血液の特異的な免疫反応マーカー検査により、乳がん患者の有意数に生じる日常生活に支障を来す倦怠感の長期的な予測が可能である、とClinical Cancer
Research 5月1日号に掲載された。研究者らは、倦怠感を有する患者の循環インターロイキン(IL)6の量が上昇していることを見出した。この受容体は通常単球表面に認められるものである。この遊離浮遊受容体は、倦怠感の知覚の調節に関わる脳細胞などのような、通常はサイトカイン/受容体活性化に反応しない細胞と相互作用を及ぼす可能性がある。もう一つのマーカーはCD69陽性T細胞指数である。CD69は早期のT細胞活性化を示す。CD69+T細胞数が低下し、循環/細胞IL6比の高い患者は持続的な倦怠感を有しやすい。今後の研究によりこの異常な免疫反応を阻害する薬物が同定されるであろう。
化学療法開始後のコンピュータ断層法(CT)を用いた一連のモニタリングにより、進行する非小細胞肺がんと治療に反応する非小細胞肺がんを見極めることが可能である、とAmerican
Roentgen Ray Society学会で発表された。あるがんセンターにおいて計41人の米国成人患者(26〜85歳)が化学療法開始から31日後までに少なくとも2回の撮影を受けた。ある患者の腫瘍サイズは33%縮小した。5人の患者においては腫瘍のサイズが20〜48%増大したため、速やかに化学療法を変更または中止した。全体として、治療開始から31日間で17%の患者において腫瘍サイズの有意な変化が認められた。有意な変化が見られたことと腫瘍の病理組織、病期、および特異的治療とは関係がなかった。筆者らは、プロスペクティブな大規模スタディを行い、CTおよびCTと陽電子放射断層法(PET)を組み合わせた技術の臨床的な価値を評価すべきであると強調している。
術中言語マッピングは優位半球の大きな高グレード神経膠腫患者の術後の言語機能保護に役立つ、とAmerican Association of Neurological
Surgeons学会で報告された。同じ外科医に治療をされた連続250人の一連の患者を解析した。全体で、159人の患者(63.3%)が術前の会話に問題がなかった。術後1週間の時点で194人(77.6%)がベースライン時の言語機能を維持していたが、21人(8.4%)は言語機能が低下しており、35人(14.0%)には新たな言語障害が出現していた。新たな言語障害を有するまたは言語障害の悪化した患者56人中52人(92.8%)が6ヵ月後までにベースラインレベルまたはそれ以上に改善していた。残りの4人(7.1%)には永久的な障害が残存した。このように、全体の患者のうち術後言語障害が6ヵ月以上持続したのはわずか1.6%であった。
これまでに施行された乳がん予防トライアルのうち最も大きいものの一つである、5年間に渡るタモキシフェンとラロキシフェンのスタディ(Study of Tamoxifen
and Raloxifene:STAR)の4年間の結果から、ラロキシフェンは閉経後高リスク女性における浸潤性乳がんの予防に対しタモキシフェンと同様に有効であることが示された、とこのスタディを指揮したUS
National Institutes of Healthから発表された。19,471人の女性のデータ解析から両薬剤とも浸潤性がんのリスクを半分に低下させることが示された。非浸潤性がんのリスクはタモキシフェンのみが低下させた。副作用の面では、ラロキシフェンはタモキシフェンと比較し、子宮がんの件数が36%少なく、深部静脈血栓症または肺塞栓は29%少なかった。脳卒中、心筋梗塞、骨折の件数は両群間で同様であった。より完璧なデータが2006年American
Society for Clinical Oncology学会で発表される予定である。
皮膚メラノーマの初回診断後2年以内にさらにメラノーマが新たに発症するリスクは過去に報告されたよりも高い、とArchives of Dermatology
4月号に掲載された。米国の研究者らは皮膚メラノーマと診断されたある一地域の患者354人の病歴をとり、診察をし、そして追跡調査を行った。異常な黒子は次の特徴のうち3つ以上を有していた。つまり、径が5mmより大きい、赤みがある、境界が不整または境界不鮮明、複数色、表面が平らである、である。約6%の患者に1年以内に新たなメラノーマが、8%の患者に2年以内に新たなメラノーマが発症した。これに対し、過去に報告された2年以内の発症率は約4%であった。新たにメラノーマを発症した患者の63%はベースラインの時点で異常な黒子を少なくとも一つ有しており、2年間新たなメラノーマの発症を見なかった患者におけるその割合は37%であった。リスクは異常な黒子の数に比例して上昇した。異常な黒子を3個以上有している者は全くないものと比較しリスクが4倍であった。