双極性障害の生涯罹患率は症状が診断の閾値に完全に達していない成人を含めると、考えられていたよりも高い  [2007-05-22]

Lifetime prevalence of bipolar disorder is higher than thought especially if adults are counted whose bipolar symptoms do not quite reach diagnostic threshold

米国成人における双極性障害の生涯罹患率は症状が診断の閾値に完全に達していない成人を含めると約4.4%である、と Archives of General Psychiatry 5月号に掲載された。研究者らは一般人口を代表する成人9,282人と面接をし、病歴から1.0%を双極性I型、1.1%を双極性II型、2.4%をその他の双極性障害に分類した。双極性障害の96〜97%および閾値下の88%が不安障害や薬物乱用などの併存疾患を有していた。生涯の間に双極性を有した成人のほとんど(80.1%)が治療を受け、そのうち閾値下の双極性障害患者は69.3%を占めていた。ほとんどがうつ病の治療を受けていた。しかし、過去12ヵ月間に適切な薬物療法を受けていたのは双極性I型の25%、双極性II型の15.4%、および閾値下の8.1%に過ぎなかった。

 

電気痙攣療法は重症の難治性うつ病に有効である可能性があり、疾患の初期の段階で考慮すべきである  [2007-05-22]

Electroconvulsive therapy can be effective for severe treatment-refractory depression and it should be considered at earlier stages of disease

電気痙攣療法は重症の難治性うつ病に有効である可能性があり、疾患の初期の段階でもっと多くの患者に対し考慮すべきである、とSouthern Medical Journal 5月号に掲載された。このレビュー記事には、米国ではこの治療の使用頻度がこの10年間で明らかに上昇していると記されており、その理由の一部はその効果および安全性が持続するとのデータがあるためであった。難治性うつ病患者の奏効率は最高55%であったが、最近の研究の結果その率は重症のうつ病の初期治療として使用すると80〜90%に及ぶことが報告された。この論文には、異なる投与量、電極位置、薬剤、麻酔、および患者の評価とフォローアップなどの最新の技術が示されている。編集局は、この治療法は全ての患者に適しているわけではないが、多くの患者が一般的な薬物療法では有効性が十分でないため選択肢として考える価値があると述べている。

 

様々な形式の認知行動療法が強迫性障害の成人患者に有効でありうる [2007-05-15]

Various forms of cognitive behavioral therapy can be effective for adult patients with obsessive-compulsive disorder

認知行動療法モデルに基づく治療は強迫性障害の成人患者に有効であるとのメタ解析の結果がCochrane Database of Systematic Reviews第二版(2007)に掲載された。オーストラリアの研究者らは7つの小規模なスタディの患者計150人を解析した。重要な調査結果は、多くの様々な治療法がトライアルにおいて有効であったことである。この治療法には認知療法を主にした方法や行動療法を主にしたもの、および両者を主にしたものが含まれた。個人およびグループ療法はいずれも有効であることが証明され、それは薬物療法を含むものおよび薬物療法の使用を除いたものにおいても同様であった。他に認められた結果は、グループ療法群の方が個人療法群よりも中断率が低かったこと、しかし有効性は同等であったことである。

 

3次元核磁気共鳴画像の結果、リチウム使用により双極性障害患者の灰白質の容積が増加することが示された  [2007-05-15]

Three-dimensional magnetic resonance imaging shows that use of lithium increases the volume of gray matter in patients with bipolar disorder

3次元核磁気共鳴画像の結果、リチウムは双極性障害患者の脳の重要な部分である灰白質の容積を増加させることが示された、とBiological Psychiatry 7月号の印刷版に掲載された。研究者らは灰白質マッチング法を用いて28人の画像の脳領域を比較した(そのうちの70%がリチウムを内服していた)。リチウムを内服している患者においては、帯状回および傍辺縁系の灰白質の容積はリチウムを内服していない患者および健常コントロールと比較し、最高15%増加していた。今回の双極性障害患者は誰もリチウム内服歴が無かったため、増加した灰白質の容積が薬物中止後も持続するか否かを調べることはできなかった。

 

うつ病の症状を1回でも経験した老人はうつ病症状を経験したことのない対照と比較し糖尿病を発症する率が高い [2007-05-08]

Older adults who have symptoms of depression at least one time may have a higher risk for development of diabetes than peers without depressive symptoms

うつ病の症状を1回でも経験した老人はうつ病症状を経験したことのない対照と比較し2型糖尿病を発症する確率が高い可能性がある、とArchives of Internal Medicine 4月23日号に掲載された。研究者らはベースライン時に糖尿病を有さない成人4,681人(65歳以上)を追跡調査した。10年の間、0から30のスケール(8以上は高度の症状を示唆)を用いてうつ病の症状に関し彼らを評価した。ベースライン時の平均症状スコアは4.5であった;20%は8以上のスコアであった。追跡期間中に半数以上の者においてスコアは少なくとも5上昇し、234人が糖尿病を発症した。糖尿病発症率は、ベースライン時点でスコアが8以上の者においてスコアが8未満の者よりも高かった。単回のうつ病エピソード、経時的な症状の増悪、および症状スコアの持続的な高値はいずれも独立して糖尿病発症率上昇と関連があり、この相関関係はベースラインのスコアの低かった者においてより強く認められた。

 

愛する人の自殺後の認知行動療法はうつ病を軽減させないが、不適応な悲嘆反応や非難を軽減するのに役立つ可能性がある  [2007-05-08]

Cognitive behavior therapy after the suicide of a loved one does not reduce depression but may help reduce maladaptive grief reactions and perceptions of blame

愛する人の自殺後の認知行動療法はうつ病を軽減させないが、不適応な悲嘆反応や非難を軽減するのに役立つ可能性がある、とBritish Medical Journal 4月19日号に掲載された。研究者らは自殺をした人の第一度親族122人および配偶者70人をスタディに組み入れた。39家族(68人)は訓練された精神科看護士とのカウンセリング群に割り当てられ、31家族(54人)は通常の治療を受けた。カウンセリングクラスは自殺の3〜6ヵ月後に施行された。13ヵ月後に自己申告の悲哀の程度を計測した;つまり、うつ病の有無、自殺思考、および非難について記録した。その結果、カウンセリングは複雑性悲嘆、自殺思考、またはうつ病には無効であった。しかし、さまざまな因子で補正した後、カウンセリング群では非難が軽減し不適応な悲嘆反応が少ない傾向にあった。

 

メタ解析の結果、うつ病または不安障害の小児および青少年に対する抗うつ薬の投与は有益性がリスクを上回るようであることが示された [2007-05-01]

Meta-analysis indicates that benefits of antidepressants appear to outweigh risks for children and adolescents with depression or anxiety disorders

うつ病または不安障害の小児および青少年に対する抗うつ薬の投与は有益性がリスクを上回るようである、とJournal of the American Medical Association 4月18日号に掲載された。この新たなメタ解析では27のトライアルを評価したが、そのうちいくつかは最近のものであり過去の解析は含めなかった。27のトライアル中、15は大うつ病、6は強迫性障害、6は強迫性障害に伴う不安障害を対象とした。薬物の有効性については、不安障害において最も高く、強迫性障害では中くらい、大うつ病では最も低かった。全ての症例において青少年のほうが小児よりも有効性が高かった。この解析の結果、治療により引き起こされる自殺思考または自殺企図のリスクが少しではあるが上昇することが確認された。しかし、それぞれの無作為効果リスク差はそれぞれの疾患において全て1%未満であった。どのトライアルにおいても死亡に至る自殺は認められなかった。

 

米国の地域病院への入院患者のうち、約4分の1が精神疾患または薬物乱用関連疾患を患っている  [2007-05-01]

Almost one fourth of all patient admissions in US community hospitals involve psychiatric diseases or conditions related to substance use

米国政府のAgency for Healthcare Research and Qualityにより公表された2004年のデータによると、米国の地域病院への18歳以上の入院患者のうち約4分の1がうつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患または薬物乱用関連疾患を患っているとのことである。これらの入院のうち約25%が他の疾患ではなく主として精神または薬物乱用を基礎疾患として入院していた。女性患者の入院時診断で最も頻度が高かったのは気分障害であり、一方男性においては薬物乱用であった。精神疾患で入院した患者の約半数が精神障害と薬物乱用の両方と診断された。80歳以上は米国人口の5%であるが、彼らは精神疾患による入院が全ての入院の21%近くを占め、それらは主として痴呆であった。

 


 

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