エストロゲン受容体陰性でリンパ節に転移した乳がんの化学療法に対する反応性は良好である、とJournal
of the American Medical Association 4月12日号に掲載された。3つのトライアル(患者計6,644人)のデータ解析の結果、従来考えられていたよりも化学療法は受容体陰性乳がんに有効であり、また受容体陽性患者に対しては信じられていたよりも有効性が低いことが示された。絶対的な化学療法の有益性はエストロゲン受容体陰性腫瘍の方が高かった。つまり、エストロゲン受容体陰性患者の5年後の無病率が22.8%であったのに対し、エストロゲン受容体陽性患者のそれは7%であった。全生存率の改善はそれぞれ16.7%と4%であった。メニューの異なる化学療法を比較した結果、ドキソルビシン/シクロフォスファミドおよびパクリタキセルを隔週で投与した結果、エストロゲン受容体陰性患者の再発率および死亡率は、初回のスタディで行なった低用量投与と比較し、50%以上低下した。
Celecoxibは散発性大腸腺腫のリスクを有意に軽減するとAmerican
Association for Cancer Research学会で発表された。APCスタディでは患者2,035人をcelecoxib
200または400mgまたはプラセボを内服する群に無作為に割り付けた。そのうち31%が低用量アスピリンを内服していた。その結果、celecoxibは3年間の腺腫の新規発症率を45%低下させた。進行新生物の相対リスクはさらに低下し、66%であった。類似の国際トライアル、PreSAPではポリペクトミーを施行された患者1,561人にcelecoxib
400mgの効果を調査した。これらの患者もまた低用量アスピリンの使用を許可されていた。その結果、celecoxibは新たなポリープの発生および数を有意に低下させた。APCトライアルにおいてcelecoxibにより重大な心血管事故が2〜3倍増加することが立証された後、PreSAPトライアルの研究者らは、二群間の副作用発生率は同等であったが心血管事故に関してはcelecoxibのほうがプラセボよりもリスクが2倍高いと結論付けた。
前臨床試験の結果、INGN 241はシスプラチン感受性およびシスプラチン抵抗性の卵巣がんおよび肺がん細胞株に有効であることが示された、とAmerican
Association for Cancer Research学会で発表された。実験データから、シスプラチン抵抗性細胞は、腫瘍細胞内におけるある蛋白分解経路の欠損を有しているため、活性代謝産物MDA-7の蓄積が引き起こされることが示された。この結果、シスプラチン抵抗細胞内のアポトーシスがはるかに増強した。過去に、あるPhase
Iトライアルで進行メラノーマ患者におけるINGN 241の臨床効果が示された。転移性メラノーマ患者に対するPhase
IIトライアルは現在進行中である。また、固形がんに対し放射線療法にINGN 241を併用して使用するPhase
IIIトライアルが現在進行中である。
血清学的マーカーTIMP-1、PAI-1、MASP-2、およびC反応性蛋白は大腸がん死の独立した予測因子である、とAmerican
Association for Cancer Research学会で発表された。デンマークのスタディで、大腸がん患者654人の術直前に採られた血液の前述のマーカーの発現をレトロスペクティブに解析した。この検査はその後大腸がんにより死亡した308人の患者(術後9年経過して死亡した者もいた)を同定した。腫瘍のステージおよび部位を加味したところ、予測生存期間と実際の生存期間の一致率は79%であった。組織のリモデリング、血管新生、炎症の程度を表すこれらのプロテインマーカーの臨床的意義が現在プロスペクティブなスタディで評価されている。このスタディでは術前およびそれに引き続き施行される化学療法などの治療の前後で採血が行われている。