米国の全国的な調査により青年期のうつと自殺に関する新たなデータが明らかとなった [2005-09-27]

New data on depression and suicide among adolescents emerge from nationwide US survey

米国の12〜17歳の若年者のうち約900,000人が大うつ病の最悪時またはもっとも最近のうつ病エピソードの時期に自殺をしようとし、712,000人が自殺を試みたとの報告がUS Substance Abuse and Mental Health Services Administration(米国薬物乱用と精神衛生に関する事業本部)によりなされた。このデータは、若年者にうつ症状と死または自殺思考に関して質問した、2004年全国薬物乱用および健康に関する調査から得られたものである。全体で、12〜17歳の青少年の約14%(女子の20%、男子の8.5%)が少なくとも1回は大うつ病エピソードを経験した。大うつ病の経験の割合は人種や民族間の差はなく、また年齢とともに上昇した。

 

抗うつ剤で治療されている患者の約半数はうつ病の症状を感じなくなると医師の指示なしに内服を中止してしまう [2005-09-13]

Almost half of all adults treated with antidepressants may stop taking medication without provider advice when they no longer feel symptoms of depression

米国国家精神疾患連盟(National Alliance for the Mentally Ill)がうつ病患者1,086人を調査した結果、回答者の91%は抗うつ剤を処方された通りに内服することは非常に重要であると回答したが、約40%は、もはやうつ病の症状がないと考え医師の指示なしに内服を中断していた。回答者(25歳以上)の半分強が疾患についてよく説明を受けていると感じていたが、うつ病の症状がほとんどまたは全くない状態になりうると説明を受けたのは22%に過ぎなかった。さらに、多くの患者が人生の中で6回以上のうつ病エピソードを経験していたが、医師と再発のリスクについての話をした者はたったの34%であった。筆者らは患者教育の基準、および患者サポートの継続の必要性を強調している。

 

冠動脈疾患を有するうつ病患者の心血管イベントのリスクが高い背景には血管内皮機能障害が絡んでいる可能性がある [2005-09-13]

Impaired endothelial function may underlie increased risk of cardiovascular events for patients with coronary heart disease and depression

冠動脈疾患を有するうつ病患者の冠動脈疾患のリスクが高いのは血管内皮機能障害により説明できる、とJournal of the American College of Cardiology 8月16日号に掲載された。米国の研究者らは冠動脈疾患を有するうつ病患者143人を調査した。血管内皮機能は血流反応性血管拡張(FMD)にて評価した。うつ病は21-item Beck Depression Inventoryを用いて評価した。その結果、Inventoryスコアが10以上の者47人のFMDはうつ病でない者と比較し有意に障害されていた。うつ病群の平均Inventoryスコアは16点であり、うつ病でない者のそれは4点であった。興味深いことにFMDは抗うつ剤を内服しているものの方が良好であり、この結果から抗うつ剤などの薬物により血管内皮機能を改善し心血管疾患のリスクを軽減することが示唆される。

不安感や神経過敏を有する男女はそのような感情を有さない者と比較し自殺企図の確率が有意に高い [2005-09-06]

Men and women who report feelings of anxiety or nervousness are significantly more likely to attempt suicide than peers without such feelings

不安感や神経過敏を有する男女はそのような感情を有さない者と比較し自殺企図の確率が有意に高い、とJournal of Epidemiology and Community Health 9月号に掲載された。Swedish Survey of Living Conditions(16〜74歳の人々に対する年一回の代表的な対面式の調査)の34,500人のデータ解析の結果である。重度の問題を抱えた者はそのような問題を有さない人々と比較し、死亡する確率が倍であり、精神的な問題で入院する確率が3〜4倍高かった。男性においては不安―神経過敏は喫煙や長期の疾病よりも総死亡率が高かった。自殺の確率は時間とともに増大し、10年後には不安症を有さない人々の15倍高くなった。女性においては不安症も死亡の有意なリスクではあったが、喫煙および長期の疾病の方がリスクは高かった。

 

中等度であってもインスリンレベル上昇は、炎症およびβアミロイド蛋白の増加を通して、アルツハイマー病の発症の原因となりうる [2005-09-06]

Even moderately elevated insulin levels may contribute to development of Alzheimer’s disease through increases in inflammation and beta-amyloid protein

中等度であってもインスリンレベル上昇は、血漿中および脳脊髄液中の炎症マーカーおよびβアミロイド蛋白を増加させ、アルツハイマー病発症の原因となりうる、とArchives of Neurologyオンライン版8月号(出版は10月)に掲載された。研究者らは16人の健常な中−高齢者(55〜81歳)の血糖レベルを正常範囲内に保ちながら血中インスリンレベルを上昇させ、血漿中および脳脊髄液中の炎症のマーカーおよび修飾因子、βアミロイドレベルの変化を測定した。その結果、末梢の高インスリン血症は中枢神経系の炎症マーカーを著明に上昇させることが証明された。この結果は、診断基準上は糖尿病でない成人における臨床上の意味を持つ可能性がある。

 


 

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