閉経後乳がんの既往のある女性は同年代の女性と比較し大腿骨頚部以外の骨折のリスクが高い可能性がある、とArchives
of Internal Medicine 3月14日号に掲載された。U.S. Women’s Health
Initiativeの、乳がんの既往のある女性5,298人および対照群80,828人の4種類の骨折(大腿骨頚部、前腕/手首、椎骨、その他)に対する観察研究のデータによると、5年強の追跡期間における頚部以外の骨折が乳がん群において多かった。このリスク上昇は(年間10,000人当たり68.6件多い)、既知のリスクファクターで補正してもなお認められた。診断時の年齢はリスクに影響しなかった。この結果が正しいとすれば、米国における乳がん既往歴のある女性の骨折は年間13,000例も多いことになる。
非小細胞肺がんに関連した遺伝子変異が発見されたことで、腫瘍がどのようにしてゲフィチニブに耐性となるのかが説明され、さらに有効な新薬が開発される可能性がある、とNew
England Journal of Medicine 2月24日号に掲載された。ゲフィチニブに反応する患者は、上皮細胞成長因子受容体を有し、ゲフィチニブはそれに結合し受容体機能を阻害する。ゲフィチニブ治療で完全寛解した2年後に再発した患者の腫瘍のDNA配列を解析したところ、新たな変異が認められ、その変異によりゲフィチニブが受容体に結合できなくなってしまっていた。イマチニブで治療されたがん患者の耐性についても同様に説明され、イマチニブ耐性症例に対する第二世代の薬物がすでに臨床試験の段階に入っている。
原発性甲状腺機能低下症の女性は甲状腺が正常な女性と比較し進行乳がんのリスクが低いようである、と
Cancer オンライン版2月14日号に掲載された。2,226人の女性を対象とした後ろ向きケースコントロール研究において米国の研究者らは、原発性甲状腺機能低下症の女性は進行乳がんのリスクが61%低かったことを見出した。新たに乳がんと診断された女性は対照群の女性と比較し、甲状腺機能低下症を有する確率が57%低かった。さらに、甲状腺機能低下症の既往のある乳がん患者は診断時の年齢が高く、進行が遅く、エストロゲン感受性である傾向にあった。今回の結果から、発がん性や悪性腫瘍の進行に対する他のホルモンの役割や相互作用に関するさらなる研究に拍車がかかるであろう。
クリニックでの簡便で新たな膀胱がん診断のための検査は従来の院外検査よりも3倍有効である、とJournal
of the American Medical Association 2月16日号に掲載された。米国の研究者らは、血尿を呈し膀胱がんのリスクが高くリスクファクターを一つ以上有する患者1,331人のNMP22腫瘍マーカーアッセイと細胞診を比較した。膀胱鏡検査の結果79人の患者が膀胱がんであると確認された。NMP22アッセイはそのうち55%(79人中44人)において陽性であり、一方従来の細胞診では16%(76人中12人)しか検出されなかった。細胞診は特異度がやや高かった(99対86%)。筆者らは、NMP22と膀胱鏡の組み合わせが膀胱がんの診断法として最も優れていると結論付けている。