ベースライン時点の骨密度が正常な閉経後早期乳がん患者に対する5年間のアナストロゾール治療は骨粗鬆症を惹起しないとのATACトライアルの結果がAmerican
Society of Clinical Oncology学会で発表された。骨に関してのプロトコールに含まれた女性167人(アナストロゾール 81人;タモキシフェン
86人)において、ベースラインから5年後にかけての腰椎および寛骨骨密度低下の割合はタモキシフェン群の患者において有意に低かった。しかし、全てのデータのそろっているアナストロゾール群患者においては、治療開始から2〜5年後の椎骨骨密度低下の割合はベースライン時から2年間のそれよりも有意に低かった。寛骨に関しては骨密度の低下が遅延するというエビデンスは得られなかった。ベースライン時に骨密度の低かった患者5人は骨粗鬆症を発症した。そのうち4人はアナストロゾールを、1人はタモキシフェンを内服していた。筆者らは、ベースラインで骨密度の低い女性がアナストロゾールを内服している間は定期的に監視し、骨を保護する様々な方法をとるよう主張している。
定位放射線照射に脳全体の放射線照射を組み合わせても生存率は変化しないが、再発のリスクは軽減する可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 6月7日号に掲載された。この日本のスタディでは4個以下の転移のある患者を併用療法(65人)または定位放射線照射のみ(67人)の群に無作為に割り付けた。生存期間中央値および1年生存率は併用療法で7.5ヵ月/38.5%であり、定位放射線照射群で8.0ヵ月/28.4%であった。12ヵ月間の再発率は併用群で46.8%であり、定位放射線照射群では76.4%であった。全身および神経機能の保護および放射線毒性は両群間で同じであった。編集局の記者は、どちらの治療も限局性の転移に対しては妥当であるが、治癒可能な患者には後期放射線神経障害を軽減する可能性があるため、定位放射線照射のみの方が良い選択である可能性があると結論付けている。