意に低かった(追加の施術を必要としなかった率はステント群で81%、近接照射療法群で71.6%であった)。死亡や心筋梗塞などの安全性のエンドポイントは両群間で有意差がなかった。Academic Research Consortiumの定義で「確実」または「かなり確か」とされた血栓再発率は両群間で差がなかった(ステント3.7%、近接照射2.6%)。

ACCOMPLISHスタディはアンジオテンシン変換酵素阻害薬とカルシウム拮抗薬が高血圧患者に対し有益性が大きいことが示された後、早期に終了された [2008-04-15]

ACCOMPLISH study ends early after angiotensin-converting enzyme inhibitor plus calcium channel blocker shows large benefits for patients with hypertension
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とカルシウム拮抗薬の併用は高血圧患者に対し非常に有効であったためphase IIIトライアルが早期に終了された、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。ACCOMPLISHスタディでは10,700人の患者をベナゼプリルとアムロジピン併用またはベナゼプリルとヒドロクロロチアジド併用群に無作為に割り付けた。対象患者の3分の2はスタディに組み込まれる前の治療では良好な血圧コントロールが得られなかったが、両併用治療ともに高血圧および他の心血管危険因子を有する患者の推奨血圧値を達成するのに有用であった。最も重要なことに、ACE阻害薬/カルシウム拮抗薬を併用した患者は他の併用療法を受けた群と比較し、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院および血行再建術施行率を含む心臓関連イベントが20%少なかった。

TRITON-TIMI 38トライアルの結果、急性冠症候群患者においてprasugrelはクロピドグレルよりも、ステント留置のタイミングおよびステントのタイプにかかわらず、優れていることが示された [2008-04-15]

TRITON-TIMI 38 trial shows that prasugrel is superior to clopidogrel in patients with acute coronary syndrome regardless of stent timing and type
急性冠症候群患者において、血管形成術中に留置したステントのタイプまたはステント留置のタイミングにかかわらず、prasugrelはクロピドグレルよりも優れているようであるとのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。TRITON-TIMI 38スタディにおいて、13,608人の患者を、prasugrelまたはクロピドグレルを用いた術前の導入用量及び1年間のフォローアップ治療による抗血小板療法を行う群に無作為に割り付けた。最終的に1つ以上のステントで治療された12,844人中6,461人はベアメタルステントのみを、5,743人は薬剤溶出ステントのみを挿入された。結果として、prasugrelは30日間のステント血栓および後期ステント血栓を減少させた(それぞれ0.64%対1.56%、0.49%対0.82%)。新たなデータ解析の結果、prasugrelの利点は広範囲の患者および治療にわたり高度に有意に認められることが示された。

ASTEROIDトライアルの結果、積極的なロスバスタチン療法により冠動脈内の動脈硬化性プラークの縮小を促すことが示された [2008-04-15]

ASTEROID trial shows that aggressive rosuvastatin therapy can induce regression of atherosclerotic plaque in the coronary arteries
積極的なロスバスタチン療法により冠動脈内の動脈硬化性プラークの縮小を促すことができるとのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。ASTEROIDトライアルでは507人の患者を1日40mgのロスバスタチンで24ヵ月間治療した。これらの患者のうち379人からはベースライン時およびスタディ終了時の評価可能な血管造影写真が得られた。スタディに参加するためにはいずれかの冠動脈に、20%を超えた血管造影上血管内径狭窄が1ヵ所以上あることを条件とした。過去の解析からは、50%未満の血管造影上血管内径狭窄を有する1本の冠動脈の血管内超音波の結果、アテロームの容積が減少したことが示されている。今回の新たな結果から、治療により内径狭窄率が低下し定量的血管造影で計測した最小径が改善することも示された。

ARMYDA-RELOADスタディの結果、急性冠症候群患者にはたとえ患者が既にクロピドグレルを内服していたとしても、導入用量のクロピドグレルを投与することにより有益性が認められることが示された [2008-04-15]

ARMYDA-RELOAD study finds benefit in giving patients with acute coronary syndrome a loading dose of clopidogrel even when they are already taking it
クロピドグレルを既に定期的に内服している急性冠症候群患者は血管形成術前に「再導入」をすることにより有意な有益性が認められる、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。ARMYDA-RELOADの研究者らは血管形成術の10日以上前からクロピドグレルを内服していた患者436人を組み入れた。うち167人(38%)は急性冠症候群の患者であった。患者らは、術前4〜8時間に導入用量(600mg)のクロピドグレルまたはプラセボを内服する群に無作為に割り付けられた。30日後、全体の主要な心有害事象発現率は両群間で同等であった。しかし、急性冠症候群患者においては、クロピドグレルの再導入により主要な心有害事象発現率が有意に低下した(それぞれ7%対18%)。出血発現率には差はなかった(両群ともに5%)。

STRADIVARIUSトライアルの結果からは、冠動脈疾患を有する肥満患者の動脈プラークの進行をリモナバント療法により遅延できると結論付けることはできない [2008-04-15]

STRADIVARIUS trial is inconclusive regarding ability of rimonabant therapy to slow progression of arterial plaque in obese patients with coronary disease
新たなスタディデータはリモナバント療法が冠動脈疾患を有する肥満患者の動脈プラークの進行を遅延させることができると証明するには不十分である、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。STRADIVARIUSにおいて839人がrimonabant(1日20mg)またはプラセボを、18〜20ヵ月投与する群に無作為に割り付けられた。医学的な理由により冠動脈造影を要する患者のみ組み入れ可とした。対象者らは無作為割付後3、6、12、および18ヵ月後に予定受診をした。主な超音波上の評価項目はアテローム容積のパーセント変化であり、二次評価項目は、プラークの負荷を異なる方法で計測した、標準化総アテローム容積であった。Rimonabant群とプラセボ群とで、パーセントアテローム容積はそれぞれ0.25%および0.51%増加したが、二次評価項目ではrimonabantの方が成績が良好で、それぞれ2.2mm3の減少と0.88mm3の増加であった。

EVERESTトライアルの結果、血管内edge-to-edge repair術により僧帽弁逆流量を減少し心不全症状が軽減することが示された [2008-04-15]

EVEREST trial finds that endovascular edge-to-edge repair can reduce mitral regurgitation and help relieve symptoms of heart failure
血管内edge-to-edge repair術は僧帽弁逆流量を減少し心不全症状を軽減させることが示されたとのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。新たなサブ解析ではEVEREST Iまたは現在進行中のEVEREST IIスタディの初期に治療を受けた患者23人に焦点を当てた。全ての患者は中等度重症または重症の機能性逆流を有し、83%の患者がクラスIIIまたはIVの心不全を有していた。術後の僧帽弁逆流は、MitraClipで治療された22人中19人(83%)において軽度から中等度であった。1年後、12人の患者が完全にフォローアップされ、ベースラインからフォローアップまでのデータが揃っていた。12人中10人(83%)は引き続き僧帽弁逆流が軽度から中等度であり、12人中9人(75%)は症状および日常機能としてNYHAクラスが少なくとも1度改善したままであった。さらに、拡張期左室内径はベースラインから12ヵ月後までに縮小した。

オランダのステント血栓症スタディの結果、ステント血栓症は一般的に認められ、治療のために新たなステントを留置することによりさらなる血栓症再発のリスクを増加させることが明らかになった [2008-04-08]

Dutch Stent Thrombosis Study finds that stent thrombosis is common and that placement of a new stent during repair increases risk for further recurrence
ステント血栓症は比較的一般的に認められ、他のステントを留置するなどの治療はさらなる血栓症のリスクを増加させるとのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。オランダステント血栓症スタディでは初めてステント血栓症を造影上確認された連続する患者437人を組み入れた。フォローアップ中に74人(16.9%)がステント血栓症を再発した。このグループのうち61人は2回、12人は3回、そして1人は4回ステント血栓を発症した。ステント血栓症再発の3つの予測因子が明らかにされた。初回エピソードに対する緊急治療中の新たなステント留置により再発リスクは4.2倍増加し、心筋梗塞の既往によりリスクは2.6倍、後期血栓によりリスクは2.1倍上昇した。

ALLAYトライアルの結果、直接的レニン阻害薬aliskirenの高血圧を有する過体重患者における左室肥大軽減作用はロサルタンと同等であることが示された [2008-04-08]

ALLAY trial finds that direct renin inhibitor aliskiren is as effective as losartan in reducing left ventricular hypertrophy in overweight patients with hypertension
高血圧を有する過体重患者におけるaliskirenの左室肥大軽減作用はロサルタンと同等であることが示された、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiologyで発表された。36週間にわたるALLAYトライアルでは比較的コントロールの良好な高血圧患者でbody mass indexが25kg/m2より大きい患者460人を、aliskiren 1日300mg(154人)、ロサルタン1日100mg(152人)、またはaliskiren 300mgとロサルタン 100mg併用投与群(154人)に無作為に割り付けた。全ての患者は血圧が目標値に達するように治療された。左室心筋量は36週までに全ての群の患者において有意に改善した。心筋重量減少は数の上では併用群で大であったが、その差は統計学的に有意ではなかった。筆者らは、より長期の治療を行うかコントロールの不良な高血圧患者に対して治療を行えば、併用療法により心筋重量軽減効果がより有意に認められる可能性があるが、この仮説を検証するさらなる研究が必要であろう、と述べている。

大規模登録データ解析の結果、薬剤溶出ステントはベアメタルステントと比較し急性心筋梗塞患者の予後を改善することが示唆された [2008-04-08]

Analysis of data from large registry suggests that drug-eluting stents offer better outcomes for patients with acute myocardial infarction than uncoated stents
薬剤溶出ステントはベアメタルステントと比較し死亡率は同等であるが再狭窄のリスクを軽減し、急性心筋梗塞患者の予後を改善するようであるとのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。研究者らはマサチューセッツ(米国)でステントを挿入された患者7,216人のデータを解析した。ここでは冠動脈インターベンション全例がデータベースに登録されている。薬剤溶出ステントを挿入された患者4,016人とベアメタルステントを挿入された患者3,200人のベースラインのリスクの差を補正するために、患者を最大63個の項目でマッチさせた。2年間のリスクで補正した血行再建術施行率は薬剤溶出ステント治療患者で有意に低く(15.5%対20.8%)、死亡率および再梗塞発症率は同等であった。筆者らはより長期のフォローアップデータを得るためさらに患者をモニターし続けているが、薬剤溶出ステントは抗血小板療法を遵守できる患者においては安全であると考えている。

PERISCOPEトライアルの結果、ピオグリタゾン治療により冠動脈プラークは進行しないが、グリメピリド治療では時間とともに有意に進行することが示された [2008-04-08]

PERISCOPE trial finds no progression of coronary plaque with pioglitazone therapy but significant progression over time with glimepiride
ピオグリタゾンは2型糖尿病患者の冠動脈硬化の進行を抑制することのできる第一の抗糖尿病薬のようである、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。PERISCOPEトライアルでは543人の患者をピオグリタゾン(15〜45mg)またはグリメピリド(1〜4mg)を18ヵ月間投与する群に無作為に割り付け、忍容性があれば可能な限り最大用量を使用した。組み入れ時および治療18ヵ月後に血管内超音波検査を施行した。その結果、プラーク量はピオグリタゾン群で軽度減少した(マイナス0.16%)がグリメピリド群では有意な進行が認められた(プラス0.73%)。ピオグリタゾンはまた、高密度リポプロテインコレステロール、中性脂肪、およびC反応性蛋白などの生化学マーカーや血圧の改善においても結果が良好であった。グリメピリドに割り付けられた患者の方が低血糖または狭心症の発現を多く認め、ピオグリタゾンに割り付けられた患者の方が浮腫や骨折の発現を多く認めた。

BRAVE-3トライアルの結果、クロピドグレルの初期投与量を高用量にすることによりST上昇心筋梗塞に対し血管形成術を施行される患者におけるabciximabの必要性が軽減されることが示された [2008-04-08]

BRAVE-3 trial finds that high loading dose of clopidogrel can eliminate need for abciximab in patients with ST-elevation myocardial infarction undergoing angioplasty
クロピドグレルの初期投与量を高用量にすることによりST上昇心筋梗塞に対し血管形成術を施行される患者におけるabciximabの必要性を軽減することができる、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiologyで発表された。BRAVE-3トライアルでは800人の患者にクロピドグレル600mgを前投与し、その後abciximabまたはプラセボを静脈内投与する群に無作為に割り付けた。一次エンドポイントは5〜10日後に施行した核医学検査による心筋血流で評価した最終的な梗塞サイズとした。その結果、群間に差はなかった。Abciximab群では心筋損傷は平均10%でありプラセボ群では9%であった。さらに、30日間の死亡、再梗塞、脳卒中、および緊急血行再建術施行からなる複合エンドポイントは両群間で同等であった(abciximabとプラセボで、それぞれ5%および3.8%)。

HYVETトライアルの結果、高齢患者の血圧を低下させることにより心血管イベント発現率および総死亡率の両者が有意に減少することが示された [2008-04-08]

HYVET trial finds that reducing blood pressure in elderly patients can significantly cut both rate of cardiovascular events and total mortality
高齢患者の血圧を低下させることにより心血管イベント発現率および総死亡率の両者が有意に減少することが示された、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。HYVETスタディでは80歳以上(平均年齢83歳7ヵ月)の患者3,845人をペリンドプリルにインダパミド徐放錠またはプラセボを追加する群に無作為に割り付けた。その結果、インダパミドにより、総死亡率の21%低下、脳卒中死亡率の39%低下、致死性および非致死性心筋梗塞の64%低下、および心血管イベントの34%低下などの有益性が認められ、これらの効果は1年間の経過観察中に明らかとなった。治療による明らかな有益性が認められたため、このスタディは早期に中止されたが、実薬治療の長期の有益性を評価するため、インダパミド投与群患者に関しては延長試験が進行中である。

ST上昇心筋梗塞の治療として血管形成術を行う際にabciximabおよびtirofibanを使用した場合の成績は同等である [2008-04-01]

Abciximab and tirofiban produce similar outcomes in patients who have angioplasty as treatment for ST-segment elevation myocardial infarctions
ST上昇心筋梗塞の治療として血管形成術を行う際にabciximabおよびtirofibanを使用した場合の術後成績は同等であるが、シロリムス溶出ステントを使用した方がベアメタルステントを使用するよりも優れているようであるとAmerican College of Cardiology学会で発表された。研究者らは745人の患者における抗凝固療法およびステントにおいて比較した。術後90分の解読可能な心電図のある患者722人(97%)においてST上昇の改善が50%以上認められたのはabciximab投与患者361人中302人(83.6%)であり、tirofiban投与患者361人中308人(85.3%)であった。虚血および出血の成績は同等であった。8ヵ月の時点での主要な有害事象はtirofiban (9.9%)およびabciximab (12.4%)で同等であったが、ベアメタルステント(54人、14.5%)ではシロリムスステント(29人、7.8%)よりも高かった。再血行再建術施行率はベアメタルステントで10.2%、シロリムス溶出ステントでは3.2%であった。

ACT Iトライアルの結果vernakalant静脈内投与により短期持続心房細動から洞調律に迅速に戻すことが可能であることが示された [2008-04-01]

ACT I trial shows that injection of vernakalant can rapidly convert short-duration atrial fibrillation to sinus rhythm
Vernakalantは短期持続心房細動を迅速に洞調律に戻すことができる、とCirculation 3月25日号に掲載された。Phase IIIのACT Iトライアルでは血行動態の安定している有症状の心房細動または非典型的心房粗動の患者を組み入れ、2:1の割合で実薬またはプラセボを投与する群に割り付けた。その結果研究者らは、実薬を投与された145人中75人(51.7%)の短期持続不整脈(3時間〜7日持続と定義)が90分以内に洞調律に復帰したのに対し、プラセボ投与群におけるその割合は75人中3人(4.0%)であったことを示した。不整脈が3〜48時間持続しているサブグループにおいて除細動率が最も高く(62.1%)、プラセボ群では4.9%であった。実薬で治療され除細動に成功した75人における洞調律に復帰するまでの時間の中央値は11分であった。洞調律に戻った患者のうち24時間後に不整脈が再発したのは75人中わずか1人であった。

解析の結果80歳を超えた患者の心電図の正常値を再考する必要のあることが示唆された [2008-04-01]

Analysis suggests that the criteria for normal-length intervals in electrocardiograms should be reconsidered for patients more than 80 years old
80歳を超える患者の心電図の正常値は再考すべきである、とAmerican Journal of Geriatric Cardiology 3-4月号に掲載された。研究者らは、あるメディカルセンターで例年の検査を受けた702人の読影結果を解析した。全体で331人(46%)が男性であった。18%弱の人々が心疾患既往歴を有していた。研究者らは、PR、QRS、およびQT間隔値の平均カットオフ値が現在使用されている正常値よりも大であることに気づいた。心疾患既往歴がなく循環器系の内服もしていない健康なサブグループ578人の参考値に基づき、研究者らは男女におけるこれら三つの値の平均値を制定した。全ての値において女性の平均値のカットオフは最新の文献の標準値より大であった。男性においては、カットオフ値はかなり大であり、2倍も大のものもあった。
 
 
 

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