小児ホジキン病の既往のある成人は彼らの健常な兄弟姉妹と比較し脳卒中のリスクが約4倍高い [2005-10-25]

Adult survivors of childhood Hodgkin disease have roughly four times the risk for stroke as their healthy siblings
小児ホジキン病の既往のある成人は彼らの健常な兄弟姉妹と比較し脳卒中のリスクが約4倍高く、その理由はおそらく放射線照射による頸動脈または心臓弁の損傷であろう、とJournal of Clinical Oncology 9月20日号に掲載された。小児らにおけるこの2番目に多い疾患は治癒率が高く多くが成人まで生存しているため、米国の研究者らは、これらの人々に特有の心血管疾患のリスクの有無を調査した。既往者約20,000人の医療記録解析の結果、1970〜1986年の間に、ホジキン病の診断後5年以上生存した1,926人中24人に脳卒中が発生した。彼らの成人した兄弟姉妹3,800人以上の記録を解析した結果、脳卒中は9件しか認められなかった。この結果は、同様の既往者において後に心不全のリスクが上昇するとの記録に続くものである。

メタ解析の結果、どの種類の降圧薬であっても頭痛のリスクを軽減することが示された [2005-10-25]

Meta-analysis shows that use of any of a variety of antihypertensive medications is associated with lower risk for headaches
降圧薬、特にサイアザイド、βブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬を使用することにより頭痛のリスクが3分の1低下する、とCirculation 10月11日号に掲載された。英国の研究者らは1966〜2001年に施行されたトライアルのメタ解析を行った。84のパラレルグループトライアルにおいて頭痛を訴えた患者は治療群患者の方がプラセボ群よりも平均で33%少なく、10のクロスオーバートライアルでは治療群の方が平均45%少なかった。これらの2種類のトライアル間で結果に有意差がないため、研究者らはこれらの結果を合わせたものを評価すべきであると述べている。全体では、治療群の8%が頭痛を訴えたのに対しプラセボ群では12.4%が頭痛を訴えた。頭痛は前述の4種類の薬剤のいずれにおいても有意に減少した。

重症うっ血性心不全患者は肺動脈カテーテル挿入により有益性は得られず合併症は増える [2005-10-18]

Patients with severe congestive heart failure do not benefit from pulmonary artery catheterization but do have more adverse events
重症うっ血性心不全の入院患者は肺動脈カテーテル挿入により有益性は得られず合併症は増える、とJournal of the American Medical Association 10月5日号に掲載された。「うっ血性心不全に対する肺動脈カテーテルの有効性の評価:Evaluation Study of Congestive Heart Failure and Pulmonary Artery Catheterization Effectiveness (ESCAPE) 」トライアルでは、433人の患者を臨床的な判断と肺動脈カテーテル挿入を併用した群または臨床的判断のみの群に無作為に割り付けた。カテーテル挿入は一次エンドポイントである入院後半年以内の入院日数、死亡、および一回の入院期間には有意な影響を与えなかった。入院中の合併症はカテーテル挿入患者においてより多かった。同様の観点から行われた13のトライアルのメタ解析の結果も、長期の心不全患者のモニターとして肺動脈カテーテルを日常的に使用することを支持する証拠はない、という類似したものだった。編集者は、成人呼吸促迫症候群患者に対するカテーテルモニターの有用性を評価するトライアルが現在進行中であり、これによりこれらの患者の治療の手引きとなるであろうと述べている。

既存の文献の新たな解析により、医師らに患者のHDLコレステロールレベルを上昇させるガイドラインが提供される [2005-10-18]

New analysis of existing literature provides doctors with guidelines for helping patients raise their levels of high-density lipoprotein cholesterol
医師らは既存のHDLコレステロールに関する研究データを用いることにより、HDLコレステロール臨床研究の結果が出る前に、患者のコレステロールプロファイルを最良にする方法を導くことができる、とNew England Journal of Medicine 9月22日号に掲載された。HDLコレステロールが1 mg/dL上昇するごとに致死的な心筋梗塞のリスクは約3%ずつ低下し、またHDLコレステロールレベルが高いほど血管形成術後の再狭窄のリスクは軽減する。米国ではHDLコレステロールの下限を男性40 mg/dL、女性50 mg/dLと定めている。推奨される生活習慣として減量および定期的な運動が含まれる一方、ナイアシンは最も有効な薬物療法であり、HDLコレステロールを20〜35%増加させる。スタチン系薬剤の効果は少なく、2〜15%しか上昇させない。低用量のスタチン製剤および高用量のナイアシンを併用することにより21〜26%増加させることができる。

糖尿病患者においてシロリムス溶出ステントは、従来のステントと比較し、術後の予後を有意に改善させる [2005-10-11]

Sirolimus-eluting stents compared with bare metal stents significantly improve post-angioplasty outcomes for patients with diabetes
糖尿病患者においてシロリムス溶出ステントは、従来のステントと比較し、術後の予後を有意に改善させる、とCirculation 10月4日号に掲載された。計160人のスペイン人の患者を盲検化ではない方法で2種類のステントに無作為に割り付けた。ステント留置直後および9ヵ月後の冠動脈造影の盲検比較の結果、シロリムス溶出ステントの平均再狭小化は0.06 mmであったのに対し従来のステントのそれは0.47 mmであった。薬剤溶出ステント群における、心臓死、心筋梗塞、および再血行再建術施行などの有害事象は10%に過ぎなかったのに対し、従来のステント群におけるその割合は36.3%であった。最終的に薬剤溶出ステント群では再血行再建術の必要があった者が6.3%のみであったの比べ、従来のステント群では31.3%であった。ステント挿入1および2年後の結果がさらに解析されるであろう。

心疾患を有する高齢男性患者においてスタチン内服は有意に骨折のリスクを軽減する [2005-10-11]

Statin use is associated with a significantly reduced risk for fractures among elderly male patients with heart disease
男性の占める割合が多い高齢の心疾患患者集団を評価したところ、スタチン内服は有意に骨折のリスクを軽減することが示された、とArchives of Internal Medicine 9月26日号に掲載された。女性において認められたスタチン内服と骨の健全度の相関関係を男性において評価しようと、米国の研究者らは91,052人の人々を評価した:28,063人はスタチンのみを内服し、2,195人は非スタチン系の脂質低下薬を内服し、60,794人は脂質低下薬を内服していなかった。その結果、スタチンを内服していた者は、脂質低下療法を受けていない者及び他の脂質低下薬を内服している者よりも骨折のリスクがそれぞれ36%および32%低かった。この結果は、BMIを含む様々な因子で補正しても変化しなかった。

大量のアルコール摂取は心房細動のリスクを有意に増加させる [2005-10-04]

Heavy alcohol consumption is associated with significantly increased risk for atrial fibrillation
大量のアルコール摂取は少なくとも男性においては心房細動のリスクを上昇させる、とCirculation 9月13日号に掲載された。Copenhagen City Heart Studyでは16,415人の成人(平均年齢50歳)を約10年間追跡した。多くの男性が1週間に1−6ドリンク(22.4%)または7−13ドリンク(23.7%)飲むと報告した。約12.5%が1週間に35ドリンク以上飲んでいた(最高量群)。女性では21ドリンク以上(最高量群)に含まれたのは3.5%だけであった。計1,071件が心房細動と診断された。男性においては心房細動発症のリスクは1週間に14ドリンクから上昇し始め、35ドリンク飲む者においてはリスクは45%上昇した。血圧、冠動脈疾患、心不全で補正した結果、飲酒量が最高の男性においては最低の男性と比較しリスクが63%高かった。この結果は年齢やBMIには影響されなかった。筆者らは、女性において同様のリスク上昇が認められなかったのは最高量飲酒群の飲酒量が男性と比較しはるかに少なかったためであろうと推測している。

ピオグリタゾンは2型糖尿病の高リスク患者の心血管有害事象および死亡のリスクを軽減する [2005-10-04]

Pioglitazone significantly reduces risk for adverse cardiovascular events and death in high-risk patients with type 2 diabetes
ピオグリタゾンは2型糖尿病の高リスク患者の心筋梗塞、脳卒中、および死亡を総合したリスクを軽減する、とEuropean Association for the Study of Diabetes学会で発表された。大血管イベントに対するピオグリタゾンの前向き調査(PROactive :PROspective PioglitAzone Clinical Trial In MacroVascular Events)では、5,000人以上の2型糖尿病の高リスクの患者に降圧剤、血糖降下剤、抗血小板薬、脂質調整薬などの通常の治療に追加療法としてピオグリタゾンを加え、心血管疾患の進行による死亡率および有病率に対する影響を評価した。7つの大血管イベントを含めた一次複合エンドポイントは10%低下したが統計学的に有意ではなかった。一方、2次エンドポイント(死亡、心筋梗塞、および脳卒中などの生命にかかわるイベント)は16%低下した。
 
 

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