AHA 特集


喫煙と心奇形
栄養と心血管疾患
リスクファクターとしての安静時心拍
低ナトリウム血症の新たな治療法
片頭痛と心血管疾患
高コレステロール血症の新たな治療法

 

11月28日のAHA Late-Breaking Clinical Trial特集はこちらをご覧ください。


妊娠初期の喫煙および受動喫煙は中隔欠損症を含む一部の先天性心奇形のリスクを上昇させる可能性がある [2006-12-05]

Smoking and exposure to others’ tobacco smoke early in pregnancy appear to increase risk for certain congenital heart anomalies including septal defects
妊娠初期のタバコの煙への曝露は一部の先天性心奇形のリスクを上昇させる可能性がある、とAmerican Heart Association学会で発表された。米国の研究者らは心奇形を有する小児566人と奇形のない小児491人、およびその親を調査した。妊娠前1ヵ月から妊娠終了時までの家と職場での喫煙と受動喫煙を評価した。奇形を有する小児群においてはその母親の34%が妊娠前1ヵ月から妊娠初期の間のどこかで喫煙したと報告した。この群は煙への曝露のない女性群と比較し奇形を有する子供を持つ確率が60%高く、この関係は年齢、人種、出生以前のビタミン摂取、および飲酒量の制限で補正した後にも認められた。さらなる解析の結果、中隔欠損または右心系閉塞性心奇形を有する子供の母親は奇形のない子供の母親よりも、胎児が成長する間に煙に曝露されていた確率が80%高かった。

WAFACSトライアルの結果、抗酸化ビタミンおよび葉酸はハイリスクの女性における心血管疾患の発症を遅延させないことが示された [2006-12-05]

WAFACS Trial shows that antioxidant vitamins and folic acid do not slow development of cardiovascular disease in high-risk women
抗酸化ビタミンおよび葉酸はハイリスクの女性における心血管疾患の発症を遅延させないことが示された、との最新臨床試験結果がAmerican Heart Association学会Late-Breaking Clinical Trialのセッションで発表された。このWomen's Antioxidant and Folic Acid Cardiovascular Studyにおいては、疾患が既に認められているかまたは、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、および喫煙を含むリスクファクターを3つ以上有し高リスクと考えられる40歳以上の医療従事者5,442人を評価した。参加者らは葉酸およびビタミンB6、B12の組み合わせまたはプラセボを内服した。平均の追跡期間は7.3年であり、結果は心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術施行、および心血管死で評価した。両群での重大な心血管イベント発症率は同等であった。ビタミン療法による有害事象は認めず、研究者らは、妊娠中などこれらのビタミンを摂取するための、心臓とは関係ない重要な根拠はある、と述べている。

中年男性における5年間の安静時心拍数の増加は、心拍数の増加のない者と比較した場合、その後20年間の死亡リスクの上昇を予測する [2006-12-05]

A five-year increase in resting heart rate in middle-aged men predicts increased risk for death over the next two decades compared with no increase in rate over time
中年男性の安静時心拍数の増加はその後20年間の死亡のリスク上昇を予測する、とAmerican Heart Association学会で発表された。フランスの研究者らは4,320人の男性(42〜53歳)を登録し、その後5年間彼らに標準的な検査や診察を行った。追跡期間(20年以上)中に、1,018人の男性が様々な原因で死亡した。年齢、身体活動性、喫煙量、body mass index、収縮期血圧、血糖値、および総コレステロール値などのリスクファクターで補正した結果、研究者らは、最初の5年間に安静時心拍数が7拍/分以上上昇しなかった男性と比較し、8拍/分以上増加した男性はフォローアップ終了時までの死亡率が47%上昇した一方、心拍数が8拍以上低下した男性は死亡率が18%低下したと報告した。

SALT-1 および SALT-2トライアルの結果、tolvaptanは心不全を含む様々な疾患に関連した低ナトリウム血症を有意に改善することが示された [2006-12-05]

SALT-1 and SALT-2 Trials show that tolvaptan significantly improves hyponatremia associated with various underlying diseases such as heart failure
低ナトリウム血症に関するこれまでで最大の二つのトライアルの結果から、tolvaptanは心不全や肝硬変を含む様々な疾患による低ナトリウム血症を改善することが示された、とAmerican Heart Association学会で発表された。このPhase IIIスタディでは、主に心不全、肝硬変または抗利尿ホルモン不適合症候群による低ナトリウム血症の患者205人(SALT-1)および243人(SALT-2)を組み入れた。患者はプラセボまたはtolvaptanを1日15mg内服する群に無作為に割り付けられ、30日間の治療の後、経過観察のための7日間の通院をした。SALT-1およびSALT-2においてtolvaptanは最初の4日間および30日後の平均血清ナトリウム値を有意に上昇させた。両スタディともに、tolvaptanを投与された患者において4日後および30日後の血清ナトリウム値の正常化がより多く認められた。この治験薬終了後7日間以内に血清ナトリウム値はプラセボ群のレベルに戻った。

片頭痛を有する男性は心血管疾患および特に心筋梗塞のリスクが高い [2006-12-05]

Men with migraine headaches have an increased risk for cardiovascular disease and myocardial infarction in particular
片頭痛を有する中年の男性は心血管疾患のリスクが高い、とAmerican Heart Association学会で発表された。Physicians’ Health Studyに登録された米国男性20,084人(ベースライン時の平均年齢56歳)の解析が行われた。7.2%の男性が片頭痛(スタディの最初の5年間に少なくとも1回)を訴えた。最初の5年経過後、彼らは平均15.7年間追跡調査された。片頭痛を有する男性1,449人が追跡期間中に2,236件の重大な心血管疾患を発症し、リスクが24%上昇した。このリスク上昇は心筋梗塞のリスクが42%高かったことが主な要因であった。虚血性脳卒中、血行再建術、および心血管死の傾向は統計学的に有意ではなかった。興味深いことに、前兆を伴う片頭痛を有する女性に関する同様の結果が同グループから最近発表された。筆者らは、片頭痛を有する成人はコントロール可能な心血管リスクファクターに十分注意を払うよう強く勧めている。

AEGR-733の単剤治療または併用治療は治療開始後4週間以内に低密度リポ蛋白コレステロールを有意に低下させる [2006-12-05]

Monotherapy or combination therapy with AEGR-733 significantly reduces low-density lipoprotein cholesterol within four weeks of beginning therapy
AEGR-733の単剤治療またはezetimibeとの併用治療は治療開始後4週以内に低密度リポ蛋白(LDL)コレステロール値を有意に低下させる、とのphase II試験結果がAmerican Heart Association学会で発表された。この中間結果から、ezetimibe 10mgとAEGR-733 5mgの併用により4週後にはLDLコレステロールが35%低下したのに対し、ezetimibe単独では20%であったことが示された。さらに、AEGR-733 5mgおよび7.5mgの用量による治療が単独療法として有効である(それぞれ平均19%および28%低下)ことが示された。AEGR-733はミクロゾームトリグリセリド転移蛋白阻害剤と呼ばれる新しい種類の薬剤の仲間である。今後アトロバスタチンと本薬剤の併用に関するトライアルが計画されている。



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