出生前の選択的セロトニン再取込み阻害薬への暴露は出生後離脱症候群を引き起こす可能性がある [2005-02-22]

Prenatal exposure to selective serotonin reuptake inhibitors may cause withdrawal syndrome in newborns

出生前の選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)への暴露は出生後離脱症候群を引き起こす可能性がある、とLancet 2月5日号に掲載された。スペインの研究者らはWorld Health Organizationに報告された副作用300万例以上を解析した結果、出生前のSSRIへの暴露と新生児痙攣または離脱症候群の合併例が94例認められた。個別にみると、パロキセチン64例、fluoxetine 14例、 sertraline 9例、citalopram 7例であった。暴露期間および用量のデータが不足しているため、この問題が一般的なものかどうか、パロキセチンに多く認められるのか、この結果がこの種の薬剤の小児への使用に対する一般的な問題を反映しているかどうかはまだ明らかではない。しかし、妊娠を希望しているうつ病女性を治療する医師が他の方法を考える必要があるのは確かなことである。

 

臨床的にアルコール耐性が低いのに関連する変異はガンマアミノブチル酸受容体のアルコールに対する反応を上昇させることがわかった [2005-02-22]

Mutation tied to clinically low tolerance to alcohol is found to increase responsiveness of gamma amino butyric acid receptors to alcohol

ラットにおいて自然に発生するアルコール耐性を低下させる変異は、ある物質に対する脳の反応性を上昇させることにより耐性を低下させている、とNature Neuroscience オンライン版2月6日号に掲載された。米国の研究者らは、この変異がガンマアミノブチル酸(GABA)受容体のアルコールに対する反応性を有意に上昇させるため、少量のアルコールでも神経間の伝達が阻害されたりひずまされたりすることを発見した。同様の遺伝子学的所見が人間においても確認されれば、アルコール依存症のリスクの高い若年者(特に家族がアルコール問題を有する者)を飲酒による障害が発症する前に同定することができるであろう。

頻回の中等度の運動は軽度から中等度のうつ病患者の症状を有意に軽減する [2005-02-15]

Frequent moderate exercise can significantly decrease symptoms in people with mild to moderate depression

軽度から中等度のうつ病の症状は30分の有酸素運動を週3〜5回行うことにより有意に軽減させることができる、とAmerican Journal of Preventive Medicine 1月号に掲載された。米国の研究者らは20〜45歳の成人80人を無作為に5群に割り付けた。うち2群は中等度の有酸素運動を週3〜5日行い、別の2群はさらに軽度の有酸素運動を週3〜5日行い、5番目のグループは15〜20分のストレッチ運動を1週間に3日行った。12週後に、中等度の運動を行ったグループは症状が47%軽減し、この結果は抗うつ剤や認知療法で得られる効果と同等であった。筆者らは医師らに、他の治療法を希望しないかまたは適応でない患者に対し運動療法を考慮するよう呼びかけている。

 

自閉症スペクトラム障害の遺伝子を同定する研究に資金を提供する国際共同体が構成された [2005-02-15]

International collaborative is formed to fund research to identify genes associated with autism spectrum disorders

政府および個人組織からなる国際共同体は自閉症スペクトラム障害の遺伝子を同定する研究に対し2,100万米国ドル以上を提供する。資金提供を受ける研究者らは自閉症の原因となる遺伝子および特定の遺伝子変異の既存データを調査する。この新たなプログラムはまた、自閉症を引き起こす遺伝子変異の機能的な意義を評価し、将来の目的は自閉症スペクトラムを細分化し、異なった遺伝子メカニズムを有する別個の障害として識別することである。この組織は、今回の研究が自閉症の定義をより明確にし標的治療を開発できるようなステップとなるよう願っている。

米国の一地域で、ある種の大気汚染物質への低いレベルの暴露で自殺率が有意に上昇した [2005-02-08]

Exposure to low levels of certain airborne pollutants appears to have contributed to a significantly increased suicide rate in one American community

工場から排出される大気汚染化学物質への暴露により、米国のある地域における自殺率が上昇した可能性がある、と第17回Annual U.S. Psychiatric and Mental Health学会で発表された。研究者らは、その地域住民の自殺率がその州の平均自殺率の16倍であることを確認した後、平均最高硫化水素レベルを計測した結果、自殺の多い地域の大部分で215ppbであり、一方その周囲地域では30ppbと低いことを示した。WHOの10分間の暴露水準は5ppbである。動物実験において硫化水素はセロトニン、ノルエピネフリン、ドパミン、アスパルギン酸、グルタミン酸のレベルを変化させ、ストレスに対するコルチコトロピン放出ホルモンの放出に異常を与える。今回の発見により、ストレスへの反応、大うつ病、自殺思考に対する環境因子の影響の可能性が新たに重要視されるであろう。

 

認知機能低下速度は痴呆を有するパーキンソン患者とアルツハイマー病患者とで同程度である [2005-02-08]

Rate of cognitive decline similar for patients with Parkinson disease and dementia and patients with Alzheimer disease

平均の年間認知機能低下の程度は、痴呆を有するパーキンソン病患者とアルツハイマー病患者とで同程度である、とArchives of Neurology 12月号に掲載された。ノルウェーの研究者らがパーキンソン病患者129人(女性57%)をMini-Mental State Examinationスコアで評価したところ、ベースラインでの平均スコアは27.3であった。8年間の平均年間スコア低下は1.1点であった(3.9%の変化)。痴呆を有するパーキンソン病患者(49人)の年間スコア低下は2.3点(9.1%の変化)であり、一方アルツハイマー病患者(34人)においては2.6点(10.6%の変化)であった。この点数の変化は痴呆のないパーキンソン病患者(80人)では小さく、痴呆のないコントロール(1,621人)と同等であった。

青年期のうつ病の治療の質を改善するプログラムによりうつ症状が軽減し健康上の満足度が向上する  [2005-02-01]

Program that improves quality of treatment for adolescents with depression results in fewer depressive symptoms and higher satisfaction with health care

うつ病の青年に対する精神医学に基づいたプライマリケアプログラムは、治療の質を向上しうつ症状を軽減するのに有効である、とJournal of the American Medical Association 1月19日号に掲載された。米国の研究者らは13〜21歳の症状を有する患者を通常の治療群、または各々の部門における専門の指導者および認知行動療法やカウンセリングの技術をもつケアマネージャーによる介入療法群に無作為に割り付けた。治療開始時の評価後6ヵ月目に、通常治療群と比較し介入群においては精神衛生評価スコアが良好であったのみならず精神療法や認知行動療法を受けようとする傾向にあった。

 

薬物使用に関連した精神疾患による入院は全体としては横ばいであるが、若年女性や小児の入院は増加している [2005-02-01]

Despite stable overall admission rates for substance-related mental disorders there is an increase in admissions for young women and children

英国において、薬物使用に関連した精神および行動障害による入院率は比較的横ばいである。しかし、25歳以下の女性および小児におけるアルコール関連の入院は明らかに増加している、とBritish Medical Journal 1月15日号に掲載された。この傾向は、これらの集団においてアルコールの飲み騒ぎが増加していることと一致しているようである。禁止薬物による障害を原因とする入院率は15〜24歳の人々においては減少しているが、25〜44歳の人々では増加している。この結果は高齢群における薬物使用問題の報告と一致している。

 


 

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