直接的化学療法を組み込んだ手術は大腸がんに伴う腹膜癌腫症患者に対する有望な治療法である [2004-02-24]
Surgery with direct insertion of chemotherapy shows promise for patients with peritoneal carcinomatosis due to colorectal cancer
腹膜内高温マイトマイシンC注入を組み込んだcytoreductive手術は直腸がんに伴う癌腫症患者の生存率を改善する可能性がある、という報告がAnnals of Surgical Oncology 2月号に掲載された。1991〜2002年の間に行われた前向き試験の一部として治療された患者(平均年齢54歳)77人の記録によると、平均生存期間は16ヵ月であり、17%の患者は少なくとも5年間生存した。一方、特別な治療を受けない腹膜癌腫症患者の過去のデータによる生存率は3〜6ヵ月である。さらに大規模な前向きphase III臨床試験が計画されている。
テストステロン抑制および低脂肪食により、進行ヒト前立腺がんを有するマウスの生存期間が著明に延長した [2004-02-24]
Testosterone deprivation and a low-fat diet can markedly prolong survival in mice with advanced human prostate cancer
進行ヒト前立腺がんを有し、テストステロンを抑制され低脂肪食を与えられたマウスにおいて、腫瘍の成長が遅延し生存期間が2倍改善したという研究結果は臨床に応用できる可能性がある、という報告がCancer Research 2月15日号に掲載された。食餌とアンドロゲン依存性の発生(ひいては新たな腫瘍の成長そして死亡)の遅延には明らかな関連があることから、筆者らはこの研究中患者に、様々な、脂肪からのカロリー摂取を15〜20%とした高繊維食と毎日の運動を推奨している。ヒトを対象としたトライアルは何年も先である。
炎症性マーカーであるC反応性蛋白は結腸がんのリスクが高いことを示すが直腸がんには関連がない [2004-02-17]
Higher levels of the inflammatory marker C-reactive protein predict higher risk for colon but not rectal cancer
炎症性マーカーであるC反応性蛋白(CRP)レベルの上昇は結腸がんのリスクが高いことを示す、という報告がJournal of the American Medical Association 2月4日号に掲載された。研究者らは、大腸がんのリスクマーカーを同定するために1989年に開始されたトライアルの対象22,887人の記録を解析した。11年間に172人が結腸がん(131人)または直腸がん(41人)と診断された。患者はそれぞれ1人または2人の疾患を有さない者と比較された。ベースラインのCRPの平均値は結腸がんを発症した者において (2.69 mg/L) コントロール(1.79 mg/L)と比較し有意に高かったが、直腸がんを発症した者(1.79 mg/L)とそのコントロール(1.81 mg/L)に差はなかった。この研究の対象のほとんどがコーカシアンのため筆者らは、さらに種々の集団においても調査する必要性があると述べている。
タモキシフェンが腫瘍抑制因子マスピンの発現を増加させることが発見されたことから治療が進歩する可能性がある [2004-02-17]
Finding that tamoxifen causes increased expression of the tumor suppressor maspin may lead to treatment improvements
タモキシフェンは最初、乳がん治療薬として30年以上前に登場した薬剤であるが、がん細胞に対しマスピンと呼ばれる腫瘍抑制遺伝子の再発現を促すことが発見されてからその治療効果に対する理解が増大した、という報告がClinical Cancer Research 1月15日号に掲載された。遺伝子発現の回復または著明な上昇は、タモキシフェンにより治療が成功した患者から得られた組織サンプルにおいても同様に認められた。マスピンの発現を監視することにより、患者の腫瘍の浸潤や転移の予防に対する薬効の予測や、薬剤耐性の発生を軽減する方法に対する新たな見識がもたらされる可能性がある。今後、タモキシフェンのような副作用をもたずマスピンの発現を増加させる薬剤が開発されるであろう。
乳房インプラントはマンモグラフィーによるスクリーニングの読影の障害となる可能性がある [2004-02-10]
Presence of breast implants may interfere with interpretation of screening mammograms
乳房インプラントはマンモグラフィーによるスクリーニングの読影の障害となる可能性がある、という報告が Journal of the American Medical Association 1月28日号に掲載された。乳がん登録者のデータによると、検査後1年以内に乳がんと診断された患者のうち乳房撮影陽性患者の割合で定義された感受性はインプラント挿入をしている女性において45%であり、挿入をしていない女性におけるそれは66.8%であった。乳がんを有さない患者における乳房撮影が陰性である割合で定義した特異度はインプラントを挿入している女性で若干高かった(97.7%対96.7%)。2群間で腫瘍の大きさ、病期、エストロゲン受容体やリンパ節病変の状態に差はなかった。筆者らは、インプラントを受けている女性は一般のスクリーニングのガイドラインに従うことを推奨している。
臨床試験に参加した患者と参加しない患者とで予後に差はない [2004-02-10]
Participants in clinical trials do not have a significant difference in outcome compared with patients not in trials
臨床試験に参加した患者と参加しない患者を比較したいくつかの研究から得られたデータによると、参加者は特に予後が良いわけではない、という報告がLancet 1月24日号に掲載された。米国の研究者らは試験参加者とそれ以外の患者の予後を比較した26の腫瘍関係の研究を検討した。26の試験のうち、14においては参加者の予後のほうが良好であるとの結果が得られたが、参加者として適応ではあるが参加しなかった患者の予後を比較したものは9つにすぎなかった。この9つのスタディのうち、参加者の予後のほうが良好であったことを示したものは3つであった。参加者の予後の方が不良であったことを示すものは一つもなかった。筆者らは医師らに、短期の個人的な利益という意味ではなく将来の医療の改善という意味で、患者が試験への参加を考慮することを今後も勧めるよう主張している。
皮膚の写真を使用することにより、医師の評価が必要な母斑の変化を患者が発見することができる [2004-02-03]
Use of skin photographs improves patients’ abilities to detect changes in nevi requiring physician evaluation
皮膚の写真を比較のために使用している患者は写真を使用しない患者と比べ母斑や他の皮膚病変の変化を発見する能力が優れている、という報告がArchives of Dermatology 1月号に掲載された。5個以上の異形成母斑を有する患者計50人の病変のデジタル写真を撮り、外来中に皮膚の自己診察を行った。次に、研究者らは既にある母斑の外観を変化させ、また化粧用のアイライナーペンシルを使って明らかに新たな母斑を作った。新たな変化した母斑の数はほくろの数の約10%であった。自己診断用に写真を使用していた患者が新たなまたは変化した母斑を発見する確率は使用していない患者と比較し10%高かった(それぞれ72.4%対60.2%)。

米国においてがんの末期に積極的な医療を受ける高齢患者が増加している [2004-02-03]

The number of older U.S. cancer patients who receive aggressive medical care at the end of life is increasing
米国において末期に積極的な医療を受けるがん患者数が増加している、という報告がJournal of Clinical Oncology 1月15日号に掲載された。1993年から1996年の間に固形がんで死亡した65歳以上の患者28,777人の医療記録を解析した結果、化学療法を受けたのは27.9%から29.5%に増加し、そのうち死亡前2週間に化学療法を受けた率は13.8%から18.5%に増加していた。この4年間に死亡前1ヵ月に救急治療室または集中治療室に入院する患者数も増加していた(9.0%以上にのぼる)。しかし、ホスピスでの治療を受ける患者数も29.3%から38.8%に増加した。筆者らは、ホスピス治療をもっと多く受けられるようにすることで患者は末期により質の良い生活を送れるだろう、と考えている。


 

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