APA2007特集 (5月29日)


うつ病に対する補助療法
Asenapineは双極I型障害に対し有望である
Duloxetineと全般性不安障害
安定している統合失調症の新たな治療選択
抗精神病薬と抗うつ薬の相互作用
うつ病に対する非侵襲的装置
 

アリピプラゾールは抗うつ薬に対する反応が不十分な成人の大うつ病患者の補助療法として有効な様である [2007-05-29]

Aripiprazole appears to be effective as adjunct therapy for adults whose major depressive disorder responded inadequately to antidepressant medication
アリピプラゾールは抗うつ薬に対する反応が不十分な成人の大うつ病患者の補助療法として有効な様である、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。7〜28日間のスクリーニング期間の後、患者らは1種類の抗うつ薬と単盲検プラセボ投与による治療を受け、escitalopram、fluoxetineおよび徐放性パロキセチン、セルトラリンまたは徐放性venlafaxineなどの抗うつ薬の効果が不十分であることが確認された。これら全ての抗うつ薬は承認用量で投与された。計362人が6週間の無作為化治療期間に入り、その間プラセボまたはアリピプラゾール(2〜20mg/day)を追加内服した。有効性の一次エンドポイントは、ベースラインから6週間の治療終了時までのMontgomery- Asbergうつ病評価スケールの総合点の変化であった。アリピプラゾール群はプラセボ群と比較し、総合点の低下が有意に大であった。

Asenapineは双極I型障害に関連した急性躁病および混合性エピソードの治療においてプラセボよりも有効であることがPhase IIIスタディで証明された [2007-05-29]

Asenapine proves more effective than placebo in a phase III study as treatment for acute manic and mixed episodes associated with bipolar I disorder
Asenapineは双極I型障害に関連した急性躁病および混合性エピソードの治療において有望であるとのphase IIIスタディの結果が、American Psychiatric Association学会で発表された。この3週間の国際トライアルでは、ベースラインのYoung Mania評価スコアが20以上の躁病患者(69%)と混合性エピソード(31%)の患者488人を組み入れた。患者はasenapine、オランザピン、またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。2日後にasenapineおよびオランザピン群のスコアの平均の低下はプラセボと比較し大であり、この有意な差は21日目まで持続した。治療に関連した全体の有害事象はasenapineで60.8%、オランザピンで52.9%、プラセボで36.2%であった。Asenapine投与による最も頻繁に認められた事象は鎮静作用、めまい、頭痛、および倦怠感である。オランザピンにおいて認められた事象も同様であったが、それらに加え体重増加もみられた。錐体外路症状はasenapineの群の7.2%、オランザピン群の7.9%、およびプラセボ群の2.9%において認められた。

Duloxetineは全般性不安障害患者の家庭および職場での日常機能をプラセボより改善することが証明された [2007-05-29]

Duloxetine proves more effective than placebo in improving daily function at home and at work in patients with generalized anxiety disorder
Duloxetineは全般性不安障害患者の家庭および職場での日常機能をプラセボより改善することが証明された、とのスタディ結果がAmerican Psychiatric Association学会で発表された。2つのトライアル(患者数840人以上)において、不安症状をHamilton不安スケールで、全般的機能障害をSheehan 機能障害スケールで、疼痛性身体症状をVisual Analogスケールで評価した。9週間のトライアルで患者らはduloxetineを1日60mgか120mgまたはプラセボを内服する群に無作為に割り付けられた。10週間のトライアルにおいてduloxetine内服群に無作為に割付けられた患者は1日60mgから内服を開始し、1日120mgまで用量を増加できた。両スタディにおいて、duloxetine投与群ではプラセボ群と比較し有意な改善が認められた。蓄積データを解析した結果、duloxetine群患者の全般的機能改善のほぼ半分が精神的不安の改善によるものであり、疼痛性身体症状や身体的不安による割合は少なかった。

6ヵ月のトライアルデータによれば、bifeprunoxはプラセボと比較し統合失調症の安定維持期間が有意に長いが体重および脂質プロファイルに対する効果はプラセボと同等である [2007-05-29]

Six-month trial data show bifeprunox maintains stabilized schizophrenia significantly longer than placebo but with comparable weight and lipid profiles
治験薬bifeprunoxはプラセボと比較し統合失調症の安定維持期間が有意に長いが体重および脂質プロファイルに対する効果はプラセボと同等である、との6ヵ月間のトライアルデータがAmerican Psychiatric Association学会で発表された。このphase IIIトライアルのデータ解析の結果、bifeprunoxが症状増悪までの時間を有意に延長し、bifeprunoxで治療された患者はプラセボを投与された患者と比較し体重およびbody mass indexの減少を経験した。さらに、bifeprunoxはプラセボと同等に、総コレステロール、中性脂肪に加え超低密度リポ蛋白および低密度リポ蛋白コレステロールに対し好ましい効果を示した。Bifeprunox投与により報告された最も多い副作用は(発現率5%以上かつプラセボの発現率の倍)、嘔気、嘔吐、めまい、食欲不振、アカシジア、ジスキネジアおよび無力症であった。

健常ボランティアにおいて徐放性paliperidoneの血中レベルは、代表的な抗うつ薬パロキセチンを同時に内服しても上昇しなかった [2007-05-29]

Blood levels of extended-release paliperidone in healthy volunteers are not increased when paroxetine is taken as a representative antidepressant
抗精神病薬と抗うつ薬の相互作用の可能性の試験において、徐放性paliperidoneの血中レベルはパロキセチンを同時に内服しても上昇しなかった、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。これらの薬物は両者とも肝臓のCYP2D6酵素系により代謝される。この研究において、計60人の健常男性ボランティアを、(A)徐放性paliperidone 3mgを1日のみ投与または(B)1日20mgのパロキセチンを13日間投与し10日目に3mgのpaliperidoneを投与する群に無作為に割り付けた。最初の治療周期終了後14日目には彼らは何も内服しなかった。その後それぞれの群はもう一方の方法で内服した。Paliperidone投与から4日後に治験施行医師らは体内薬物最高濃度および総暴露量を経時的に計測した。その結果、paliperidoneをパロキセチンと併用した場合に単独で投与した場合と比較し、同薬剤の暴露量に臨床的に有意な上昇は認められなかった。

経頭蓋磁気刺激装置は抗うつ薬の効果が不十分な患者のうつ病症状およびQOLを改善する [2007-05-29]

Transcranial magnetic stimulation device improves depressive symptoms and quality of life in patients with inadequate response to antidepressant drugs
非侵襲的な経頭蓋磁気刺激装置は抗うつ薬の効果が不十分な中等度−重度のうつ病患者の症状およびQOLを改善する、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。301人の患者を対象としたあるスタディにおいて、実際に治療を行われた155人の患者はシャムの治療を施行された患者と比較し4週後までに計測したSF-36健康調査の様々なサブスケールにおいて有意な改善を認め、6週後までにさらに改善を認めた。オープンラベルスタディでは158人の患者が6週間の治療を受け、その後3週間の漸減期には薬物単独療法を追加した。患者のスタディ開始時の症状は2週目で既に改善した。24項目Hamiltonうつ病評価スケールに基づく6週後の奏効率および寛解率はそれぞれ42%と27%であり、漸減期間終了時においてはそれぞれ46%と37%であった。




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