DDW 2006特集 (5月30日)


酸抑制とびらん性食道炎の治癒
混合型過敏性腸症候群の新たな治療
Barrett食道と食道がん

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前向き研究の結果、胃酸の抑制と酸逆流によるびらん性食道炎の治癒には直接的な相関があることが示された [2006-05-30]

Prospective study demonstrates a direct relationship between gastric acid suppression and healing of erosive esophagitis due to acid reflux disease
前向き研究の結果、胃酸の抑制と酸逆流によるびらん性食道炎の治癒には直接的な相関があることが初めて示された、とDDWで発表された。Grade CまたはDの患者を1日10mgまたは40mgのesomeprazoleを4週間投与する群に無作為に割り付けた。患者らは、酸抑制状態の評価のため24時間のpH検査を5日目に施行された(目標のpHは4より高い値)。4週後に内視鏡検査を施行した。さらに、ベースライン時と内視鏡検査前に症状をスコア化した。103人中72人が4週後に治癒した。食道炎が治癒した患者のうち5日後に酸コントロールが良好であったのは61.3%であったのに対し、食道炎が治癒しなかった者のその割合は42.1%であった。24時間pH検査のデータ解析の結果、治癒は食道内の酸コントロールの長さと関連があった(24時間中の95.2%対88.9%)。酸コントロールが良好であると、4週後の症状スコアも有意に低かった。

セロトニン類似物質tegaserodは混合型過敏性腸症候群患者の初めての有望な治療薬であることが示された [2006-05-30]

The serotonin mimic tegaserod shows promise as the first treatment option for patients with mixed-pattern irritable bowel syndrome
新薬tegaserod(セロトニン4型受容体のアゴニスト)は、混合型過敏性腸症候群患者に対する初めての安全で有効な治療薬として有望であることが示された、とDDWで発表された。この4週間のスタディでは2つの別のコホート、つまり、便秘型の女性337人と混合型女性324人を、tegaserodを1日6mgを2回またはプラセボを内服する群に無作為に割り付けた。混合型の患者の52.3%においてtegaserodは症状を少なくとも75%以上軽減したのに対しプラセボ群のその割合は36.3%であった。便秘型の患者の43.3%においてtegaserodは症状を軽減したのに対しプラセボにおいて症状が軽減したのは28.9%であった。Tegaserodはプラセボと比較し、1週間の便通頻度、便の粘度、いきみを有意に軽減した。有害事象による中断率は両コホートにおいてtegaserodもプラセボも非常に低かった。

胃食道逆流症、Barrett食道、および食道腺がんの関連が明らかとなった [2006-05-30]

Relationships clarified among gastroesophageal reflux disease, Barrett’s esophagus, and esophageal adenocarcinoma
研究により胃食道逆流症とBarrett食道、および食道腺がんに関連があることが明らかとなった、とDDWで発表された。研究者らは食道および胃の腺がん186症例を研究した結果、食道がんと逆流には強力な相関があることを発見した。他の研究で同じ研究者らは、Barrett食道を発症した者が多数存在する31家族278人の遺伝的相関の解析を行った。その結果、Barrett食道と食道腺がん両者に罹患しやすくする遺伝子が、あるひとつの染色体上に存在するとの強力なエビデンスを発見した。研究者らはさらに94の家族の解析を行い、最終的には胃食道逆流症患者全般にスクリーニング血液検査を行ってBarrett食道への進行をできるだけ早期に発見したいと考えている。



 

APA 2006特集 (5月30日)


クエチアピンとうつ病
統合失調症に対する長期作用治療薬
迷走神経刺激による難治性うつ病の治療

BOLDER IIスタディの結果、クエチアピンは急性双極性うつ病の単剤治療薬として使用できる可能性のあることが示された [2006-05-30]

BOLDER II study shows that quetiapine has potential as monotherapy for acute bipolar depression
BOLDER IIスタディの結果、クエチアピンは双極性躁病に加え、急性双極性うつ病の単剤治療薬として使用できる可能性のあることが示されたとAmerican Psychiatric Association学会で発表された。クエチアピンを1日300または600mg、またはプラセボを投与され、試験を終了した300人において、うつ病の症状が改善したのはプラセボよりも両用量の実薬群において有意に多かった。またこの改善はスタディ期間中を通して維持された。BOLDER I および BOLDER IIのデータ解析の結果、自殺思考および不安症状は両用量の実薬群において有意に減少した。両スタディの双極II型障害患者のサブ解析の結果、うつ病の重症度の改善は第1週から第8週にかけてプラセボ群よりも実薬群の方が大であった。

長期作用型paliperidoneは統合失調症の陽性および陰性の症状を軽減し、個人的および社会的機能を改善する [2006-05-30]

Extended-release paliperidone reduces positive and negative symptoms of schizophrenia and improves personal and social functioning
多国籍phase IIIスタディの新たなデータから、長期作用型paliperidoneは統合失調症患者における陽性および陰性の症状を軽減し、個人的および社会的機能を改善することが示された、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。この薬剤は長期作用技術(OROS)を用いた初めてかつ唯一の非定型抗精神病薬であり、血中濃度のピークと谷の深さが最小となる。618人の患者に対して、長期作用型paliperidone 1日3、9、または15mg内服の安全性および機能に対する有効性をプラセボと比較した。3つの用量の実薬投与により、Positive and Negative Syndrome Scaleの平均総スコアおよび5つの因子のスコアそれぞれがプラセボと比較し有意に改善した。全ての用量の実薬投与により、Personal and Social Performanceスコアで測定した患者の機能がプラセボと比較し有意に改善した。

迷走神経刺激療法が有効であった難治性うつ病患者の多くは少なくともその改善効果が24ヵ月間持続する [2006-05-30]

Most patients who respond to vagus nerve stimulation therapy for treatment-resistant depression will maintain improvements for at least 24 months
迷走神経刺激療法が有効であった難治性うつ病患者の多くは少なくともその改善効果が24ヵ月間持続する、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。今回の解析は、まれな慢性および難治性を特徴としたうつ病患者であることを条件とした過去のスタディの蓄積データを使用した。治療が有効であった患者の61〜79%において効果が24ヵ月間維持された。この治療法が有効であった者の中には、様々な大量の抗うつ剤を使用しても有効でないか有効性が持続しない状態が最長で20年間続いた者が含まれていた。



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