高齢者に対するスタチンおよび他の脂質低下薬はアルツハイマーおよび他の痴呆のリスクを軽減しない、とArchives
of Neurology 7月号に掲載された。米国の研究者らは1991〜1994年にかけての長期研究に登録された65歳以上の健常者2,798人のデータを評価した。のべ15,030人の追跡調査の結果、480例が痴呆と診断され、そのうち245例がアルツハイマー病であった。既知または疑わしいリスクファクターで補正した結果、いずれの原因による痴呆もスタチン使用による予防効果は認められなかった。さらに、この解析結果によると、投与期間依存性のリスク低減効果も認められなかった。筆者らは、スタチンの効果が本当であるならば、もっと早期に投与を開始し、長期に投与する必要があるのではないかと考えている。
米国の全国大規模調査によると、過去1年に4分の1以上の成人が精神障害の診断を満たすと思われる症状を有しており、その多くが中等度から重度であると考えられる、と Archives of General Psychiatry 6月号に掲載された。9,282人の成人から直接得られたデータに基づくと、過去12ヵ月以内に何らかの障害を有していた割合は26.2%であった:そのうち不安障害の罹患率は18.1%であり、気分障害は9.5%、衝動コントロール障害が8.9%、物質乱用障害が3.8%であった。これらの症例で22.3%が重症、37.3%が中等症、40.4%が軽症とみなされた。合併症の解析では、55%が1つの障害のみを有していたが、22%は2つ、23%は3つ以上の障害のクライテリアに当てはまった。
米国人の約半数がその生涯に精神障害を有し、そのほとんどが小児期または青年期に出現している、とArchives of General Psychiatry 6月号に掲載された。全国的な大規模研究のデータが参加者から直接得られた。46.4%がいずれかの障害を一生涯のうちに有し、その内訳は以下のとおりである:不安障害28.8%、気分障害20.8%、衝動コントロール障害24.8%、物質乱用障害14.6%。中間発症年齢は不安障害および衝動コントロール障害(両者とも11歳)で、物質乱用(20歳)や気分障害(30歳)より非常に早かった。生涯にわたるケースの約半数が14歳で発症し、4分の3は24歳までに発症した。筆者らは、小児及び青年の精神障害の疑いを十分にもつことと、早期の診断および治療の重要性を強調している。
心筋梗塞の既往のあるうつ病患者に対する抗うつ剤、特に選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)投与により心筋梗塞再発や心臓関連死のリスクが軽減する可能性がある、とArchives
of General Psychiatry 7月号に掲載された。Enhancing Recovery in
Coronary Heart Disease (ENRICHD)臨床試験においては、心筋梗塞後のうつ病患者1,834人中446人が抗うつ剤(SSRI
301人、他剤145人)投与を受けた。平均29ヵ月の追跡期間中に457件の致死的または非致死的心血管イベントが発症した。そのうち、抗うつ剤を内服していない患者における心筋梗塞再発率は26%であったのに対し、抗うつ剤を内服している者のその割合は21.5%であった。ベースラインのうつ病および心疾患リスクで補正した結果、SSRIの内服により死亡または非致死的心筋梗塞のリスクが43%減少し、また全死因死亡率は43%減少した。
心筋梗塞の既往を有し大うつ病を発症した患者はその後1年間に再入院する確率が50%高く、3倍心臓死をきたしやすいとのJohns
Hopkins University からの報告がUS Agency for Healthcare Research
and Qualityオンライン版に掲載された。筆者らは、心筋梗塞後のうつ病は、医学が研究および解釈を始めたばかりの神経ホルモン・生物学的変化・知覚の複雑な相互作用によると述べている。入院中にリスクのある患者を見極める手段としては、うつ病の既往の有無を確認したり、新たな兆候を注意深く観察するといったことがあげられる。この報告は、 http://www.ahrq.gov/clinic/epcsums/midepsum.htmで閲覧可能である。