軽度から中等度のうつ病の症状は30分の有酸素運動を週3〜5回行うことにより有意に軽減させることができる、とAmerican
Journal of Preventive Medicine 1月号に掲載された。米国の研究者らは20〜45歳の成人80人を無作為に5群に割り付けた。うち2群は中等度の有酸素運動を週3〜5日行い、別の2群はさらに軽度の有酸素運動を週3〜5日行い、5番目のグループは15〜20分のストレッチ運動を1週間に3日行った。12週後に、中等度の運動を行ったグループは症状が47%軽減し、この結果は抗うつ剤や認知療法で得られる効果と同等であった。筆者らは医師らに、他の治療法を希望しないかまたは適応でない患者に対し運動療法を考慮するよう呼びかけている。
工場から排出される大気汚染化学物質への暴露により、米国のある地域における自殺率が上昇した可能性がある、と第17回Annual
U.S. Psychiatric and Mental Health学会で発表された。研究者らは、その地域住民の自殺率がその州の平均自殺率の16倍であることを確認した後、平均最高硫化水素レベルを計測した結果、自殺の多い地域の大部分で215ppbであり、一方その周囲地域では30ppbと低いことを示した。WHOの10分間の暴露水準は5ppbである。動物実験において硫化水素はセロトニン、ノルエピネフリン、ドパミン、アスパルギン酸、グルタミン酸のレベルを変化させ、ストレスに対するコルチコトロピン放出ホルモンの放出に異常を与える。今回の発見により、ストレスへの反応、大うつ病、自殺思考に対する環境因子の影響の可能性が新たに重要視されるであろう。
平均の年間認知機能低下の程度は、痴呆を有するパーキンソン病患者とアルツハイマー病患者とで同程度である、とArchives
of Neurology 12月号に掲載された。ノルウェーの研究者らがパーキンソン病患者129人(女性57%)をMini-Mental
State Examinationスコアで評価したところ、ベースラインでの平均スコアは27.3であった。8年間の平均年間スコア低下は1.1点であった(3.9%の変化)。痴呆を有するパーキンソン病患者(49人)の年間スコア低下は2.3点(9.1%の変化)であり、一方アルツハイマー病患者(34人)においては2.6点(10.6%の変化)であった。この点数の変化は痴呆のないパーキンソン病患者(80人)では小さく、痴呆のないコントロール(1,621人)と同等であった。
うつ病の青年に対する精神医学に基づいたプライマリケアプログラムは、治療の質を向上しうつ症状を軽減するのに有効である、とJournal
of the American Medical Association 1月19日号に掲載された。米国の研究者らは13〜21歳の症状を有する患者を通常の治療群、または各々の部門における専門の指導者および認知行動療法やカウンセリングの技術をもつケアマネージャーによる介入療法群に無作為に割り付けた。治療開始時の評価後6ヵ月目に、通常治療群と比較し介入群においては精神衛生評価スコアが良好であったのみならず精神療法や認知行動療法を受けようとする傾向にあった。
英国において、薬物使用に関連した精神および行動障害による入院率は比較的横ばいである。しかし、25歳以下の女性および小児におけるアルコール関連の入院は明らかに増加している、とBritish
Medical Journal 1月15日号に掲載された。この傾向は、これらの集団においてアルコールの飲み騒ぎが増加していることと一致しているようである。禁止薬物による障害を原因とする入院率は15〜24歳の人々においては減少しているが、25〜44歳の人々では増加している。この結果は高齢群における薬物使用問題の報告と一致している。