産後うつ病の女性の半数以上が妊娠前または妊娠中から既にうつ病である可能性がある、とAmerican Journal of Psychiatry 10月号に掲載された。母親のうつ病に関する初めての統合調査である、この米国のスタディにより、7人に1人の女性が妊娠前9ヵ月、妊娠中、または出産後9ヵ月のどこかの時点でうつ病であったことが明らかになった。この27ヵ月間のいずれかの時点でうつ病と診断された女性全員のうち、93.4%がうつ病に関連して受診するかあるいは抗うつ薬を内服していた。4分の3近くの女性(妊娠前77%、妊娠中67%、出産後82%)が抗うつ薬を内服していた。筆者らは医師に、うつ病を慢性疾患と捉え、うつ病の既往のある女性や妊娠計画中にうつ病になった女性を見極め治療の選択に関して話し合っておくよう強調している。
少なくとも1回のパニック発作の既往のある高齢女性は心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクが高く死亡のリスクも高い、とArchives of General
Psychiatry 10月号に掲載された。研究者らは健康な閉経後女性3,369人(51〜83歳、平均年齢65.9歳)を調査した。組み入れ時に女性らは過去6ヵ月間のパニック発作についてのアンケートに解答した。約10%の女性が組み入れ前の時点で本格的なパニック発作を報告していた。平均の追跡期間は5.3年間であった。他の心血管リスクファクターで補正した結果、1回以上のパニック発作を起こしたことがあると、心筋梗塞のリスクが4倍、心筋梗塞または脳卒中のリスクが3倍、総死亡リスクが2倍近く高かった。これらの関係はうつ病で補正してもなお認められことから、パニック発作はまた別の独立した心血管イベントのリスクファクターであることが示唆された。
大うつ病を有する青少年は、抗うつ薬と精神療法の併用の方がどちらかの治療法のみを施行するよりも短期および長期における有効性が高いようである、とArchives
of General Psychiatry 10月号に掲載された。計439人の患者がfluoxetine、認知行動療法のどちらか、またはこれらの併用療法のいずれかを36週間施行する群に無作為に割り付けられた。Fluoxetine内服のみの患者は併用療法または精神療法のみの患者と比較し自殺思考率が高く(それぞれ15%、8%、6%)、特に治療初期において高く認められた。筆者らは、fluoxetineは回復を加速させるが精神療法を追加することにより自殺の脆弱性に対するさらなるセーフガードになる可能性があると考えている。18週後に併用療法群では治療反応率が85%でありfluoxetine群では69%、精神療法群では65%であった。36週後までには反応率の差は縮小した(併用86%、fluoxetineおよび精神療法はそれぞれ81%)。
近しい人間関係において、対立などの否定的な因子が顕著な人々は身辺の人間関係が良好な人々と比較し心疾患リスクが高いようである、とArchives of
Internal Medicine 10月8日号に掲載された。研究者らは、身辺の人間関係に関する質問表に回答した英国公務員9,011人を平均12.2年間追跡調査した。ベースライン時に冠動脈性心疾患を有さず解析に足る情報を提供した成人8,499人中589人において、その後冠動脈性心疾患イベントが発生した。他のリスクファクターで補正した結果、最も近しい人間関係において否定的なレベルが高い人々はレベルが低い人々と比較し、イベント発生率が1.34倍高かった。否定的な人間性とうつ病で補正後にはこの相関関係は弱まったが、依然として有意に認められた。
Topiramateはアルコール依存症の治療に有望である、とJournal of the American Medical Association 10月10日号に掲載された。この14週間のトライアルでは18〜65歳の患者を対象に、topiramateとプラセボを比較した。患者らはtopiramate(183人、最大300mg/day)またはプラセボ(188人)に無作為に割り付けられ、心理社会的治療も毎週行われた。再発しベースラインへ戻った患者はドロップアウトと考えた。Topiramateはベースラインから14週後までに大量飲酒日数をより多く減少させた(topiramate群81.9%から43.8%、プラセボ群82.0%から51.8%)。Topiramateはプラセボと比較し大量飲酒日数を16.19%減少させた。さらにtopiramate投与群において、大量飲酒をしない日を連続28日以上達成する率または禁酒を連続28日以上達成する確率が有意に高かった。
がん患者の配偶者の身体的精神的な生活の質は患者のそれと同等で両者とも、がんの質や状態と相関があることが示されたことにより、医師はがん患者の家族によりよいメンタルヘルスケアを提供できる可能性がある、とJournal
of Clinical Oncology 9月20日号に掲載された。米国の3つの主要ながんセンターの研究者らは、前立腺がんの男性263人とその妻に別々に精神的および機能的な状態に関して様々面に焦点をあてたアンケートを行った。患者およびその配偶者の精神的苦痛を最も決定付けるのは、初回診断、再発の診断、または進行がんのいずれにおいても疾患の状態であった。進行がんと戦っている夫婦は全体の生活の質が有意に低く、配偶者は患者よりも孤独感やサポート不足をはるかに多く感じており身体的精神的な重荷を負っている。
中枢刺激薬療法は注意欠陥多動性障害小児の長期間の学力を改善する、とJournal of Development & Behavioral Pediatrics
8月号に掲載された。研究者らは5,000人以上の子供を出生時に組入れた(平均フォローアップ期間18年)。370人(男児277人、女児93人)が障害を有すると診断され、障害を有さない740人の小児と年齢および性別をマッチさせた。メチルフェニデートのような薬剤に加え、このスタディにおいては、母親の年齢、社会経済的背景、および特別な教育サービスなどの影響を調査した。治療を受けた小児は一般的に内服を5〜11歳の間に開始しほぼ3年間続けた(平均30.4ヵ月)。13歳までに中枢刺激薬の用量と「読み」スコアの改善は中程度の相関を示した。中枢刺激薬療法および長期内服は、いずれも長期欠席を低下させた。中枢刺激薬で治療された小児は治療を受けなかった小児と比較し、留年の率が1.8倍少なかった。
急性冠症候群後にうつ病が改善する患者はうつ病が持続している患者よりも回復が良好である、とArchives of General Psychiatry
9月号に掲載された。研究者らはうつ病患者290人の心拍変動を退院3週間後に計測した。全ての患者はセルトラリンまたはプラセボを24週間内服する群に無作為に割り付けられた。16週後、258人の患者が2回目の心拍変動の計測のために来院し、各々の患者の現在のうつ病重症度および治療に対する臨床上の効果を既に確立されているスケールで計測された。過去にうつ病のエピソードのあった患者の組入れ時の心拍変動は低かった。16週後にうつ病を有する患者の心拍変動は予測されたよりも回復が遅かった。心拍変動は、過去のスタディにおいてうつ病のない患者では回復期に28〜33%増加していたのに対し、セルトラリン内服患者では9%増加しており、プラセボ群患者においては10%減少していた。
青年期に過度の飲み騒ぎをした者は成人になって大酒家になり刑事裁判に巻き込まれる可能性が高い、とJournal of Epidemiology and
Community Health 10月号に掲載された。1970年に誕生した英国の子供11,000人が評価され、16歳時に彼らは過去2週間の過度の飲み騒ぎおよび前年の飲酒習慣に関して質問された。16歳の4人に1人が習慣的に飲酒をし、ほぼ18%が過度の飲み騒ぎをしていた。16歳の時点で習慣的に飲酒をしていた者は30歳時には問題となる飲酒家になり違法ドラッグを使用する確率が高かった。過度の飲み騒ぎをしていた者は他の群よりもアルコール依存症になる確率が60%高く、日ごろから大量飲酒をする確率が70%高く、さらに、精神上の問題を抱える率が40%高く、刑事上の有罪判決の確率がほぼ2倍であった。