大腸がんのリスク軽減
(American Association for Cancer Research)
 
シスプラチン抵抗性のがんに対する選択肢
(American Association for Cancer Research)
 
大腸がんによる死亡の予測
(American Association for Cancer Research)
 
肝病変のラジオ波焼灼術
(Society of Interventional Radiology)
 
 




多発性骨髄腫の4つの遺伝子亜型と予後の差が関連するとの認識は、標的治療に役立ちまた今後の遺伝子研究の方向性を見出す可能性がある [2006-04-25] 
Recognition of four genetic subtypes of multiple myeloma associated with different outcomes may help target treatment and direct future genetic research

多発性骨髄腫の4つの異なる遺伝子亜型により予後が異なることが認識された、とCancer Cell 4月号に掲載された。研究者らは比較ゲノム技術を用いて、正常細胞と比較し多発性骨髄腫細胞において異常と思われる染色体領域を同定した。その後この研究チームは、人の顔立ちから顔を認識するようにデザインされた新たな計算式を使用し、4つの強力な遺伝子パターンを識別した。2つの亜型は非高二倍体および高二倍体多発性骨髄腫に対応した。さらに研究者らは高二倍体多発性骨髄腫にk1およびk2の2つのサブディビジョンがあることを発見した。k1パターンを有する患者はk2パターンを有する患者よりも生存率が良好であった。最後に彼らは、サブグループ内のある分子記号が予後の差の原因であることを示唆する事実を発見し、これによりさらなる研究の方向性が示されている。

エストロゲン受容体陰性でリンパ節に転移した乳がん患者の化学療法に対する反応性は従来考えられていたよりも良好である [2006-04-25]  
Women with estrogen receptor-negative breast cancer that has metastasized to lymph nodes respond better to chemotherapy than commonly thought

エストロゲン受容体陰性でリンパ節に転移した乳がんの化学療法に対する反応性は良好である、とJournal of the American Medical Association 4月12日号に掲載された。3つのトライアル(患者計6,644人)のデータ解析の結果、従来考えられていたよりも化学療法は受容体陰性乳がんに有効であり、また受容体陽性患者に対しては信じられていたよりも有効性が低いことが示された。絶対的な化学療法の有益性はエストロゲン受容体陰性腫瘍の方が高かった。つまり、エストロゲン受容体陰性患者の5年後の無病率が22.8%であったのに対し、エストロゲン受容体陽性患者のそれは7%であった。全生存率の改善はそれぞれ16.7%と4%であった。メニューの異なる化学療法を比較した結果、ドキソルビシン/シクロフォスファミドおよびパクリタキセルを隔週で投与した結果、エストロゲン受容体陰性患者の再発率および死亡率は、初回のスタディで行なった低用量投与と比較し、50%以上低下した。

シクロオキシゲナーゼ2阻害薬はハイリスク患者における散発性大腸腺腫の発症リスクを有意に軽減する [2006-04-18] 
Cyclooxygenase-2 inhibitors significantly reduce the risk for development of sporadic colorectal adenomas in high-risk patients

Celecoxibは散発性大腸腺腫のリスクを有意に軽減するとAmerican Association for Cancer Research学会で発表された。APCスタディでは患者2,035人をcelecoxib 200または400mgまたはプラセボを内服する群に無作為に割り付けた。そのうち31%が低用量アスピリンを内服していた。その結果、celecoxibは3年間の腺腫の新規発症率を45%低下させた。進行新生物の相対リスクはさらに低下し、66%であった。類似の国際トライアル、PreSAPではポリペクトミーを施行された患者1,561人にcelecoxib 400mgの効果を調査した。これらの患者もまた低用量アスピリンの使用を許可されていた。その結果、celecoxibは新たなポリープの発生および数を有意に低下させた。APCトライアルにおいてcelecoxibにより重大な心血管事故が2〜3倍増加することが立証された後、PreSAPトライアルの研究者らは、二群間の副作用発生率は同等であったが心血管事故に関してはcelecoxibのほうがプラセボよりもリスクが2倍高いと結論付けた。

前臨床試験の結果、INGN 241はシスプラチン抵抗性の卵巣および肺がん細胞株に対し、シスプラチン感受性細胞株に対してよりもはるかに有効であることが示された [2006-04-18]  
Preclinical study shows that INGN 241 is even more effective against cisplatin-resistant ovarian and lung cancer cell lines than cisplatin-sensitive cell lines

前臨床試験の結果、INGN 241はシスプラチン感受性およびシスプラチン抵抗性の卵巣がんおよび肺がん細胞株に有効であることが示された、とAmerican Association for Cancer Research学会で発表された。実験データから、シスプラチン抵抗性細胞は、腫瘍細胞内におけるある蛋白分解経路の欠損を有しているため、活性代謝産物MDA-7の蓄積が引き起こされることが示された。この結果、シスプラチン抵抗細胞内のアポトーシスがはるかに増強した。過去に、あるPhase Iトライアルで進行メラノーマ患者におけるINGN 241の臨床効果が示された。転移性メラノーマ患者に対するPhase IIトライアルは現在進行中である。また、固形がんに対し放射線療法にINGN 241を併用して使用するPhase IIIトライアルが現在進行中である。

研究者らは、ステージや他の患者や疾患の因子と関係なく大腸がんによる死亡を予測する4つの血清学的マーカーを発見した [2006-04-11] 
Researchers identify four serological markers that predict death from colorectal cancer independent of stage or other patient or disease factors

血清学的マーカーTIMP-1、PAI-1、MASP-2、およびC反応性蛋白は大腸がん死の独立した予測因子である、とAmerican Association for Cancer Research学会で発表された。デンマークのスタディで、大腸がん患者654人の術直前に採られた血液の前述のマーカーの発現をレトロスペクティブに解析した。この検査はその後大腸がんにより死亡した308人の患者(術後9年経過して死亡した者もいた)を同定した。腫瘍のステージおよび部位を加味したところ、予測生存期間と実際の生存期間の一致率は79%であった。組織のリモデリング、血管新生、炎症の程度を表すこれらのプロテインマーカーの臨床的意義が現在プロスペクティブなスタディで評価されている。このスタディでは術前およびそれに引き続き施行される化学療法などの治療の前後で採血が行われている。

肝硬変患者の単発小肝細胞がんの治療としてラジオ波焼灼術は外科的腫瘍摘出術と同様に有効である [2006-04-11]  
Radiofrequency ablation is as effective as surgical resection for treatment of single small hepatocellular carcinoma tumors in patients with liver cirrhosis

肝硬変患者の単発小肝細胞がんの治療としてラジオ波焼灼術は外科的腫瘍摘出術と同様に有効である、とSociety of Interventional Radiology学会で発表された。このイタリアのスタディで、162人の患者(外科手術38人、ラジオ波焼灼術124人)をmatched, case-control analysisで評価した。Child-Pugh分類Aの肝硬変で5cm以下の単結節性肝細胞がんを有する患者を適応とした。局所の腫瘍成長率は手術群と比較し焼灼術群の方が高かったが、腫瘍の再発率および全生存率は同等であった。外科的切除術群の1年、2年、および3年生存率はそれぞれ89%、78%、および65%であった。一方焼灼術群の生存率はそれぞれ順に97%、84%、および72%であった。

アルツハイマー病治療薬として開発された薬剤は脳腫瘍に対し放射線療法を受けた患者の認知機能および精神状態を改善する [2006-04-04] 
Drug developed for Alzheimer disease improves cognitive function and mood in patients who have received radiation therapy for brain tumors

貧血を伴ったがん患者に対するepoetin alfa投与は3週間に1回の投与で毎週投与するのと同様に十分なヘマトクリット値を維持することが可能である、とJournal of Clinical Oncology 3月1日号に掲載された。研究者らは360人の患者を、1週間に1回40,000単位のepoetin alfaを21週間投与する群と、1週間に1回40,000単位のepoetin alfaを3週間投与しその後18週間は3週間毎に1回120,000単位のepoetin alfaを投与する群に無作為に割り付けた。2群間で輸血が必要な患者の割合に差はなかった。副作用の内容もまた同様であった。スタディ期間中のヘモグロビン値は毎週投与群においてやや高かったが、ヘマトクリット値は3週間毎投与群においても輸血を要するレベルより上回っていた。スタディ終了時点で両群間のQOLに差はなかった。筆者らは、さらに大規模のスタディを行い、低頻度の投与によりQOLを低下させることなくヘマトクリット値を維持させることができるとの知見をさらに広めるよう提案している。

前立腺がんに対する放射線療法後の前立腺特異抗原レベルが低いと再発および転移性前立腺がんのリスクが低い [2006-04-04]  
Lower prostate-specific antigen levels after radiation therapy for prostate cancer are correlated with lower risk for recurrent or metastatic disease

前立腺がんに対する放射線療法後の前立腺特異抗原レベルが低い患者は同抗原レベルが高い患者と比較し再発および転移をきたす確率が高い、とInternational Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 3月15日号に掲載された。研究者らは、根治的外部放射線療法で治療された臨床ステージT1b-T2の米国患者約5,000人の記録を評価し、治療完了時のマーカーレベルにより3群に分配した。マーカーレベルが最も低い群の患者の8年無病生存率は75%であったのに対し、最も高い群の患者のその割合はわずか18%であった。また、マーカーレベルが最も低いレベルの患者の無遠隔転移生存率が97%であったのに対し、最も高いレベルの患者のそれは73%であった。筆者らは医師らに、ハイリスクの患者はアジュバント療法やセカンドラインの治療法を考慮できるよう早期に見極めるべきであると主張している。

 
 


 

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