1〜2サイクルの標準治療施行後に進行した進行非小細胞肺がん患者の51%近くに、sunitinibによる腫瘍縮小効果または疾患の安定化が認められたとのphase
IIスタディの結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。患者の適応基準には近日内の大量出血のないことと脳転移のないことが含まれた。計63人の患者が初回のサイクルのsunitinib投与(1日50mgを4週間投与ののち2週間休薬する6週間のサイクル)を施行された。初回のsunitinib投与サイクルにより6人(9.5%)に部分的な腫瘍の縮小が認められ、さらに26人(41%)の患者に疾患の安定化が認められた。Sunitinibの忍容性は概して良好であった;2人の患者は肺出血で死亡し1人は脳出血で死亡した。このスタディは今後も継続され、別の投与量(1日37.5mg)による治療の評価にまで拡大される。(Abstract:
7001)
早期肺がんの高齢者に対する術後化学療法は有益であり、その毒性は若年者と同程度であるとAmerican Society of
Clinical Oncology学会で発表された。北米の大規模トライアルによる、ベースラインでの予後規定因子を一致させた若年患者327人と高齢患者(66歳以上)155人のデータを解析した結果である。全体の5年生存率は化学療法群で69%、術後経過観察群で54%であった。高齢者における化学療法群の5年生存率は66%であり、術後経過観察群のそれは46%であった。これら2群間で毒性率に差はなかったが高齢者は投与量が少なく治療を中断する傾向にあった。筆者らは医師および高齢患者に、最初の毒性徴候出現後に次の化学療法を延期または中断する前に、化学療法により得られる利益の可能性を慎重に考慮すべきであると強調している。(Abstract:
7009)
トラスツズマブを含む治療を行っていたにもかかわらず進行したHER2陽性の乳がん患者に対するlapatinibとカペシタビンの併用はカペシタビン単独よりも有効である、とのphase
IIIスタディの結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。国際スタディの研究者らが、無作為に割り付けた160人のlapatinibとカペシタビン併用群と161のカペシタビン単独群の無増悪期間を比較した。すべての女性がアントラサイクリン系薬剤、タキサンおよびトラスツズマブ療法を行っていたにもかかわらずがんが進行または転移した患者であった。無増悪期間は併用療法群でカペシタビン単独群のほぼ2倍(36.9週対19.7週)であり、転移を来した者も併用群でより少なかった(4対11)。副作用は両群間でだいたい同程度であった。(Special
Session)
タモキシフェンを数年間使用した後エキセメスタンに切り替えた閉経後早期乳がんの女性はタモキシフェンを継続された者よりも生存率が良好である、とAmerican
Society of Clinical Oncology学会で発表された。このスタディは、乳がん患者2,352人をタモキシフェンによる初期治療2〜3年後にエキセメスタンに切り替える群に、2,372人をタモキシフェン継続投与群に無作為に割り付け、全生存率、乳がんの再発および転移、対側乳房のがん発症率を評価したものである。両群とも計5年間の治療が計画された。無作為化から4.8年(中央値)のフォローアップ後にエキセメスタン群の死亡リスクは15%低かった。乳がん再発、乳がん新規発症、または乳がん以外で死亡するリスクは24%低かった。エキセメスタンはまた、転移のリスクを17%、対側乳房のがん発症率を44%低下させた。(Abstract:
LBA527)
Bevacizumabは様々な化学療法と組み合わせて使用することにより進行大腸がんに対して安全で有効であるとの2つの報告がAmerican
Society of Clinical Oncology学会で発表された。BEATはphase IVのオープンラベルトライアルで41ヵ国の患者1927人を対象としている。最も一般的な化学療法レジメンはFOLFOX、CAPOX、FOLFIRIとカペシタビンである。その有効性のデータは現在まだ解析中である。BriTEは米国で行なわれているBEATの対照トライアルである。このトライアルでは1,986人が登録され、化学療法レジメンはFOLFOX、FOLFIRI、およびIFLである。最近の有効性データによると、無増悪生存期間中央値はレジメンに関係なく10.2ヵ月であった。安全性データによると、重篤な有害事象は約12%の患者に起こり、消化管穿孔1.7%、出血1.9%、動脈血栓塞栓症2.1%であった。(Abstracts:
3534 and 3537)
IRISスタディPhase IIIの新たなデータによると、慢性骨髄性白血病の初回診断時にイマチニブで治療された患者の5年生存率は高値を維持している、とAmerican
Society of Clinical Oncology学会で発表された。インターフェロンとSTI571を比較した国際的無作為化スタディ(International
Randomized Study of Interferon versus STI571)は2000年半ばに開始され、世界中の患者1,106人が登録された。半数はイマチニブに割り付けられ、残りの半数はその時点での標準治療であるインターフェロンαおよびシタラビンに割り付けられた。インターフェロン群の患者は後にイマチニブに変更することが可能となった。初回治療としてイマチニブを投与された患者全体の生存率は89%(白血病死のみを考慮に入れた場合は95%)であった。これまでのところ、93%は急性転化を起こしていない。直近の治療年の疾患進行率は過去のどの年よりも低く、この薬剤試用期間が長いほど疾患が進行しにくくなることが示唆される。(Abstract:
6506)