アルツハイマー病患者は運動をしたり彼らの介護者が行動管理トレーニングを受けることによりうつが軽減したり身体的な健康が改善する、という報告がJournal
of the American Medical Association 10月15日号に掲載された。この試験では153人の地域住民患者および介護者を併用プログラムまたは通常の医療処置群に無作為に割り付けた。3ヵ月後には併用プログラム群の患者は有意により運動を定期的に行い活動が制限される日が減少した。これらの患者においてはうつ病スコアの改善を認めたが、通常のケアを受けた患者においてはベースラインと比較しスコアが悪化した。2年後も併用群においては身体面における利益は継続し、施設に入る率が低下する傾向が見られた。ベースラインでのうつ病スコアが高く併用療法を受けた患者はこの間改善し続けた。
たとえ軽度のうつであっても、高齢者においては抗原曝露後の炎症反応を増強させる、という報告がArchives
of General Psychiatry 10月号に掲載された。研究者らは、現在あるいは過去に痴呆を有する配偶者の介護者であった高齢者47人にうつに関する質問を与え、インフルエンザワクチン接種前後2週間に採血を行った。対照者計72人も参加した。対照者と異なり、介護者においてはベースラインの時点で軽度のうつ症状を有しインターロイキン-6および炎症性サイトカインレベルの上昇が認められた。ワクチン接種後、介護者の血液内インターロイキン-6およびサイトカインレベルは30%上昇していたが、対照者のそれらのレベルは基本的に不変であった。筆者らは、軽度でもうつを有する高齢者には精神的介入を行いQOLを改善し、加齢による様々な疾患の過程における炎症の影響を最小限にするよう呼びかけている。
オランザピンは躁病の再発に関してはリチウムよりも有効であり双極性障害の長期維持にはリチウムと同様に有効である、とAnnual
Congress of the European College of Neuropsychopharmacologyで発表された。オランザピン投与群に無作為に割り付けられたI型双極性障害患者は、リチウム群の患者と比較し躁病の再発率が低かった(14.3%対28.0%)。うつ病の再発率は同様であった(16.1%対15.4%)。再発までの期間はオランザピン群で380日、リチウム群で212日であった。双極性障害により入院した率はオランザピン群において有意に低かった(14.3%対22.9%)。研究者らは、この種の薬剤が有効であるとの結果から、精神科医らが短期エピソードの治療よりも長期の良好な状態を維持することに焦点を当てることが可能となる、と述べている。
Galanthamineとドネペジルは中等度から高度に進行したアルツハイマー病患者の日常生活行動および活動性の維持に関しては同様に有効であるが、認知機能の維持に関してはGalanthamineのほうが優れている可能性がある、という報告がDrugs
and Aging 7-9月号に掲載された。この12ヵ月にわたる研究で、患者182人は無作為にどちらかの薬剤に割り付けられた。両薬剤は日常生活の活動性を同程度に維持し、異常行動に対しても同様の効果を示した。しかし、中等度のアルツハイマー病患者においては(Mini-Mental
State Examinationスコア12-18点、このスタディの対象者のおよそ85%)Galanthamineを投与された患者の57.9%において認知機能が維持、または改善されたのに対しドネペジルにおけるその割合は29.9%であった。
脳卒中後の抗うつ薬投与は臨床的なうつの有無に関わらず死亡率を減少させる、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 10月号に掲載された。脳卒中後にノルトリプチリン、fluoxetine、またはプラセボ群に無作為に割り付けられた患者104人中81人が試験に最後まで参加した。9年後に死亡のデータが得られた。抗うつ剤を投与された患者の半分(53人中27人)、プラセボ群の46.4%(28人中13人)がベースラインでうつ状態であった。9年後、抗うつ剤を投与された患者の68%近く(53人中36人)が生存していたが、それと比較しプラセボを投与された患者の生存率はおおよそ36%(28人中10人)であった。この薬剤の効果は心血管疾患イベントの減少によるものと思われる。
小児期のチメロサールを含むワクチン接種とワクチンをうたれた小児の自閉症の発症には関連はない、という報告がJournal
of the American Medical Association 10月1日号に掲載された。デンマークの研究者らは1990〜1996年までの7年間に国内で生まれた小児計467,450人のデータを調査した。チメロサールを含んだ百日咳ワクチンとチロメサールを含まない同ワクチンが比較された。自閉症440症例および自閉症スペクトラムに基づく他の障害787症例のデータから、これら接種ワクチンの異なる2群間における自閉症または他の自閉症スペクトラム障害の発症に関するリスクには、統計学的な差は認められなかった。
パニック発作は閉経後女性に多いようである、という報告がArchives
of Internal Medicine 9月22日号に掲載された。米国の研究者らはパニック発作および偏頭痛に関するある大規模な研究の参加者3,369人に調査を行った。全体の17.9%の女性がパニック発作(本格的な発作、つまり4つ以上のパニック症状を認めるもの
9.8%、限定症状発作、つまり4個未満の症状を認めるもの 8.1%)を報告した。本格的な発作は前年に有意な生活ストレスを有した者、心肺系疾患およびうつなどの医学的問題を有する者に多く認められたが、ホルモン補充療法使用の有無との有意な関連は認められなかった。