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前兆のある片頭痛を有する中年女性は虚血性心疾患による重大なイベントおよび死亡のリスクが高い
[2006-07-25]
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Middle-aged women who have migraine headaches with aura are at increased risk for major events and death due to ischemic cardiovascular disease |
視覚障害のような前兆のある片頭痛を有する45歳以上の女性は虚血性心疾患のリスクが高い、とJournal of the American Medical Association 7月19日号に掲載された。研究者らはWomen's Health Studyに参加した女性でベースライン時に心血管疾患および狭心症を有さない女性27,840人を評価した。ベースライン時に5,125人(18.4%)が片頭痛歴を有していた。前の年に片頭痛のあった女性3,610人中1,434人(39.7%)が前兆の症状を有していた。追跡期間(平均10年)の間に580件の重大な心血管イベントが発症した。その結果、前兆のある片頭痛を有する女性において心血管イベントのリスクが高く、これは既知の心血管リスクファクターで補正しても認められ、冠動脈血行再建術施行率は1.7倍、虚血性心疾患による死亡率は2.3倍高かった。一方、前兆のない片頭痛を有する女性では、虚血性血管イベントのリスクは有意には高くなかった。
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急性A型大動脈解離で救命された患者の約10人中9人が入院後少なくとも3年間生存する [2006-07-25]
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Roughly nine of ten patients who survive acute Type A aortic dissection will survive for at least three years after hospitalization |
急性A型大動脈解離で救命された患者の約90%が入院後少なくとも3年間生存するとCirculation 7月4日号のサプリメントに掲載された。研究者らは1990年代後半から2000年代前半にかけて治療された患者885人の国際登録データを解析した。617人(70%)が救命され退院した。生存者のうち約90%が手術で治療された。院内死亡率は手術を施行されなかった患者においてはるかに高かった。全患者の平均年齢は59歳であったが、4分の1は70歳を超えていた。全患者の72%が高血圧の既往を有し、25%近くが動脈硬化を有していた。心血管手術の既往のある患者は13%以下に過ぎなかった。生存者においては、退院後の死亡率は合併症と強い関連があった。動脈硬化または心血管手術の既往を有する患者は、他の生存者と比較し退院後3年間に死亡するリスクが2倍高かった。 |
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動物モデルにおいて抗生剤のrapamycinを前投薬することにより虚血または再灌流障害による心筋細胞死の予防効果が認められた [2006-07-18]
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Pretreatment with the antibiotic rapamycin produces a protective effect in an animal model against myocardial cell death related to ischemia or reperfusion injury |
緊急血管形成術施行の遅延を軽度でも短縮することにより、発症から病院到着までの時間にかかわらず、全ての急性心筋梗塞患者の生存率を改善する、とJournal
of the American College of Cardiology 6月6日号に掲載された。病院到着から6時間以内にカテーテルインターベンションを施行された患者29,222人のうち、冠動脈形成術を来院後90分以内に施行された患者の院内死亡率は3%であったのに対し、治療までに3時間以上経過した患者の院内死亡率は7.4%であった。発症から来院までの時間を1時間以内、1〜2時間、2時間以上に分類し、サブ解析した結果、どの群においても同様のパターンが認められた。すなわち、患者がハイリスクであるなしにかかわらず、冠動脈形成術の施行が早いほど死亡率が低かった。 |
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新たなデータにより小児期の肥満と成人期の高血圧およびメタボリックシンドロームが関連付けられた [2006-07-18]
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New data link childhood obesity to development of adult hypertension and metabolic syndrome |
小児期および青年期の過剰体重と高血圧は成人期の本態性高血圧やメタボリックシンドロームの発症と強力に関連付けられる、とHypertension 7月号に掲載された。長期にわたる米国Bogalusa心臓研究における中年成人3,255人を小児期から追跡調査したデータの結果、前高血圧状態の成人は正常血圧の者と比較し、小児期からBMI、収縮期および拡張期血圧、中性脂肪レベルが有意に高く、青年期から血糖レベルもより高かった。正常血圧の成人と比較し、高血圧の成人は、小児期から体重の過剰の程度、収縮期および拡張期血圧、血糖および中性脂肪の値が大きかった。 |
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炎症を標的とした治療法は軽度の慢性心不全患者の予後を改善する [2006-07-11]
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Therapy targeted against inflammation can improve outcomes for patients with mild-to-moderate chronic heart failure |
抗炎症薬Celacadeは軽度の慢性心不全患者の予後を改善するとのphase III ACCLAIMトライアルの予備データがWorld Congress of Cardiologyミーティングでの完全な発表に先駆けて公表された。この国際スタディではNYHA心機能分類II, III, IVの慢性心不全患者2,414人をプラセボかCelacadeを投与する群に無作為に割り付けた。平均の左室駆出率は30%未満であった。患者はあらゆる範囲の可能なデバイスや薬剤を使用することが許可された。Class IIの慢性心不全患者全体(692人)では死亡または心血管系疾患による初回入院のリスクがCelacade群においてプラセボ群より39.1%と有意に低下した。ベースラインおよび26週後に高感度C反応性蛋白を計測したところ、全体としてCelacadeの効果が認められたが統計学的に有意ではなかった。 |
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脳虚血発作症状発症後3時間以内の奇異性血圧は死亡のリスク上昇につながる [2006-07-11]
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Erratic blood pressure during the first hours after onset of ischemic stroke symptoms significantly increases risk for death |
脳虚血発作症状発症後3時間以内の奇異性血圧は死亡のリスクを劇的に上昇させるとNeurology 6月27日号に掲載された。米国の研究者らは24時間以内に症状があり救急治療室に入院した患者71人を調査した(うち82%は発症から2時間以内に入院した)。年齢および脳卒中の重症度で補正した結果、血圧(特に拡張期)の変動の大きい患者は急性脳卒中後90日間以上生存する確率が低かった。患者の半分強が男性であった。年齢は26〜98歳であった(平均75歳)。4分の1が脳卒中の既往を有し、4分の3が高血圧歴を有していた。調査をした患者71人中20人(28%)が90日以内に死亡した。ほとんどの症例の死亡原因は急性の脳卒中であった。 |
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弁膜疾患の新たなガイドラインは冠動脈疾患患者や妊娠女性などのさまざまな患者集団に照準を定めている [2006-07-04]
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New guidelines on valvular heart disease are aimed at various populations including patients with coronary artery disease and pregnant women |
American College of CardiologyとAmerican
Heart Associationが共同で発行した最新のガイドラインは、冠動脈疾患患者や妊娠女性などのさまざまな患者集団の弁膜疾患の診断および治療の最近の進歩に狙いを定めている。今回のエビデンスベースのガイドラインは1998年に発行されたガイドライン一式に取って代わるものである。内容は心雑音のある患者の評価、心内膜炎の予防および治療、妊娠中の弁疾患の管理、さらに特異的な弁部位に関する問題についても論じている。外科手術の項では経食道心エコー検査、術後の抗凝固薬使用、および弁形成術と弁置換術の患者選択などが含まれている。ガイドラインのフルテキストオンライン版はhttp://www.acc.orgに掲載されている。この要約がJournal
of the American College of Cardiology8月1日号およびCirculation8月1日号に掲載される予定である。 |
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アンジオテンシン変換酵素阻害薬に曝露された胎児(妊娠の最初の3ヵ月間のみ)は、主な先天性異常のリスクが高い [2006-07-04]
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Infants exposed to angiotensin converting enzyme inhibitors only during the first trimester are at increased risk for major congenital malformations |
アンジオテンシン変換酵素阻害薬に曝露された胎児(妊娠の最初の3ヵ月間のみ)は、主な先天性異常のリスクが高い、とNew England Journal of Medicine 6月8日号に掲載された。米国の研究者らは29,507人の小児のデータを調査した。その結果、209人が妊娠初期の3ヵ月間にこの薬剤に曝露されており、202人は他の降圧剤に曝露されていた。残りの29,096人は降圧剤による曝露はなかった。主な奇形が新生児の856人(2.9%)に診断された。妊娠初期3ヵ月間の曝露により主な奇形の発生率が7.1%であり他の降圧剤に曝露された小児のその割合は1.7%であった。降圧剤を内服していない母親と比較し奇形のリスクは2.71倍高かった。リスクの上昇は主に心血管系および中枢神経系の奇形のリスク上昇によるものであった。筆者らは医師らに、妊娠可能な年齢の女性が妊娠の機会を有する場合には他の薬剤を考慮するよう呼びかけている。 |
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