PREVAILスタディの結果、急性虚血性脳卒中後の静脈内血栓塞栓症の予防には未分画へパリンよりもenoxaparinの方が有効であることが示唆された [2006-12-26]

PREVAIL Study suggests that enoxaparin is more effective than unfractionated heparin for prevention of venous thromboembolism after acute ischemic stroke
動脈硬化性血管疾患を有する患者の抗凝固療法に関する今年のスタディの一つとして、PREVAILスタディは急性虚血性脳卒中後の静脈内血栓塞栓症の予防には未分画へパリンよりもenoxaparinの方が有効であることを見いだした、とAmerican Society of Hematology学会で発表された。この国際トライアルは1,762人の患者をenoxaparinまたは未分画ヘパリンを発症から48時間以内に開始し約10日間継続する群に無作為に割り付けた。フォローアップ期間は90日であった。その結果、enoxaparinにより深部静脈血栓または肺塞栓の相対リスクは未分画ヘパリンと比較し有意に減少した(43%)。有意な出血の頻度は両群間で差がなかった。

コンピュータ断層画像上有意なプラークを有している冠動脈の多くが、心筋血流画像上は十分な血流を有し虚血がない [2006-12-26]

Many coronary arteries with significant plaque on computed tomography deliver enough blood to avoid tissue ischemia per myocardial perfusion imaging
研究者らは虚血による細胞死−心筋梗塞、虚血性脳卒中、および様々な血管傷害の際に認められる再灌流障害の引き金となる毒性化学物質を発見した、とProceedings of the National Academy of Sciences (USA) 11月28日号に掲載された。このポリADPリボースポリマーと呼ばれる化合物は、様々な傷害を受けた細胞から既に分離されている。研究者らは正常なマウス、ポリマーを減成する酵素の遺伝子を欠損させたその同腹子、およびこの酵素を過剰に有する同腹子に脳虚血−再灌流障害を引き起こした。この酵素を有さないマウスの脳は正常マウスの倍のポリマーを含有していた。この同じマウスにおいては正常の同腹子と比較し傷害後の脳梗塞領域が62%多かった。酵素を過剰に有するマウスは正常マウスと比較し脳の傷害が軽度であった。現在進行中の研究はシグナル伝達経路の段階をより良く理解できるようデザインされている。

米国食品医薬品局は薬剤溶出ステントに関する問題に応じて、ベアメタルと薬剤溶出ステントのデータを再評価している [2006-12-19]

US Food and Drug Administration is reviewing data for both bare-metal and drug-eluting stents in response to concerns regarding drug-eluting stents
薬剤溶出ステントに関して問題が出現したため米国食品医薬品局は再評価を行っている、とAmerican Heart Association学会で発表された。ステントを挿入された患者はアスピリンおよび他の抗血小板薬(通常クロピドグレル)を状況やステントの種類により1〜12ヵ月間内服する必要があるが、最近の研究結果により、多くの患者が循環器専門医に無断で1年以内に抗血小板薬内服を中断していることが示された。これらの患者は指示通りに内服を継続した患者と比較し、非致死性および致死性心筋梗塞を発症する確率が高かった。さらに、最近のいくつかのデータによると、ステント挿入から1年後またはそれより後の薬剤溶出ステント内血栓形成はベアメタルステントのそれよりもより多く認められた。2つのステント間におけるこの差の程度や有意性に関しては食い違うデータがあり、また、どれだけの患者が指示された通りにアスピリンを内服しなかったかについては明らかでない。今後、後期の血栓形成のリスクファクターや適切な予防法に関するデータを収集するトライアルが必要であろう。

研究者らはマウスモデルを用い、虚血による細胞死−再灌流障害の明らかな原因である毒性化学物質を発見した [2006-12-19]

Researchers using a mouse model identify a toxic chemical that is the apparent cause of cell death secondary to ischemia-reperfusion injury
研究者らは虚血による細胞死−心筋梗塞、虚血性脳卒中、および様々な血管傷害の際に認められる再灌流障害の引き金となる毒性化学物質を発見した、とProceedings of the National Academy of Sciences (USA) 11月28日号に掲載された。このポリADPリボースポリマーと呼ばれる化合物は、様々な傷害を受けた細胞から既に分離されている。研究者らは正常なマウス、ポリマーを減成する酵素の遺伝子を欠損させたその同腹子、およびこの酵素を過剰に有する同腹子に脳虚血−再灌流障害を引き起こした。この酵素を有さないマウスの脳は正常マウスの倍のポリマーを含有していた。この同じマウスにおいては正常の同腹子と比較し傷害後の脳梗塞領域が62%多かった。酵素を過剰に有するマウスは正常マウスと比較し脳の傷害が軽度であった。現在進行中の研究はシグナル伝達経路の段階をより良く理解できるようデザインされている。

心血管疾患を有さない成人に対するスタチン療法は重大な心および脳血管イベントのリスクを軽減する可能性はあるが冠動脈疾患や全体の死亡率は軽減しない [2006-12-12]

Statin therapy for adults without cardiovascular disease may reduce risk of major cardiac and cerebrovascular events but not of coronary heart disease or overall death
心血管疾患を有さない成人に対するスタチン療法は重大な心および脳血管イベントのリスクを軽減する可能性はあるが冠動脈疾患や全体の死亡率は軽減しない、とArchives of Internal Medicine 11月27日号に掲載された。平均追跡期間3.2〜5.2年の7つの臨床試験(患者42,848人、そのうち90%が心血管疾患の既往歴なし)を調査した結果、スタチンを内服した患者21,409人中924人が重大な冠動脈イベントを発症したのに対し、プラセボを内服したコントロール群21,439人中におけるその人数は1,219人であり、29.2%のリスク軽減が認められた。重大な脳血管イベントはスタチン群患者のうち440人、コントロール群のうち517人に発症し、スタチン群においてリスクが14.4%低かった。スタチン治療により非致死性心筋梗塞のリスクもまた31.7%低下し、血行再建術施行率は33.8%低下した。心血管疾患または全ての原因による死亡率は、両群間で有意差がなかった。

ACUITYトライアルの結果、急性冠症候群患者に対しbivalirudinは通常の抗血栓薬の併用療法よりも優れている可能性のあることが示唆された [2006-12-12]

ACUITY Trial suggests that bivalirudin may be superior to standard combinations of antithrombotic agents in patients with acute coronary syndrome
ACUITYトライアルの結果、急性冠症候群患者に対しbivalirudinは通常の抗血栓薬の併用療法よりも優れている可能性のあることが示唆された、とNew England Journal of Medicine 11月23日号に掲載された。ACUITY (Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage strategY [緊急カテーテル術と緊急インターベンションの治療戦略])スタディにおいて、急性冠症候群患者13,819人を未分画ヘパリン、enoxaparinと糖蛋白 IIb/IIIa阻害薬、bivalirudinと糖蛋白 IIb/IIIa阻害薬、またはbivalirudin単独を投与する群に無作為に割り付けた。全ての薬剤は救急治療室で開始された。患者は即座にカテーテル術を施行され試験薬は全ての施術中を通して継続投与された。Bivalirudin単独投与とヘパリンと糖蛋白 IIb/IIIa阻害薬併用療法の全虚血エンドポイント発生率は同等であり(7.8%対7.3%)、臨床上の不良な結果の指標はbivalirudin単独投与において有意に低かった(10.1%対11.7%)。Bivalirudin単独投与により重大な出血のリスクは47%低下した。
 
 
 

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