Alcoholism:
Clinical and Experimental Research誌9月号に掲載されたNational
Institutes of Healthが示したデータによると、米国における未成年者の飲酒は1970年代終わり頃より減少してはいるものの、依然としてその割合は高いとのことである。研究者らは、がん研究のために開発された統計法を用い、3つの国家調査から集計したデータに同様の傾向が認められるかを調査した。その結果、アルコールを買える年齢に達していない者(21歳未満)が飲酒をしている割合は非常に高かった。青少年のうち、約80%が17〜19歳までに飲酒をし、12〜14歳の約12%が調査前の2週間以内に一回につき5杯以上の飲酒をしていた。筆者らは、この解析により青少年の飲酒を減少させる取り組みに新たな見識が得られることを望んでいる。
抗癲癇薬であるtopiramateはアルコール依存症患者の飲酒量を減少させQOLを改善するのに役立つ、とArchives
of General Psychiatry 9月号に掲載された。米国の研究者らはアルコール依存症の成人(21〜65歳)150人をtopiramateまたはプラセボを12週間内服する群に無作為に割り付けた。この研究期間終了時に、topiramateを内服した者はプラセボを内服したものと比較し、well-beingが2倍以上改善し、2.5倍禁酒に成功し、そして2倍以上生活全体に対する満足度が高いと答えた。また、飲酒の結果危険を招いたと報告する回数も減少した。筆者らは、このtopiramateの好ましい効果は治療期間が延びるほど増加する、と述べている。
嗅脳皮質のドパミン抑制により猿が報酬のために労働することを理解する能力を失い終始労働に専念し始める、とProceedings
of the National Academy of Sciences (USA) 8月9日号に掲載された。猿はD2受容体に暗号化された遺伝子をブロックされることにより一時的にドパミンを涸渇させられた。遺伝子が再び発現し始めると正常な行動が復活した。筆者らは、この結果は、統合失調症、うつ病、および強迫性障害などのしばしば報酬と労働意欲との関連が歪曲していることが特徴的な疾患に密接な関係がある、と記している。
グルタミン受容体3を暗号化するある単核酸変異が統合失調症に伴う言語および認知能力と関連がある、とProceedings
of the National Academy of Sciences 8月9日号に掲載された。研究者らは、アデニンを含む対立遺伝子に異常を有する者(統合失調症患者および彼らの健常な兄弟、そして関連のない健常なボランティア)は前頭および海馬の機能を調べるいくつかのテストにおいて成績が不良であることを発見した。多くの正常なグアニンを含む対立遺伝子が同形接合である者は前頭皮質の形成が良好であった。この結果から、この変異は遺伝子的な危険因子であり、グルタミン酸に関連した遺伝子を統合失調症を発症する遺伝子候補のリストに加える必要があると提案している。
胎児期アルコール症候群または胎児期にアルコールの影響を受けている人々は、早期に診断され安定した養育的な環境で育てられれば法的な犯罪のような社会的および対人的問題をより避けることができる、とJournal
of Developmental and Behavioral Pediatrics 8月12日号に掲載された。6〜51歳の415人(中間知能指数86)の生活歴を問診し過去と現在の境遇を評価した。その結果、早期診断および健全な家庭環境により有意に不良な体験を回避できる可能性は2〜4倍改善することがわかった。これは胎児期にアルコールによる脳損傷を有していても比較的良好な生活を送れるように育てることが可能であることを示した初めての研究である。