心臓手術後にヒドロコルチゾンを投与された患者は心房細動を発症するリスクが有意に低い、とJournal of the American Medical Association 4月11日号に掲載された。フィンランドの研究者らは、バイパス手術、大動脈弁置換術、またはバイパス手術と弁置換の同時手術を予定された不整脈の既往のない患者241人を、ヒドロコルチゾン100mgまたはプラセボを手術当夜、およびその後3日間は同用量を8時間おきに投与する群に無作為に割り付けた。計94人の患者が術後84時間以内に心房細動を発症し、その内訳はヒドロコルチゾン群では30%、プラセボ群では48%であった。相対リスク軽減率は37%であった。初回の不整脈発作はヒドロコルチゾン群でより遅く発症した。プラセボ群と比較し、ヒドロコルチゾン群で感染または他の重大な合併症が多く発症するということは無かった。
睡眠障害歴のない明らかに健常人で睡眠パターンの崩れを有する人は、睡眠障害により長期間ストレス下にある人々と同様に凝血傾向が高い、とCHEST 3月号に掲載された。睡眠障害歴のない米国人の男女135人(平均36歳)に終夜睡眠ポリソムノグラフィを施行した。朝の空腹時血漿中のvon Willebrand因子抗原、可溶性組織因子抗原、Dダイマー、およびプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1抗原(全て凝血促進状態の血液マーカー)を検査した。その結果、研究者らは自発性睡眠パターンの崩れのレベルとマーカーの高さのレベルにパラレルの関係があることを発見した。年齢、性別、body mass index、血圧および喫煙歴で補正してもこの関係は依然として認められた。
女性のホルモン補充療法開始は閉経に近い時期に開始した方が遅れて開始するよりも冠動脈疾患のリスクが低い可能性があるが、このリスク軽減の度合いは統計的に有意ではない、とJournal of the American Medical Association 4月4日号に掲載された。研究者らは、Women's Health Initiativeトライアルのデータの二次解析を行った。このトライアルでは、子宮摘出術を施行された女性10,739人をエストロゲンまたはプラセボ投与群に、閉経後女性16,608人をエストロゲンとプロゲステロンの併用またはプラセボを内服する群に無作為に割り付けた。ベースラインの年齢は50〜79歳であった。その結果、冠動脈疾患のリスクは、閉経後20年以上経過してから補充療法を開始した女性または70歳以上の女性において最も高いようであり、これは、「ホットフラッシュや寝汗などの更年期の症状には短期間のホルモン使用を考慮する」とする最新のガイドラインを支持する結果であった。過去に報告されたように、併用療法よりもエストロゲン単独療法の方がリスクは低いようであった。
Torcetrapibを用いて高密度リポ蛋白(HDL)コレステロールを上昇させても冠動脈プラークの進行を遅らせることはないようである、とのLate-Breaking Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。ILLUSTRATEトライアルでは冠動脈疾患を有する患者1,188人を、アトロバスタチンを用いて低密度(LDL)コレステロール値が目標レベルに達するまで治療し、その後torcetrapib 60mgまたはプラセボを加える群に無作為に割り付けた。Torcetrapib/atorvastatin投与群においてはatorvastatin単独投与群と比較し、HDLコレステロールは61%増加しLDLコレステロールは20%減少したが、2年後のプラークの量は両群間において統計学的な差がなかった。Torectrapibを使用することにより、血圧が少なからず上昇した(平均4.6mmHg)。他のトライアルでは、torectrapibが死亡のリスクや他の心血管系の有害事象のリスクを増加させることが示されたため、この薬剤の開発は中止された。