進行ヒト前立腺がんを有し、テストステロンを抑制され低脂肪食を与えられたマウスにおいて、腫瘍の成長が遅延し生存期間が2倍改善したという研究結果は臨床に応用できる可能性がある、という報告がCancer
Research 2月15日号に掲載された。食餌とアンドロゲン依存性の発生(ひいては新たな腫瘍の成長そして死亡)の遅延には明らかな関連があることから、筆者らはこの研究中患者に、様々な、脂肪からのカロリー摂取を15〜20%とした高繊維食と毎日の運動を推奨している。ヒトを対象としたトライアルは何年も先である。
炎症性マーカーであるC反応性蛋白(CRP)レベルの上昇は結腸がんのリスクが高いことを示す、という報告がJournal
of the American Medical Association 2月4日号に掲載された。研究者らは、大腸がんのリスクマーカーを同定するために1989年に開始されたトライアルの対象22,887人の記録を解析した。11年間に172人が結腸がん(131人)または直腸がん(41人)と診断された。患者はそれぞれ1人または2人の疾患を有さない者と比較された。ベースラインのCRPの平均値は結腸がんを発症した者において
(2.69 mg/L) コントロール(1.79 mg/L)と比較し有意に高かったが、直腸がんを発症した者(1.79 mg/L)とそのコントロール(1.81
mg/L)に差はなかった。この研究の対象のほとんどがコーカシアンのため筆者らは、さらに種々の集団においても調査する必要性があると述べている。
タモキシフェンは最初、乳がん治療薬として30年以上前に登場した薬剤であるが、がん細胞に対しマスピンと呼ばれる腫瘍抑制遺伝子の再発現を促すことが発見されてからその治療効果に対する理解が増大した、という報告がClinical
Cancer Research 1月15日号に掲載された。遺伝子発現の回復または著明な上昇は、タモキシフェンにより治療が成功した患者から得られた組織サンプルにおいても同様に認められた。マスピンの発現を監視することにより、患者の腫瘍の浸潤や転移の予防に対する薬効の予測や、薬剤耐性の発生を軽減する方法に対する新たな見識がもたらされる可能性がある。今後、タモキシフェンのような副作用をもたずマスピンの発現を増加させる薬剤が開発されるであろう。
乳房インプラントはマンモグラフィーによるスクリーニングの読影の障害となる可能性がある、という報告が Journal
of the American Medical Association 1月28日号に掲載された。乳がん登録者のデータによると、検査後1年以内に乳がんと診断された患者のうち乳房撮影陽性患者の割合で定義された感受性はインプラント挿入をしている女性において45%であり、挿入をしていない女性におけるそれは66.8%であった。乳がんを有さない患者における乳房撮影が陰性である割合で定義した特異度はインプラントを挿入している女性で若干高かった(97.7%対96.7%)。2群間で腫瘍の大きさ、病期、エストロゲン受容体やリンパ節病変の状態に差はなかった。筆者らは、インプラントを受けている女性は一般のスクリーニングのガイドラインに従うことを推奨している。
皮膚の写真を比較のために使用している患者は写真を使用しない患者と比べ母斑や他の皮膚病変の変化を発見する能力が優れている、という報告がArchives
of Dermatology 1月号に掲載された。5個以上の異形成母斑を有する患者計50人の病変のデジタル写真を撮り、外来中に皮膚の自己診察を行った。次に、研究者らは既にある母斑の外観を変化させ、また化粧用のアイライナーペンシルを使って明らかに新たな母斑を作った。新たな変化した母斑の数はほくろの数の約10%であった。自己診断用に写真を使用していた患者が新たなまたは変化した母斑を発見する確率は使用していない患者と比較し10%高かった(それぞれ72.4%対60.2%)。
米国において末期に積極的な医療を受けるがん患者数が増加している、という報告がJournal of Clinical
Oncology 1月15日号に掲載された。1993年から1996年の間に固形がんで死亡した65歳以上の患者28,777人の医療記録を解析した結果、化学療法を受けたのは27.9%から29.5%に増加し、そのうち死亡前2週間に化学療法を受けた率は13.8%から18.5%に増加していた。この4年間に死亡前1ヵ月に救急治療室または集中治療室に入院する患者数も増加していた(9.0%以上にのぼる)。しかし、ホスピスでの治療を受ける患者数も29.3%から38.8%に増加した。筆者らは、ホスピス治療をもっと多く受けられるようにすることで患者は末期により質の良い生活を送れるだろう、と考えている。