血中リン脂質レベルは動脈硬化による冠動脈狭窄レベルを強力に反映する [2005-07-26]

Blood level of oxidized phospholipids strongly predicts degree of narrowing in coronary arteries affected by atherosclerosis
血中リン脂質レベルは動脈硬化による冠動脈狭窄レベルを強力に反映する、とNew England Journal of Medicine 7月7日号に掲載された。米国の研究者らはある1施設で冠動脈造影を施行された患者500人を調査した。その結果、血中コレステロールレベル異常、高血圧、喫煙、および性別などの他の因子で補正した後でも、酸化リン脂質レベルは冠動脈の有意狭窄の存在を示唆した。この粒子はリポプロテインに結合することが知られており、この二つの炎症前駆物質の相互作用が動脈硬化の主な原因である可能性がある。60歳未満の者における酸化リン脂質によるリスクはリポプロテインに非依存性であるため、若年者において酸化粒子はより重要であり、従ってこれらの者のリスク戦略には価値のあるものと考えられる。

米国の医師が心不全患者治療の際に国家のガイドラインに従う程度は退院後予後に強力に相関する [2005-07-26]

Degree to which American doctors follow national care guidelines for patients with heart failure correlates strongly with post-hospital outcome
米国の心不全患者の治療には有意な施設間の差がある、とArchives of Internal Medicine 7月11日号に掲載された。研究者らは、223の病院の心不全治療における4つの標準的な項目(書面での退院後指示の提供、入院中の左室機能評価、適切なアンジオテンシン変換酵素阻害薬の処方、適切な禁煙のカウンセリング)を評価した。その結果、入院患者の86.2%が左室機能評価を受け、適応のある患者の72%がアンジオテンシン変換酵素阻害薬を処方されていたのに対し、喫煙者および過去の喫煙者に対する禁煙のカウンセリングは43.2%であり、十分な退院後指示を受けていた者は24%に過ぎなかった。病院間の死亡率の差は4倍であり、最良の病院の死亡率が1.4%のところ、最悪の病院のそれは6.1%にも上った。

軽度の脳梗塞を発症した者はその後10年間にさらに脳卒中および他の血管疾患を発症するリスクが40%以上高い [2005-07-19]

People who have a minor ischemic stroke have a greater than 40-percent risk for another stroke or vascular event in the next 10 years
軽度の脳梗塞を発症した者はその後10年間にさらに脳卒中および他の血管疾患を発症するリスクが40%以上高い、とLancet 7月7日号に掲載された。オランダの研究者らは24の病院から集めた患者2,400人余りの情報を評価した。その結果、一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳梗塞から約10年後には、約60%の患者が死亡し、54%が少なくとも一件の新たな血管イベントを発症した。10年間のイベントフリー生存率は48%であった。血管疾患イベントのリスクは最初の虚血イベント直後に最高であり、3年後には最も低いレベルに達し、その後徐々に上昇した。論評では、医師らはこのスタディの重要点を日常臨床に組み入れるべきであると主張している。つまり、TIAや軽症脳梗塞を発症した者に対しては、リスクが変化する可能性があるため繰り返し評価する必要があり、また、脳血管障害または心血管障害を予防する治療を長期にわたり施行するべきである。

うっ血性心不全患者の血中脳ナトリウム利尿ペプチドを計測することにより、拘束型心筋症と収縮性心膜炎の患者を迅速に鑑別することができる [2005-07-19]

Blood level of brain natriuretic peptide in patients with congestive heart failure can quickly distinguish restrictive cardiomyopathy from constrictive pericarditis
15分間で結果の得られる簡便な血液検査により、うっ血性心不全で来院した患者が拘束型心筋症か収縮性心膜炎かを鑑別することが可能である、とJournal of the American College of Cardiology 6月7日号に掲載された。米国の研究者らは収縮性心膜炎または拘束型心筋症の疑われる患者11人の血中脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を計測した。同日施行した血行動態評価の結果、11人中5人が拘束型心筋症、6人が収縮性心膜炎を有していた。全患者においてBNPレベルは健常人よりも上昇していたが、拘束型心筋症の平均BNPレベルは収縮性心膜炎患者のそれの4倍高かった(それぞれ825 pg/mL vs. 128 pg/mL)。筆者らは、この違いの大部分は、収縮性心膜炎では硬い心膜のために心筋が多くのホルモンを放出するほど伸展されないためであろうと推測している。彼らはさらに強固なデータベースを作成するため患者をさらに収集している。

糖尿病を有する高血圧患者に対して利尿剤は他の降圧剤同様有効である [2005-07-12]

Diuretics work as well as other types of antihypertensive drugs in treating hypertension in patients who also have diabetes

糖尿病を有する高血圧患者に対して利尿剤はアンジオテンシン変換酵素阻害薬やカルシウム拮抗薬同様、心筋梗塞予防および生存率向上に有効である。さらに、利尿剤投与はうっ血性心不全から保護する作用も有する、とArchives of Internal Medicine 7月27日号に掲載された。今回の解析はAntihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT)の糖尿病患者13,101人、空腹時高血糖患者1,399人、および血糖レベルの正常な患者17,012人のデータをもとに行われた。予想外の結果は、耐糖能障害患者における心筋梗塞発症率がカルシウム拮抗薬を内服している者において利尿薬を内服している者より大であったことである。筆者らによると、この結果は他のトライアルの結果と一致しないため、たまたま生じた可能性があるとのことである。

高齢者においてはC反応性蛋白上昇が心疾患発症の独立したリスクファクターである [2005-07-12]

Elevated levels of C-reactive protein are an independent risk factor for development of heart disease in older people
65歳以上の高齢者においてはC反応性蛋白(CRP)上昇が心疾患発症の独立したリスクファクターである、とCirculation 6月28日号に掲載された。3,971人を追跡調査したこの米国の研究においては、ベースライン時、26%にCRP上昇(3.1 mg/L以上)を認めた。10年間の追跡期間中に547人が非致死的心筋梗塞を発症するかまたは冠動脈疾患にて死亡した。ベースラインでCRP上昇を認めた者はリスクが45%高かった。フラミンガムスコアでリスクの高い(リスクが20%より高い)者における実際のリスク発症率はCRP上昇者で41%であり、CRPが高くない者のそれは23%であった。フラミンガムスコアで10年間のリスクが20%より高い女性においては、CRP上昇者における実際のリスク発症率は31%であったが、一方、CRPの低い女性においては16%にすぎなかった。

冠動脈疾患を有する糖尿病患者でスタチン療法によりコレステロールレベルが推奨レベルより低下した者は心血管疾患イベントが少ない [2005-07-05]

Patients with diabetes and coronary disease whose atorvastatin therapy reduced cholesterol well below recommended levels had fewer cardiovascular events
安定狭心症を有する糖尿病患者でアトルバスタチンによりコレステロールレベルを推奨レベルよりさらに低下させた者は、コレステロールが推奨レベルの者と比較し心筋梗塞や脳卒中発症率が有意に低かった、とAmerican Diabetes Association学会で発表された。この研究はLDLコレステロールが<130 mg/dLで5年間のTreating to New Targets Trial (TNT)を終了した糖尿病患者を対象とした。研究終了後の解析の結果、1日80mgの内服で10mg内服と比較し、心血管イベントが25%減少した。また、80mg内服により筋肉関連の合併症のリスクが上昇することはなかった。研究終了時点でLDLコレステロールレベルは、80mg内服群において(~77mg/dL)10mg内服群(99mg/dL)より有意に低かった。TNTスタディは高用量のアトルバスタチンの有効性を評価したこれまでで最大の研究であり、糖尿病患者に対しスタチンとプラセボを比較するのではなく2種類の用量を比較する際の指標となる研究である。

クロミウムピコリネートとビオチンのサプリメントを摂取することにより、すでに内服中の2型糖尿病患者の心血管危険因子が改善する [2005-07-05]

Addition of a chromium picolinate and biotin supplement can improve cardiovascular risk factors in people already on medication for type 2 diabetes
処方薬にクロミウムピコリネートとビオチンのサプリメント(商品名ダイアクロムR)を追加することにより2型糖尿病患者のコントロール不良な血糖レベルや心血管疾患の危険因子が改善する、とAmerican Diabetes Association学会で発表された。この研究では血糖コントロールの不良な患者369人をクロミウム/ビオチンサプリメントまたはプラセボを処方薬に追加内服する群に無作為に割り付けた:その結果、サプリメント内服群においては糖化ヘモグロビン(HbA1c)の有意な低下が認められ、特にスタディ開始時点でコントロールの最も不良な患者群において改善度が大であった。90日後、これらの患者におけるHbA1cは平均1.9%以上低下した。さらに、ベースラインでコレステロールのコントロールが不良(200mg/dL以上)であった患者でサプリメントを内服した者においては研究終了時にLDLコレステロールの有意な低下(平均21.9mg/dL)が認められた。ダイアクロムRは糖尿病患者のために特別に作成された。
 
 

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