スタチン系薬剤のようなコレステロール降下剤の長期服用は進行前立腺がんのリスクを低下させる [2005-04-26] 
Long-term use of cholesterol-lowering drugs such as statins associated with significantly reduced risk for advanced prostate cancer

30,000人以上を対象とした10年間の研究において、スタチン系薬剤のようなコレステロール降下剤の長期服用は進行前立腺がんのリスクを低下させる、とAmerican Association for Cancer Research学会で発表された。米国の研究者らは、前立腺がんが進行がん(局所がんおよび転移性がん)に進展する確率は、スタチン系薬剤を内服していると半分に低下し、内服期間が長いほど進行がんのリスク軽減が大であることを発見した。コレステロール降下療法中の男性の90%がスタチン系薬剤を内服しているため、スタチン系薬剤以外のコレステロール降下療法の効果を確認することはできなかった。さらなる研究により、薬剤と進行がんリスク低下の関連を確認したり薬剤のがん進行抑制のメカニズムを解明することができるであろう。

前立腺がんの男性における女性化乳房および乳房痛の予防には放射線療法よりもタモキシフェンのほうが有効性は高い [2005-04-26] 
Tamoxifen is more effective than radiotherapy at preventing gynecomastia and breast pain in men with prostate cancer
前立腺がんの男性における女性化乳房および乳房痛の予防には放射線療法よりもタモキシフェンのほうが有効性は高い、とのトライアル結果がLancet Oncology 4月13日号オンライン版で公表された。イタリアの研究者らは、初期治療としての手術または放射線療法にビカルタミドを併用された際におこる女性化乳房や乳房痛の予防および治療法として、タモキシフェンと電子ビーム放射線療法の効果を比較した。151人中51人がビカルタミド一日150 mg、50人がビカルタミドと10mgのタモキシフェンを24週間内服し、50人はビカルタミドの内服と放射線療法1クールを受けた。平均25ヵ月あまりの追跡調査の結果、ビカルタミド内服のみの患者の70%が乳房に関する副作用を訴えたのに対し、タモキシフェンを併用した患者におけるその割合は8%であり、放射線療法併用群では34%であった。どの治療法も忍容性は優れており、QOLおよび無再発生存期間に差はなかった。
慢性炎症はその原因やそれによる胃酸のレベルとは無関係に慢性萎縮性胃炎や胃がんを引き起こす可能性がある [2005-04-19] 
Chronic inflammation independent of cause or associated acid level may lead to chronic atrophic gastritis and stomach cancer

慢性炎症は、それが胃酸の過剰または不足いずれによるものであっても、胃がんに進行する可能性のある萎縮性胃炎を引き起こす可能性がある、とOncogene 3月31日号に掲載された。米国の研究者らは遺伝子工学的にガストリン欠損マウスを作成したところ、過去に作成したガストリン過剰産生マウス(一部に胃がんが発生した)に認められたのと同様の進行性の炎症を発見した。ガストリン欠損マウスに見られる疾患の進行は人間のそれに組織学的および分子学的に類似しているため、研究者らは候補となる遺伝子の炎症活性がどのように変化しその結果として正常なアポトーシスを抑制するかを研究している。RUNX3は胃に特有な腫瘍抑制遺伝子で、これの欠損マウスには胃がんが発症する。胃がん患者においてはこの遺伝子の発現が低下している。

進行前立腺がんに対する集学的治療の一つである前立腺全摘除術の成績は限局性腫瘍に対する同手術の成績と同様の可能性がある [2005-04-19] 
Radical prostatectomy as part of multimodal therapy for clinically advanced prostate cancer may offer outcomes comparable to those for localized disease
進行前立腺がんに対する集学的治療の一つである前立腺全摘除術の長期生存率は、限局性腫瘍に対する同手術の成績と同様の可能性がある、とBritish Journal of Urology International 4月号に掲載された。メイヨークリニックで前立腺全摘除術を受けた男性5,652人に対するレトロスペクティブ研究の結果によると、5年後および15年後の無病率は85%および67%であり、がんのみに限った生存率はそれぞれ95%および79%であった。病理学的進行度、摘出臓器周囲組織への腫瘍浸潤、non-diploidクロマチンの存在などは再発の予測因子ではあったが、術前の前立腺特異抗原の値は関連がなかった。興味深いことに、一部の症例では術前の病期診断に誤りがあり、実際は限局性病変であった。アジュバント療法までの期間は進行がんと限局性がんとで差はなかった。失禁などの合併症についても両群間で差は認められなかった。
骨転移に対する3種類の非外科的治療は疼痛除去のための緩和治療として有望である [2005-04-12] 
Three nonsurgical treatments for bone metastases show significant promise as palliative therapies for pain

骨転移に対する、骨形成術、高周波凝固療法、および凍結療法の3種類の非外科的治療は疼痛を74〜89%も軽減することができる、とSociety of Interventional Radiology 学会で発表された。椎骨領域の病変に対して骨形成術を施行された患者8人全員において、有意な疼痛の軽減が認められた。これは、造影ガイド下に医療用骨セメントを腫瘍内に挿入し、熱で悪性細胞を死滅させ、強化セメントにより施術後の骨を強化する方法である。経皮的高周波凝固療法のトライアルでは患者11人すべてが1週間以内に目に見える程度の有意な疼痛軽減を認め、局所の再発を来した者はいなかった(平均追跡期間5ヵ月)。経皮的凍結療法のトライアルでは10人中8人において24週間の追跡調査を完了し、最も強い疼痛が平均74%軽減した。さらに大規模の研究が現在行われている。

新型の機能的核磁気共鳴画像は悪性脳腫瘍の化学療法や放射線療法に対する反応性を予測するのに役立つ [2005-04-12] 
New type of functional magnetic resonance imaging can help predict whether a malignant brain tumor will respond to chemotherapy or radiation
機能的核磁気共鳴画像(fMRI)は脳内の水分子の流量を計測することができ、悪性脳腫瘍が化学療法や放射線療法に反応するか否かを早期に予測することができる、とProceedings of the National Academy of Sciences (USA)オンライン版3月28日号に掲載された。20人の患者を対象にした研究で、米国の研究者らは、脳内の水分の散布パターン(および治療開始3週間後のパターンの変化)を示したMRIマップを作成した。その結果、散布パターンから、従来の判定法より10週早く治療の有効性を100%正確に予測することが可能であることがわかった。研究者らはこの方法を乳がんや頭頚部がんでも試みる予定である。
大規模トライアルのデータによると神経膠芽腫患者に対する放射線療法後の新薬temozolomide投与により生存率が増大することが示された [2005-04-05] 
Data from a large trial show that addition of the novel agent temozolomide increases survival after radiation for patients with glioblastoma

Organization for Research and Treatment of CancerとNational Cancer Institute of Canadaが共同で指揮した大規模研究のデータによると、神経膠芽腫患者に対する放射線療法後の新薬temozolomide投与により生存率が増大することが示された、とNew England Journal of Medicine 3月10日号に掲載された。約600人の患者が放射線療法単独または併用療法に無作為に振り分けられた。2年後、放射線療法単独群は10%しか生存していなかったのに対し併用療法群では26%が生存していた。DNA修復関連遺伝子MGMTのジェノタイプを考慮するとこの併用療法の効果はさらに増強した。併用療法を受けたMGMT遺伝子の不活性化コピーを有する患者の約半数が2年後も生存していた。

コンピュータ断層撮影(CT)に陽電子放射断層撮影(PET)を組み合わせて使用することにより非小細胞肺がん患者の正常組織への被爆量が軽減する [2005-04-05] 
Use of positron emission tomography with computed tomography decreases radiation to healthy tissues in patients with non-small cell lung cancer
コンピュータ断層撮影(CT)に陽電子放射断層撮影(PET)を組み合わせて使用することにより非小細胞肺がん患者の正常組織への被爆量を軽減することが可能になる、とInternational Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 3月1日号に掲載された。研究者らは、21人の患者に対し2つの3次元共形放射線治療計画を考案した。ひとつはCTベースのもので、もうひとつは2つの断層撮影法を組み合わせたものをベースとしたものである。その結果、全般的に、PETの情報を使用することで照射部位の大きさが縮小され、つまり正常肺組織および食道の被爆量が軽減することになることが示された。


 

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