スタチンおよび他の脂質低下薬は高齢者のアルツハイマー病および他の痴呆のリスクを軽減させない [2005-07-26]

Statins and other lipid-lowering agents do not reduce risk among older adults for Alzheimer’s disease or other dementias

高齢者に対するスタチンおよび他の脂質低下薬はアルツハイマーおよび他の痴呆のリスクを軽減しない、とArchives of Neurology 7月号に掲載された。米国の研究者らは1991〜1994年にかけての長期研究に登録された65歳以上の健常者2,798人のデータを評価した。のべ15,030人の追跡調査の結果、480例が痴呆と診断され、そのうち245例がアルツハイマー病であった。既知または疑わしいリスクファクターで補正した結果、いずれの原因による痴呆もスタチン使用による予防効果は認められなかった。さらに、この解析結果によると、投与期間依存性のリスク低減効果も認められなかった。筆者らは、スタチンの効果が本当であるならば、もっと早期に投与を開始し、長期に投与する必要があるのではないかと考えている。

 

リスペリドンは自閉症児の攻撃性、および自傷行為を6ヵ月間にわたり軽減する可能性がある [2005-07-26]

Risperidone may decrease aggression and self-injury behaviors in children with autism for up to six months

いくつかのトライアルのデータを解析した結果、非定型抗精神病薬を内服している統合失調症患者は症状コントロールが不十分なために内服を中断することが多い、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。研究者らは4つの24〜28週間にわたる長期の無作為二重盲検臨床試験の患者計1,627人、および4種類の抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、クエチアラピン、ziprasidone)を評価した。解析の結果、オランザピンを内服している患者が最もトライアルに最後まで参加し、より長期に内服を継続する傾向にあった。また、副作用により内服を中断する率は薬剤間で差はないことも示された。発表者らはまた、オランザピンとリスペリドンのすべての原因による内服中断を種々の薬効を有する従来の抗精神病薬と比較した、オープンラベルの1年間のトライアルデータ(計648人)に関しても論議した。1年後にオランザピンの内服継続率はリスペリドンや中等度または高度の薬効の従来薬剤よりも有意に高かった。

米国の全国大規模調査によると、過去1年に4分の1以上の成人が中等度以上の精神障害を有していることが示された [2005-07-19]

Large-scale nationwide US survey indicates that more than one fourth of adults had a psychiatric disorder of at least moderate severity in previous year

米国の全国大規模調査によると、過去1年に4分の1以上の成人が精神障害の診断を満たすと思われる症状を有しており、その多くが中等度から重度であると考えられる、と Archives of General Psychiatry 6月号に掲載された。9,282人の成人から直接得られたデータに基づくと、過去12ヵ月以内に何らかの障害を有していた割合は26.2%であった:そのうち不安障害の罹患率は18.1%であり、気分障害は9.5%、衝動コントロール障害が8.9%、物質乱用障害が3.8%であった。これらの症例で22.3%が重症、37.3%が中等症、40.4%が軽症とみなされた。合併症の解析では、55%が1つの障害のみを有していたが、22%は2つ、23%は3つ以上の障害のクライテリアに当てはまった。

 

米国内の調査によると米国人の約半数がその生涯に精神障害を有し、そのほとんどが小児期または青年期に出現している [2005-07-19]

Nationwide survey indicates that roughly half of Americans will have a psychiatric disorder in their life time with most beginning in childhood or adolescence

米国人の約半数がその生涯に精神障害を有し、そのほとんどが小児期または青年期に出現している、とArchives of General Psychiatry 6月号に掲載された。全国的な大規模研究のデータが参加者から直接得られた。46.4%がいずれかの障害を一生涯のうちに有し、その内訳は以下のとおりである:不安障害28.8%、気分障害20.8%、衝動コントロール障害24.8%、物質乱用障害14.6%。中間発症年齢は不安障害および衝動コントロール障害(両者とも11歳)で、物質乱用(20歳)や気分障害(30歳)より非常に早かった。生涯にわたるケースの約半数が14歳で発症し、4分の3は24歳までに発症した。筆者らは、小児及び青年の精神障害の疑いを十分にもつことと、早期の診断および治療の重要性を強調している。

新規発症2型糖尿病の小児患者のうち5分の1もが自閉症からうつ病に至るまでの精神神経疾患を有している [2005-07-12]

As many as one in five children with new-onset type 2 diabetes have neuropsychiatric conditions ranging from autism to depression

新たに2型糖尿病と診断された小児のうち、うつ病、注意欠陥/多動性障害、自閉症、発育遅延、統合失調症、および双極性障害などの精神神経疾患を合併している者は5分の1にものぼる、とPediatric Diabetes 6月号に掲載された。米国の主要な小児病院の研究者らは、2型糖尿病と診断された小児連続237人中46人(19%)が過去に精神神経疾患と診断されていたことを明らかにした。筆者らは、うつ病と糖尿病の関連などの根底には共通の過程が存在する可能性があり、また他のケースでは、抗精神病薬のような体重増加や内分泌学的ストレスを引き起こす薬物が原因となっている可能性がある、と述べている。さらに、内分泌科医が糖尿病治療の際には神経学的および精神学的要素に重きを置く必要があるのと同様に、神経科医や精神科医は2型糖尿病の可能性を考えつつ診療するよう強く主張している。

 

心筋梗塞の既往のあるうつ病患者に対する抗うつ剤投与は心筋梗塞再発や心臓関連死のリスクを軽減する可能性がある [2005-07-12]

Antidepressants may lower risk for recurrent myocardial infarction and heart-related death in survivors of myocardial infarction who are depressed

心筋梗塞の既往のあるうつ病患者に対する抗うつ剤、特に選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)投与により心筋梗塞再発や心臓関連死のリスクが軽減する可能性がある、とArchives of General Psychiatry 7月号に掲載された。Enhancing Recovery in Coronary Heart Disease (ENRICHD)臨床試験においては、心筋梗塞後のうつ病患者1,834人中446人が抗うつ剤(SSRI 301人、他剤145人)投与を受けた。平均29ヵ月の追跡期間中に457件の致死的または非致死的心血管イベントが発症した。そのうち、抗うつ剤を内服していない患者における心筋梗塞再発率は26%であったのに対し、抗うつ剤を内服している者のその割合は21.5%であった。ベースラインのうつ病および心疾患リスクで補正した結果、SSRIの内服により死亡または非致死的心筋梗塞のリスクが43%減少し、また全死因死亡率は43%減少した。

殺人−自殺事件発症率が米国の高齢者において増加しており、その多くは夫が妻を殺害しその後自殺するケースである [2005-07-05]

Incidence of homicide?suicide events among elderly in the United States is rising with most cases involving a husband who kills his wife and then himself

殺人−自殺事件発症率が米国の高齢者において増加しており、その多くは夫が妻を殺害しその後自殺するケースである、とAmerican Journal of Geriatric Psychiatry 3月号に掲載された。研究者らは1998〜1999年にある州で発生した20件の殺人−自殺事件の情報を調査し、自殺のみを行った高齢男性のデータと比較した。その結果、殺人−自殺を犯した男性の25%が家庭内暴力歴を有していた一方、自殺のみの男性におけるその割合は5%のみであった。また注目すべきことは、これらの男性たちには妻の介護者であったか否かという大きな違いがあった:つまり、殺人を犯した男性の40%が妻の介護をしており、一方自殺のみの男性には妻の介護をしていた者はいなかった。両ケースにおいてうつ病および医学的疾患(一般的に自殺をする高齢者の60〜90%の原因となる)が重要な役割を果たしていた。

心筋梗塞の既往を有し大うつ病を発症した患者はその後1年間の再入院および心臓死をきたす確率が高い [2005-07-05]

Survivors of myocardial infarction who develop major depression are more likely to have a repeat hospitalization at one year and to have a heart-related death

心筋梗塞の既往を有し大うつ病を発症した患者はその後1年間に再入院する確率が50%高く、3倍心臓死をきたしやすいとのJohns Hopkins University からの報告がUS Agency for Healthcare Research and Qualityオンライン版に掲載された。筆者らは、心筋梗塞後のうつ病は、医学が研究および解釈を始めたばかりの神経ホルモン・生物学的変化・知覚の複雑な相互作用によると述べている。入院中にリスクのある患者を見極める手段としては、うつ病の既往の有無を確認したり、新たな兆候を注意深く観察するといったことがあげられる。この報告は、 http://www.ahrq.gov/clinic/epcsums/midepsum.htmで閲覧可能である。

 


 

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