高用量のコルチコステロイド療法は心房細動のリスクを上昇させる可能性がある [2006-05-23]

High-dose corticosteroid therapy may be associated with an increased risk for atrial fibrillation
弾性ストッキングは長距離飛行中の深部静脈血栓発生のリスクを有意に軽減するとのメタ解析の結果が、Cochrane Database of Systematic Reviews 2006年版に掲載された。9つのスタディ(成人計2,800人)を解析した結果、半数の者が7時間以上の飛行の間に何らかのの弾性ストッキングを着用していた。飛行後に検査した結果、50人が無症状の血栓を有し、そのうち3人はストッキングを着用しており47人は着用していなかった。ストッキングを着用していた者は下肢の不快感がかなり軽く、むくみも少なかったと報告した。明らかな血栓症状を発症した者は一人もなく、また血栓による重大な体調不良を示す者もいなかった。これらのスタディには低リスクから比較的高リスクの患者まで含まれていた。ストッキングのタイプは血栓予防の程度には影響しないようであった。

急性冠症候群発症後早期のスタチンの使用は短期間の心筋梗塞、虚血性脳卒中、または死亡のリスクを軽減しない [2006-05-23]

Early use of statins after an episode of acute coronary syndrome does not reduce the short-term risk for myocardial infarction, ischemic stroke, or death
急性冠症候群発症後14日以内のスタチン療法の開始は、4ヵ月以内の死亡、心筋梗塞、または虚血性脳卒中のリスクを低下させない、とJournal of the American Medical Association 5月3日号に掲載された。スイスの研究者らは13,024人の患者を対象とした12のトライアルを評価したところ、早期のスタチン療法による1ヵ月および4ヵ月後の総死亡率、心筋梗塞総発症率、脳卒中総発症率、致死的または非致死的心筋梗塞、または血行再建術施行率のリスクを統計学的に有意に低下させないとの結果を得た。研究者らはこのようなスタチン使用による早期の効果は見出せなかったが、早期のスタチン開始により重篤な有害事象が発症するのはまれであることを強調している。

American Heart Associationがエビデンスに基づく虚血性脳卒中の一次予防の勧告を発行する [2006-05-16]

American Heart Association issues new evidence-based recommendations for primary prevention of ischemic stroke
虚血性脳卒中の一次予防に対する新たな勧告がAmerican Heart Association学会誌Strokeオンライン版5月4日号に掲載された。リスクファクターは修正不可能、修正可能、修正できる可能性あり、および証明されているまたは十分に証明されていない、に分類された。医師らにはリスクを評価する際にFramingham Stroke Profileのようなツールを用いるよう勧めている。十分に証明されている修正可能な因子には高血圧、喫煙、糖尿病、心房細動、および他の心疾患、脂質異常、頸動脈狭窄、閉経後ホルモン補充療法、偏った食事、運動不足、肥満および体脂肪分布などが含まれている。具体的な勧告としては高リスクの糖尿病患者に対するスタチン療法や高血圧患者における最適なカリウムおよびナトリウム摂取量などが含まれている。修正できる可能性のあるリスクファクターの中の新たな勧告は、睡眠時無呼吸症候群の評価である。

植込み型除細動器はペースメーカーよりもはるかに誤作動率が高く、作動状況を監視する必要がある [2006-05-16]

Implantable cardioverter-defibrillators have a significantly higher malfunction rate than pacemakers and should be monitored for performance
植込み型除細動器(ICD)はペースメーカーよりもはるかに誤作動率が高い、とJournal of the American Medical Association 4月26日号に掲載された。米国の研究者らは1990〜2002年の誤作動と死亡の報告結果を解析した。この間に計225万個のペースメーカーおよび415,780個のICDが植え込まれ、誤作動を起こす装置17,323個(ペースメーカー8,834個、ICD8,489個)が取り除かれた。誤作動が確認されたことによる年間交換率(植え込み1,000件当たり)はICDで20.7、ペースメーカーで4.6であった。バッテリー/コンデンサーの異常および電気的な問題が装置故障の半分を占めていた。61例の死亡(ペースメーカー患者30例、ICD患者31例)はデバイスの誤作動によるものであった。筆者らは、植え込まれているデバイスの作動状況を監視する最も良い方法として、定期的なデバイスの点検を勧めている。
 

修正心肺蘇生法は除細動器反応性不整脈による心停止後の生存率を改善する [2006-05-09]

Modified cardiopulmonary resuscitation procedure can significantly improve survival after cardiac arrest due to a defibrillator-responsive arrhythmia
修正心肺蘇生法が除細動器反応性不整脈による心停止に使用された結果、生存率を3倍上昇させた、とAmerican Journal of Medicine 4月号に掲載された。この修正蘇生法を用いて、一次蘇生担当者は、患者を除細動器に取り付けると同時に、速いペースで強い胸部圧迫(心臓マッサージ)を開始した。蘇生担当者は、院外の突然のショック患者で除細動器反応性と思われる者125人のうち58%の蘇生を成功させた。一方、従来の技術が用いられていた3年前の院外の心停止の生存率はわずか20%であった。筆者らは、この生存率の改善は心または呼吸停止ではなく心停止を補助するステップを重要視したことによる可能性があると述べている。

スタチン療法に胆汁酸再吸収抑制薬colesevelamの付加投与は低密度コレステロールおよびC反応性蛋白のレベルを低下させる [2006-05-09]

Addition of the bile acid sequestrant colesevelam to statin therapy can produce further reductions in low-density cholesterol and C-reactive protein levels
スタチン療法に胆汁酸再吸収抑制薬colesevelamの付加投与は低密度リポプロテイン(LDL)コレステロールおよび高感度C反応性蛋白(CRP)のレベルを低下させる、とAmerican Journal of Cardiology 4月15日号に掲載された。米国の3つのトライアル(患者数計204人)から蓄積されたデータが得られた。シンバスタチン、アトルバスタチン、またはプラバスタチンを最低4週間定量投与下で全ての患者のLDLコレステロールレベルは100〜250mg/dLであり、中性脂肪のレベルは300mg/dL以下であった。Colesevelamとスタチンの併用により平均のLDLコレステロールはプラセボとの併用よりも低下した(16%対9%)。Colesevelamを併用した結果、目標LDLコレステロールレベルの<100mg/dLに到達した患者は4倍であった(39%対10%)。Colesevelamとスタチンの併用により高感度CRP中央値は6.2%低下したが、プラセボと併用した群における中央値は17.2%上昇した。
 

中国のスタディの結果、食事や生活様式の欧米化によりメタボリックシンドロームおよび心血管疾患のリスクが上昇することが示された [2006-05-02]

Chinese study indicates that westernization of diet and lifestyle is associated with increased risk for metabolic syndrome and cardiovascular disease
中国人は欧米の食事や生活様式を取り入れたため、メタボリックシンドロームおよび心血管疾患の有病率が欧米レベルにまで上昇した、とJournal of the American College of Cardiology 4月18日号に掲載された。研究者らは北京周辺の60歳以上の2,334人を評価した。彼らのうち約半分(46%)が、国際糖尿病連盟(International Diabetes Federation)のメタボリックシンドロームの診断基準に当てはまった。メタボリックシンドロームと心疾患、脳卒中、および末梢動脈疾患を含む心血管疾患の有病率とは相関があった。興味深いことに、連盟の診断基準に基づき診断されたメタボリックシンドロームの方が米国の診断基準に基づき診断したそれよりも心血管疾患との相関が強かった。これは、アジア人は白人と比較し、はるかに低いbody mass indexで糖尿病や心血管疾患が発症する傾向にある可能性があるためであろうと筆者らは結論付けている。

遺伝子検査と心臓超音波検査を組み合わせることにより肥大型心筋症の人々の検出が有意に改善する [2006-05-02]

Combination of genetic testing and echocardiography can significantly improve identification of people with hypertrophic cardiomyopathy
心臓超音波検査による心室中隔の形態の評価に遺伝子検査を組み合わせることにより肥大型心筋症に関連する遺伝子変異を検出する能力が倍になる、とMayo Clinic Proceedings 4月号に掲載された。研究者らは血縁関係のない382人(平均年齢41.6歳)を既知の肥大型心筋症を発症しやすい8つの遺伝子に関して解析した。他変量解析の結果、(S字状中隔とは)逆側への中隔の彎曲を示す形態学的なサブタイプが変異を示す強力な予測因子であった。全体で、遺伝子検査の検出率は中隔の逆側への彎曲がある場合で79%であり、中隔の形態を考慮しない場合のそれは40%未満であった。筆者らは、家族歴に肥大型心筋症のある高齢者にこの検査を行うことにより、小児や若年成人に遺伝子検査または医療を行うかの方針を決定するのに役立つと強調している。
 
 
 
 

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