心房細動に対する高周波アブレーションにより抗不整脈薬を使用することなく少なくとも1年間洞調律を維持することができる、とNew
England Journal of Medicine 3月2日号に掲載された。この国際トライアルでは146人の患者を登録した。そのうち77人は肺静脈周囲アブレーション施行群に、69人は電気的除細動群に無作為に割り付けた。患者は全員割り付け前6週間および後3ヵ月の間アミオダロンを内服した。コントロール群(電気的除細動群)は心房細動が再発した場合にはアミオダロンを再開可能とした。コントロール群69人中心房細動が再発した者のうち53人がアブレーションを選択した。全体として、アブレーションを施行された患者の74%が、少なくとも1年間薬物を使用することなく洞調律を維持した。1年後、拡大した心房の多くが正常サイズに戻り、左室駆出率は改善した。3ヵ月後にアミオダロン内服を中止した者のうち1年後にも洞調律を維持している者はわずか4%であった。
甲状腺機能亢進症は心房細動のリスクを上昇させるが、甲状腺機能障害により他の心血管障害のリスクが上昇することはない、とJournal
of the American Medical Association 3月1日号に掲載された。ある米国のスタディでは65歳以上の成人3,233人をスタディに組み入れ、甲状腺刺激ホルモンレベルを計測した。約10年以上の追跡期間の間に82%は甲状腺機能が正常であり、15%は無症状の甲状腺機能低下症、1.6%が有症状の甲状腺機能低下症、1.5%は無症状の甲状腺機能亢進症を有した。無症状の甲状腺機能亢進症の人々は甲状腺機能が正常なものと比較し新たに心房細動を発症する確率が2倍近く高かった。興味深いことに、甲状腺機能異常(有症状または無症状の甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症)は正常甲状腺機能と比較し、冠動脈疾患、脳血管疾患、心血管疾患死、またはあらゆる原因による死亡のリスクを高めることはなかった。
シロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントの、新たな冠動脈病変を有する患者に対する成績は同等である、との大規模国際スタディがJournal
of the American Medical Association 2月22日号に掲載された。ヨーロッパ、南アメリカ、及びアジアにて行なわれたREALITYトライアルは、1または2箇所の新規冠動脈病変を有する狭心症患者1,386人を対象とした。フォローアップ冠動脈造影は8ヵ月後に、臨床的なフォローアップは12ヵ月後に行った。平均再狭窄率はシロリムスで9.6%、パクリタキセルで11.1%であり、有意差はなかった。12ヵ月間の重大な心疾患イベント累積発生率はシロリムスで10.7%、パクリタキセルで11.4%であった。編集局は、さらに長期の臨床的なフォローアップを行い、有意差が出るか、また2種類の抗血小板薬を中止した後の後期ステント内血栓発症率の解析を観察する必要性を述べている。
リスクレベルに基づきスタチン製剤やβ遮断薬を投与されている患者は、疾患の徴候として心筋梗塞ではなく軽度のイベントを発症する可能性がある、とAnnals
of Internal Medicine 2月21日号に掲載された。米国の研究者らはある一地域の成人男女1,400人近くの記録を評価した。その結果、心筋梗塞で来院した患者のうちスタチン製剤を内服していたのはたったの20%であったのに対し、運動誘発性狭心症患者におけるその割合は40%であった。研究者らはまた、初回の心疾患症状が心筋梗塞であるのは男性より女性の方が少ないことも見出した。彼らは、スタチンやβ遮断薬は心疾患の予防に有効なだけでなく、臨床的に明らかとなった時点での心疾患の重症度にも影響する可能性があると結論づけている。