Celacadeによる免疫調節は末梢動脈疾患に存在する慢性炎症を軽減しC反応性蛋白(CRP)を低下させるが、同疾患患者の機能は改善しないようであるとのSIMPADICO
トライアルの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。Celacadeまたはプラセボに無作為に割り付けられた成人患者553人において、26週後の主な一次エンドポイントであるトレッドミルでの最大歩行距離に有意な差は認められなかった。しかし、Celacadeは、あらかじめ設定されたもうひとつの一次エンドポイントである高感度CRPを有意に低下させた。末梢動脈疾患に関連して生じたイベントの解析の結果、20人の患者に有害事象が生じ、その内訳はプラセボ14人、Celacade
6人であった。重篤な下肢の虚血が生じた患者数には有意な差が認められた。全ての患者がスタチン、β遮断薬、および抗血小板薬を含む標準の薬物治療を許可された。
5年間にわたるTNTトライアルにおいて、アトルバスタチンを内服した高脂血症を有する冠動脈疾患患者の腎機能が改善し、高用量を内服した患者において有意に改善効果が大であったとAmerican
College of Cardiology学会で発表された。この国際スタディに参加した、ベースライン時点で35〜75歳の患者約8,000人を、アトルバスタチン1日10mg内服群または80mg内服群に無作為に割り付けた。アトルバスタチンを10mg内服した患者においては平均5.6%の腎機能の改善が認められたのに対し、80mg内服群では8.5%とより高度な腎機能改善が認められた。80mg内服群患者の約50%がスタディ終了時までに、もはや慢性腎障害(糸球体濾過率60mL/min以下)を有さない群に分類されるようになった。
退院時にカルベジロールを処方された心不全患者の60〜90日後の生存率は、β遮断薬を内服していない患者よりも良好であることが示されたとの米国心不全登録簿OPTIMIZE-HFのデータが、American
College of Cardiology学会で発表された。心不全で入院した左室収縮不全患者2,720人中2,373人(87.2%)はβ遮断薬使用可能であった。カルベジロールは1,146人の患者に処方され、そのうち94.2%の患者は追跡期間中内服を継続した。カルベジロールは現在米国で心筋梗塞後の左室機能不全患者への使用が認可されている唯一のβ遮断薬である。β遮断薬を処方された患者はまた、再入院および死亡の複合エンドポイントにおいても成績が良好であったことから、β遮断薬が早期の心不全再発のリスクを軽減することが示唆された。
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LONG DES-IIスタディのデータによると、シロリムス溶出ステントは、長い冠動脈病変のセグメント内再狭窄の点で、パクリタキセル溶出ステントよりも優れていることが示唆された [2006-03-28]
LONG DES-IIスタディのデータによると、シロリムス溶出ステントは、長い複雑な冠動脈病変に対して、パクリタキセル溶出ステントよりも優れていることが示唆されたとAmerican
College of Cardiology学会で発表された。韓国のスタディにおける初回の比較は、冠動脈病変の長さが25mm以上の患者500人の血管造影上の予後の比較であった。シロリムス溶出ステントを挿入された患者の後期ステント内血管内腔減少度はパクリタキセル溶出ステントで治療された患者のそれよりも有意に低く、セグメント内再狭窄率がパクリタキセル溶出ステントで治療された患者よりも71%低かった(3%対10.3%)。さらに、シロリムス溶出ステントで治療された患者はパクリタキセル溶出ステント患者と比較し、フォローアップ時のステント内最小血管径が有意に大であった(2.39mm対2.04mm)。さらに、9ヵ月後の重大な心有害事象はシロリムス溶出ステントで3%であったのに対しパクリタキセル溶出ステントでは7.8%であった。
1年にわたる新たなREACH登録簿のデータによると、安定した動脈血栓症の外来患者は死亡または重大な心血管疾患イベントのリスクが非常に高い、とAmerican
College of Cardiology学会で発表された。この国際登録簿にはラテンアメリカ、アジア、中東、オーストラリア、ヨーロッパ、および北米の、現代の標準的な治療を受ける患者約68,000人が登録された。全体の重大な心血管有害事象発生率は13%であった。しかし、末梢動脈疾患患者のその率は有意に高く22%であった。冠動脈、脳血管、または末梢動脈疾患を有さないが、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などのリスクファクターを3つ以上有する者においては、約5%が重大な有害事象が生じるか1年以内に入院した。
STEMMIトライアルのデータによると、心筋梗塞による心筋損傷の修復のための幹細胞動員因子顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の皮内注射はプラセボと比較し優れていないとAmerican
College of Cardiology学会にて発表された。このデンマークのスタディでは、ST上昇心筋梗塞の男女78人を、ステント挿入後、刺激因子群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。研究者らは、循環しているG-CSFが骨髄からの幹細胞の放出を増加させ、それらの一部が心筋内に侵入し心筋損傷の修復を補助するであろうとの仮説を立てた。6ヵ月後、左室心筋量および収縮後左室内血液量は両群間において差がなかった。対象が少人数、G-CSFの使用量が1回投与量レベルであったこと、標的投与(バルーン療法)ではなく皮下注射であったこと、血管新生を使用していないことなどのスタディデザインの規定があったことから、研究者らは、異なったスタディデザインのさらなる臨床研究が必要であると述べている。
CHARISMAトライアルの結果、心筋梗塞および虚血性脳卒中の予防に対してクロピドグレルとアスピリンの併用は、アスピリン単独と比較し有効性の増加は認められないことが示されたとthe
American College of Cardiology学会で発表された。この国際的トライアルでは臨床上心血管疾患が明らかなあるいはリスクファクターを複数有している45歳以上の成人15,603人を、クロピドグレルとアスピリン併用またはプラセボとアスピリンを併用する群に無作為に割り付けた(追跡期間中間値
28ヵ月)。心筋梗塞、脳卒中、または心血管疾患死からなる複合エンドポイントの全体の発生率は両群間で差がなかった。しかし、臨床的に明らかな動脈血栓疾患の患者においてはクロピドグレルが有益である可能性が認められた(クロピドグレル群で6.9%、プラセボ群で7.9%)。リスクファクターを複数有している患者においては逆の効果が認められた。つまり、クロピドグレル群においてはエンドポイント発生率が6.%に達し、プラセボ群におけるその確率は5.5%であった(相対リスク1.2)。死亡率はクロピドグレル群の方が高かった(3.9%対2.2%)。
経皮的冠動脈形成術施行前にクロピドグレルとabciximabを投与することにより、クロピドグレル単独投与よりも、有害事象のリスクが軽減されるとAmerican
College of Cardiology学会で発表された。ISAR-REACT 2トライアルにおいて、非ST上昇急性冠症候群患者2,022人は全員アスピリンとクロピドグレルを投与され、さらにabciximabまたはプラセボを投与される群に無作為に割り付けられた。死亡、心筋梗塞、無作為割付け後30日以内の緊急血行再建術施行からなる1次エンドポイントはabciximab群患者で90人(8.9%)、プラセボ群患者で120人(11.9%)であり、相対リスクが25%軽減した。リスク軽減の最も主な原因は心筋梗塞および死亡の減少であった。興味深いことに、虚血性合併症の軽減はトロポニンレベルの上昇している患者群に限って認められ、プラセボ(18.3%)と比較しabciximab(13.1%)によりリスクが29%軽減した。
Fondaparinuxは急性ST上昇心筋梗塞患者の再梗塞および死亡のリスクを有意に低下させる、とAmerican
College of Cardiology学会で発表された。国際的OASIS-6トライアルでは12,092人の患者を、fondaparinuxを1日2.5mg
8日間内服する群と、従来の治療(未分画ヘパリンを48時間投与した後プラセボを8日間投与するか、ヘパリンが禁忌の場合はプラセボを投与)を行う群に無作為に割り付けた。9日および30日後とスタディ終了時点(フォローアップ期間は3〜6ヵ月)において、fondaparinuxは複合エンドポイント(再梗塞または死亡)到達率を有意に低下させた(リスク軽減率は9日間で17%、30日間で14%、フォローアップ終了時点で12%)。Fondaparinux群においては、重症出血イベントが少ない傾向が有意ではないが認められた。今回のトライアルをまとめたフルペーパーがJournal
of the American Medical Association (JAMA)4月15日号に掲載される予定である。
非常に強力なスタチン療法を施行された患者においてLDLコレステロールは平均約50%低下、HDLコレステロールは15%増加し、冠動脈硬化の退縮が認められたとAmerican
College of Cardiology学会で発表された。国際的ASTEROIDトライアルにおいて、ベースラインおよびrosuvastatinを1日40mg
24ヵ月間投与後に、冠動脈アテローマ重症度を計測した。507人の患者のうち349人において、24ヵ月後の一連の血管内超音波検査による評価が可能であった。アテローマ容積パーセント計測で、平均の減少率は0.98%であり、63.6%の患者において動脈硬化の軽減が認められた。最も狭窄率が重度の部位から10mmのサブセグメントのアテローマ容量の変化で評価したところ、アテローマ容積減少率中央値は9.1%であり、78.1%の患者において動脈硬化の軽減が認められた。有害事象発症頻度は低く、他のスタチントライアルと同様の結果であった。このトライアルのフルペーパーはJournal
of the American Medical Association (JAMA)4月15日号に掲載される予定である。
UNLOADスタディの結果、心不全で入院中の患者の容量負荷過剰に対する補助的な治療として、限外ろ過療法は迅速かつ長期的な有益性を示すとAmerican
College of Cardiology学会で発表された。約200人の患者が限外ろ過と血管内利尿薬投与の併用または従来の利尿薬治療のみの群に無作為に割り付けられた。48時間の治療の後、限外ろ過群においては従来の利尿薬投与群よりも体重減少率が38%大であり、正味の体液量軽減は28%大であった。退院後90日間における心不全による再入院率と予定外の外来受診率および救急外来受診率は、限外ろ過群において有意に低かった。限外ろ過の有益性は全てのサブグループ解析において認められた。限外ろ過は、末梢または中心静脈に挿入した通常のカテーテルを使用し自動装置に接続することにより施行された。
米国の頸動脈内ステント留置を施行された患者の登録簿であるCAPTUREから得られたデータによると、塞栓防御装置を含む機能を有するステント留置術は、通常の外科的治療にはハイリスクの患者に対し安全かつ有効であることが示された、とAmerican
College of Cardiology学会で発表された。この登録簿には国内で治療された患者2,500人のデータが集計されている。関わった医師数が多かったにもかかわらず、30日後の合併症(脳卒中、心筋梗塞、死亡)率はわずか5.7%であり、頸動脈ステントシステムを認可に導いたARCHeRトライアルにおける発症率よりも低かった。ARCHeRトライアルにおける合併症率は8.3%だった。CAPTUREの結果、頸動脈ステント留置術はより若年の患者において成績が良好なことが示された。脳卒中、死亡、または心筋梗塞発症率は80歳以上の患者において8.9%であったのに対し、80歳未満の患者におけるその割合は4.8%であった。合併症発症率が最も低かった(4.2%)のは80歳未満の無症状の患者群であった。