コンピュータを使用した新たな方法により、医師らはセンチネルリンパ節生検よりも正確にリスクを評価することができ、腋かリンパ節全郭清を決断しやすくなる、という報告がAnnals
of Surgical Oncology12月号に掲載された。米国の研究者らは、患者702人の原発性乳がんの病理学的所見およびセンチネルリンパ節転移の有無に基づくノモグラムを開発した。そしてそのノモグラムをセンチネルリンパ節病変を有する患者373人に対しプロスペクティブに使用したところ、腋かリンパ節転移のリスクを数パーセント以内の程度まで予測することができた。乳がんのノモグラムはこれを開発したMemorial
Sloan Kettering Cancer Centerのウエブサイトhttp://www.mskcc.org/nomograms/breastcancerで閲覧可能である。
カルシウム補充により大腸がんのリスクを低下させるにはビタミンDレベルを平均より高く保つ必要がある、という報告がJournal
of the National Cancer Institute 12月3日号に掲載された。この研究は、カルシウムのサプリメントを飲んでいる者において腺腫性ポリープのリスクが低かったとの結果を示したCalcium
Polyp Prevention Study(800人以上の参加者に行った4年以上にわたる無作為トライアル)のデータを再解析したものである。カルシウムの効用を得るには体内の十分なビタミンDが必要であり、また、カルシウムの補充をしている者のみにおいてビタミンDレベルとリスク低下に相関が認められた、との関連を説明するメカニズムは明らかではない。しかし筆者らは、カルシウムとビタミンDは相互に作用することによりポリープを抑制することを強調している。
ホジキン病の既往歴のある患者においては放射線による心血管疾患が従来考えられていたよりも高率に発症している可能性がある、という報告がJournal
of the American Medical Association 12月3日号に掲載された。研究者らはある一施設で1962年から1998年の間に治療を受けた患者400人以上のデータを国内のデータと比較した。来院時の年齢および心血管疾患の特徴から、ホジキン病の既往患者は弁膜症、早期発症の重症動脈硬化および冠動脈疾患、そして頚部の動脈の損傷リスクが高い可能性が考えられた。現代の低用量の照射療法によりリスクは軽減される可能性はあるが、筆者らは、これらの患者においてはそれでもやはり心血管疾患リスクファクターの注意深い評価および密接な長期の調査が必要であると考えている。
乾癬に罹患している高齢者はリンフォーマ発症のリスクが高い、という報告がArchives
of Dermatology 11月号に掲載された。研究者らはBritish General Practice
Research Databaseに登録された65歳以上の患者データの10%(乾癬患者2,718人、それ以外105,203人)を無作為に抽出し調査した。追跡期間(平均46ヵ月)中に276人がリンフォーマ(タイプに関わらず)と診断された。その結果、乾癬を有する者のリンフォーマ発症率は有さない者の約3倍高く、つまり、リンフォーマ患者は100,000人につき122人多かった。このリンフォーマのリスクと乾癬の重症度、治療法、または他の因子との関連を明らかにするべく、研究が現在進行中である。
血管を標的とした治験薬の併用は、がんを有するマウスモデルにおいて有望である、とNational
Cancer Institute, American Association for Cancer Research,
およびEuropean Organization for Research and Treatment of
Cancer のジョイントミーティングで発表された。この研究ではマウスに移植された腎がんまたはカポジ肉腫に、抗血管新生薬、および腫瘍の既存の血管を破壊するvascular
targeting agentを注入した。両薬剤とも有効であったが、腫瘍の進行遅延に対しては、これらの薬剤を組み合わせることにより相加効果ではなく相乗効果が認められた。副作用は明らかではなかった。この併用療法は現在臨床治験phase
IIとして進行中である。